【この記事の動画を見る】

イランで先月、11歳の少女と22歳の男性の結婚式が執り行われ、その様子を撮影した動画を地元のジャーナリストがSNSに投稿した。これに地元当局が介入することとなり、イランの児童婚の現状が浮き彫りとなった。『Radio Free Europe / Radio Liberty』『The Sun』『Metro』などが伝えている。

先月26日、イランのコフギールーイェ・ブーイェル=アフマド州バーマエイ(Bahmaei)で執り行われた結婚式の様子を収めた動画がSNSに投稿され、多くの議論を呼んだ。『The France 24 Observers』によると、11歳と思われる少女が花嫁で22歳とみられる髭を生やした男性が花婿だという。報道によれば2人はいとこ同士とのことだ。

動画では、伝統的な儀式に則って花婿が花嫁の家族に持参金として金貨を14枚と現地通貨である5000万トマン(約128万円)を支払うことを宣言している。イスラム聖法では花婿と花嫁は結婚の誓いをお互いはっきりと伝えなければならないため、神父が少女に3回ほど結婚の同意を確認した。

神父の「この男性と結婚しますか?」の問いに少女は「父と母が同意していることなので私は結婚します」と答え、花婿も「結婚します」と続けた。その瞬間、式場にいる家族や来場者からは大きな歓声があがった。この一連の様子を捉えた動画は、地元ジャーナリストのジャバド・ヘイダリアン氏(javad heydarian)によってSNSに投稿された。

ヘイダリアン氏は自身のTwitterに「これは単なる動画ではない。私にとっても衝撃的なニュースだ。何よりも新婦となった少女の人権の消失である」と投稿し、彼はこれが氷山の一角であり何百人もの少女が表沙汰にならないところで同じ目に遭っていることを訴えた。

イランにおいて女性は13歳で親の同意があれば結婚できるが、それ未満の年齢になると裁判所の許可が必要となる。明らかに幼く見えるこの少女は、メディアによっては9歳とも伝えられている。ヘイダリアン氏の投稿動画には多くの人が怒りを露わにし、国営テレビもこの件を取り上げたため地元当局が動くこととなった。

地方検察官のハッサン・ネーガン・タージ氏(Hassan Negin Taji)は、イランの家族法第50条に違反したため、式を執り行った関係者や花婿と少女の家族、神父らを起訴したと発表した。実際にこの花婿が13歳未満の少女と結婚したとなれば、半年から2年ほどの禁固刑が言い渡されるという。

また今回の結婚は検察側の働きかけにより無効となったが、『Radio Free Europe / Radio Liberty』によると裁判所の許可が下りた場合はすぐに結婚が可能になるとのことだ。

ちなみにユニセフの今年2月の発表によると、18歳の誕生日を迎える前に結婚した幼女や少女が世界中で推定6億5,000万人存在するという。また同機関では、児童婚を強いられた少女たちは学校教育を修了することも難しく、また身体が完全とは言えない若いうちに妊娠、出産することで命の危険もあると訴えている。

画像は『Radio Free Europe / Radio Liberty 2019年9月4日付「Child Bride: 11-Year-Old Iranian Girl’s Marriage Annulled After Public Outcry」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト