誰かを殺めてしまった殺人犯と呼ばれる人々。なかには、何度も連続して殺人を繰り返す“連続殺人犯”とカテゴライズされる人間もいます。彼らはどういった心理状況で、なぜ殺人を繰り返すのか? 

 神宮寺かにみそさんさんが投稿した『アリスと学ぶ犯罪心理学 #1連続殺人犯の心理』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム東方Project』のキャラクターであるアリス・マーガトロイドが、連続殺人犯の心理と実際に起った事件を例に解説を行います。


連続殺人犯の一般的な特徴とパターン分け

アリス・マーガトロイド

アリス・マーガトロイド: 
 連続殺人の定義は国とか学者とかによってバラバラだったりするんだけど、ここではFBIによる定義を紹介しておくわ。

 連続殺人とは3人以上を殺害し(日本では2人以上)、犯行現場が複数ヶ所に及び、そして次の犯行に及ぶまで24時間以上の時間の間隔があるものを言うわ。この時間の間隔のことを感情冷却期間と呼んだりするわ。冷却期間がない場合はスプリー殺人(スプリキラー)と言うの。

 あと、連続殺人と区別しなければならないものとして大量殺人というものがあるわ。一ヶ所で4人(日本では2人)以上を殺害した場合のことよ。職場や街中での無差別殺傷とか一家無理心中が大量殺人にあたるわね。

 犯行の後の、次の犯行に至るまでに興奮を鎮めるかのように“感情冷却期間”というものが存在することについて、視聴者からは「なるほど・・・そういった違いは知らなかった」といった反応も。

連続殺人犯の動機は性欲と結びつく傾向が?

アリス・マーガトロイド: 
 まず大量殺人とかスプリー殺人は、一時の感情の爆発によっておこる場合が多いから、犯人は犯行後に自殺を図ろうとする傾向が
あるわ。

 これに対して連続殺人犯自殺を図ることはないわ。犯行は次から次へと計画的に行われるし、逮捕を避けるために現場に証拠を残したりしないの。

 そして犯行の動機は基本的にお金とか復讐とかではなく、快楽を求めるために行われる場合が多いわね。この快楽は性欲と結びつく傾向があるの。だからこの場合に被害者となるのは加害者の性的対象となる人間ね。

 そして性的対象となる人間は犯人の知人とか友人関係に当たる人じゃなくて、犯人と全く関係がない人の場合が多いわ。こうなると犯人の特定が難しくなるわね。

 でも連続殺人犯と一口に言っても、様々な種類に分類することができるの。まず有名なのはFBIのレスラーによる分類ね。FBIチームは収監中の連続殺人犯と性的殺人犯36名の個人情報の収集を行い、数名に対しては面接を行ったの。

 その結果、連続殺人は秩序型無秩序型という2パターンに分けることができるとしたわ。

 秩序型の場合、その犯行はかなり計画的に行われるわ。だから現場に証拠は残さない。感情の自制もできる。被害者は犯人の性的対象となる人間。殺害前にはサディスティックな行為をして、殺害後、遺体はしっかり隠蔽するわ。

 犯人の特徴は、知能は平均もしくはそれ以上で社会適応性もあるわ。だから配偶者がいたりすることもあるわね。これに対して無秩序型は感情が抑えられないの。

 被害者は偶然出会った人となるわ。犯行現場には証拠や遺体を残したままの場合が多いわ。犯人の特徴は知能は平均以下、社会適応もなく、家庭が不安定な場合が多いわね。もっともこれらの分類はサンプルが少ないから、客観性が低いんじゃないかっていう指摘もあるわ。

 “FBIのレスラー”というのは、『FBI心理分析官』の著者で、オウム真理教事件、神戸連続児童殺傷事件などで犯人の特徴を分析する“プロファイリング”をおこなった元FBI捜査官のロバート・K・レスラー氏のことです。連続殺人犯の動機に対して「身内だと足がつきやすいのと、性的対象にはならないってことかも」といった感想があるなかで、調査対象が36人ということに「統計として十分なのかなあ」といった意見も寄せられました。

犯行動機は4つに分類される

アリス・マーガトロイド: 
 次にアメリカの犯罪研究の第一人者とも呼ばれるホームズという人の分類を見ていくわ。彼は連続殺人の犯人像をその犯行動機によって次の4つに分類したわ。

 まずは幻覚型。これは名前の通りで、幻覚を見たり幻聴を聞いて殺害する場合ね。悪魔の声が聞こえたとか、神の声が聞こえたとか。「あいつは俺の悪口を言っている!」というような被害妄想をしてしまう場合とかね。こういう人は重い精神病の傾向があるわ。

 次に使命型。これは黒人、ユダヤ人カトリックとか、ある一定の層の人を殺害する場合。犯人はこうした人間を排除することで世の中がよくなると思っているの。だから殺害しても罪悪感を感じないと言われているわ。

 3つ目は快楽型。これは快感とかスリルを求めて犯行に及ぶものよ。この快楽は性欲と結びつく傾向があるの。だから犯人にとって、その殺害する過程が大事なの。拷問したり、解体したりね。あとは何度も窒息させることを繰り返して性的興奮を喚起させることもあるわ。窒息は性的興奮と結びつきやすいと言われているわ。

 一方で、この快楽型の犯人は普通の社会生活を送っている場合が多いの。さっきのFBI分類だと秩序型に相当するわね。

 そして最後にパワーコントロール型。他人の生死を自分がコントロールしていることに快楽を感じるタイプ。だから快楽型の派生とも言えるわね。

表向きは優秀な人間が連続殺人犯だった実際の事件

アリス・マーガトロイド: 
 じゃあここまでの分類を踏まえて、実際に起った事件を分析してみるわ。まずはジョン・ウェイン・ゲイシー事件。6年間にわたって少年を33名殺害したアメリカの連続殺人犯よ。
スティーブン・キングの『IT』の元ネタになったとも言われている有名な事件ね。

アリス・マーガトロイド: 
 彼は専門学校卒業後、製靴会社に就職し、優秀な営業成績を残したわ。そして同僚の女性とも結婚。のちに建設会社も設立し、その営業センスから会社の経営も順調だったわ。ピエロの衣装でボランティア活動に参加したり、地域の有名人だったそうよ。

 でも裏では少年を家に連れ込んで脅しながら性交。最後に首を絞めて殺害。これを繰り返していたの。彼が逮捕されたとき、自宅の床下からは29人の遺体が発見され、床下に入らなかった分の遺体は近所の川から見つかったそうよ。

 表向きは優秀な人間、一方では快楽を求めた殺人を繰り返す。分類としては典型的な秩序型、快楽型ね。

 次々と少年を手に掛ける「秩序・快楽型」であるゲイシーの犯行手口に視聴者からは「うげぇ・・・」「悪魔やん・・・」といった連続殺人犯の心理に戸惑うような反応コメントが多数投稿されました。


 解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画を視聴してみてください。

▼動画はこちらから視聴できます▼

アリスと学ぶ犯罪心理学 #1連続殺人犯の心理

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