ベストセラー作家・伊坂幸太郎と人気ミュージシャン斉藤和義との交流の中で生まれた小説『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)を、三浦春馬と多部未華子で映画化。その中で萩原利久は、物語の10年後の世界で“奇跡のような瞬間”を呼び起こすひとつの大切なピースとなる高校生・和人役を演じている。気になる同級生・美緒(恒松祐里)との関係性や、父親に対してむしゃくしゃしてしまう心情など、思春期ならではの心情を繊細に見せた彼に、役との共感性や自身の”奇跡のような瞬間”について聞いた。

■出演していることを忘れるくらい夢中に!自身の恋愛観も告白!!

――完成した映画を観られた感想は?
萩原 自分が出ているパート以外は観られていなかったので、初めて試写で全編を観たときは自分たちのパートと別の方々が演じられているパートが見事にシンクロしていることに感動しました。映画なんだけど小説を読み解いていくような感覚があって。変な話、自分が出てくるまで自分が出ていることを忘れていました(笑)。それくらい観ているのが楽しかったし、おもしろかったです。

――その中での和人はどう演じようと?
萩原 和人は高校生で、この役を演じたときの僕は19歳だったんです。その中で監督からポロッと言われてすごく心に残っていることが、「高校生って、もうちょっと若くていいんじゃないかな」ということ。少し前までは僕も高校生で、そのときに高校生役を演じていても全然“高校生らしさ”を考えずにいられたから、言われたときに初めて“自分はもう高校生には見えないんだな”ってことに気付いたんですよね。そこからは高校生らしさをすごく意識して演じました。

――仕草や話し方に変化を出したんですか?
萩原 そうですね。テンションも普段の自分よりちょっと上を目指しました。大人になるとだんだんひとりでいても感情を抑えられる瞬間があるけど、高校生はまだそれに素直に反応できるだろうなと思ったので。ひとりでのリアクションはかなり大きくしましたね。

――気になる美緒との微妙な空気感も、高校生だからこそですよね。
萩原 和人にとって美緒は気になって気になってしょうがない対象なので、どこで誰が何人いようと、仮に100人、200人いようとも、美緒だけを見てしまう。でも、ふたりになるとキュッと萎縮しちゃって、和人が和人でいられなくなる。そういうのって学校にいるからこそ、起こりうる距離感だと思うので、すごく楽しかったです。どんなに避けても必ず教室で会っちゃうし、考えちゃうし。かと言って積極的にアタックできるのかと言われると、いけない…みたいな。

――ご自身もいけない方でしたか?
萩原 うーん…多分、萎縮していけない…という状態が長くは続かないと思います。最終的には積極的に動くかな。でも最初はどんなに短い時間だとしても、微妙な距離感が生まれる瞬間は絶対にありますよね。ただただ浮かれている、みたいな(笑)。演じていてなんだかすごく懐かしいような気持ちになりました。

■優雅な朝を迎えられてご満悦!?自身に起きた“大きな奇跡”とは?

――和人は父親に対して“こんな大人にはなりたくない”と考えている部分もあります。そこについても共感できましたか?
萩原 あの感じは“和人は、もうすごい高校生だな!”ってなりました(笑)。俺は違うんだぞって言いたくなる感じもわかるし、学校での姿を家では絶対に見せないっていうのもすごくわかります。僕も当時、口には出していなかったですけど同じように“こうはならないぞ”と思うことはあったので。振り返ると、高校生のときって尖っていたなぁ…って思います。でもその当時は自分が尖っているとは思っていないじゃないですか。だから撮影では、あえて和人のその部分を丁寧に見せることで高校生感を出すようにしていましたね。時折“高校生の男子ってバカだな~”って思うこともありながら(笑)

――撮影は宮城・仙台でのオールロケだったと伺いました。そこでの撮影はいかがでしたか?
萩原 街全体が協力的で、みなさんとても温かく迎え入れてくださいました。あと、すごくお弁当がおいしかったです(笑)牛タンを何回食べたかわからないですし、“ずんだ”も初めて覚えてハマりましたね。「ずんだシェイク」もよく飲みました。それまでは仕事で地方に行ってもそんなに観光をしなかったんですけど、ここではちゃんと観光してから帰りましたし。僕、だいぶ浮かれていたと思います(笑)

――今作は時を越えて思いがけない小さな奇跡が起こる物語ですが、萩原さんが経験した、最近の小さな奇跡は?
萩原 本当に僕の中だけの奇跡でもいいですか?朝起きるのがすごく苦手で、マネージャーさんにいつも「○時までに起きなかったら電話してください」ってお願いをしているほどなんです。でもこの間、初めて目覚ましが鳴る前に起きられたんですよ!8時にセットしていたら、6時40分くらいにバッと目が覚めて。嬉しくて、嬉しくて、飛び上がりました。ゆっくりお風呂に入って、朝ご飯を食べて、それでも時間が余るからニュースを観てから家を出る…っていう、すごく優雅な朝を迎えられて。傍からみたら奇跡でもなんでもないだろうけど、僕にとっては大きな奇跡でした。ちなみに、それ以降は一度も早く起きられていないです(笑)

文/松木智恵

©2019アイネクライネナハトムジーク製作委員会

【インタビュー】萩原利久「高校生のときって尖っていたなぁ…って思う」時の流れとともに見えてきたあの頃の景色