ACL準々決勝第2戦で上海上港と1-1ドローも浦和がアウェーゴール差で4強進出

 浦和レッズは17日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の準々決勝第2戦、上海上港(中国)とのホームゲームを1-1で引き分け、2戦合計3-3で並ぶもアウェーゴールの差で突破を決めて4強に進出した。この試合のテーマの一つが、相手キーマンの元ブラジル代表MFオスカルをいかに封じるかだった。

 敵地での初戦、浦和は前半だけで2-0としながら後半に追いつかれた。その大きな原因が、相手のシステムチェンジでフリーになりがちになったオスカルを起点とした攻撃に手を焼いたことだった。実際に、2-1とされたPKはオスカルが突破に掛かったところで与えたものだった。

 この試合でも上海は初戦の後半と同じシステムでスタート。そのオスカルに対して浦和はMFエヴェルトンがタイトにつく構えを見せた。それは「青木(拓也)が出て行った時に、本来なら自分が真ん中を埋めないといけない。でも、オスカルが開いている時には、その時の判断でオスカルに付いていくこともあった」と話したほどだった。

 その一方で青木が「そのタイミングで中を使われた場面もあった」と話したように、諸刃の剣という側面もあった。しかし、前半のうちにGK西川周作らの選手と大槻毅監督の間で修正ポイントが整理され、右ウイングバックのMF橋岡大樹とDF岩波拓也が相手のウイングを受け渡してスライドする整理がされ、全体が落ち着いた。そこからペースを奪うと、前半のうちに大きな先制ゴールを奪うに至った。

「最も危険」なオスカルが後ろに下がり始め… 「僕たちがスペースを与えなかった」

 いずれにせよ、西川やエヴェルトン、青木も「最も危険なのはオスカル」という共通認識があった。それは、相手の前線で元ブラジル代表FWフッキが出場停止で欠場していることも一因であり、オーストリア代表FWマルコ・アルナウトビッチを孤立させる効果も生んだ。中国勢との対戦で多くあるパターンの、強烈な外国籍選手を中国人選手たちがサポートするというタイプのチームと対峙し続けてきた経験が生きた試合だったとも言えるのだろう。

 後半に入って上海は3バックに変更し、マッチアップが明確となって浦和の問題は解消された。数少ない相手の攻撃機会で1失点したのは課題だが、エヴェルトンは「オスカルは普段よりも後ろに下がって行くようになったし、僕たちがスペースを与えなかった」と話し、青木は「初戦のほうが脅威だった」と話した。キーマンの封殺にはおおむね成功したと言える。

 2年ぶり3回目の優勝が見えるところまで勝ち進んできた浦和だが、アジアでの戦いを熟知しているチームであることを改めて示した試合になった。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和レッズは「脅威」であるMFオスカルをどのように封じたのか【写真:高橋学】