留任した菅義偉官房長官岸田文雄政調会長、さらなる要職に就いた茂木敏充外相、加藤勝信厚労相、河野太郎防衛相、そして小泉進次郎環境相……。自民党内の「ポスト安倍」レースが混沌とする中、連立を組む公明党でも「ポスト山口」レースに一気に火がついてきた。

 山口那津男代表(67)は、前任の太田昭宏元国交相が2009年衆院選で落選し、急きょ就任。さわやかな弁舌で支持母体・創価学会の婦人部から熱狂的な支持を受け、10年を超える「超長期政権」を築いた。

 ただ、難点は面白みがないこと。与党党首同士、2人で定期的に昼食を取る安倍晋三首相は周囲に「山口さんと話していると、NHKアナウンサーインタビューされているみたいなんだよなあ」と苦笑する。

 来秋、任期満了での代表退任が既定路線となる中、後継の本命は、今回の改造で、3年11カ月務めた国交相を外れた石井啓一氏(61)だ。創価学会ウォッチャーが分析する。

「石井氏は東大工学部卒、建設官僚出身で仕事ぶりにそつはなかったが、山口氏と同様、面白みに欠ける。山口氏の次が石井代表では公明代表は堅物続きになる。新国交相人事は、必ずしも石井代表で決まりではないことを示しているのではないか」

おバカでお茶目な候補とは?

 新国交相に就任した赤羽一嘉衆院議員は、高校時代にラグビーの全日本高校選抜に選ばれた経歴もあり、公明党では数少ない武闘派で知られる。長年幹事長を務め、今も党ににらみを利かせる井上義久副代表にも率直に物を言う直言居士で、煙たがられる存在だった。

 従前、後継国交相の本命とされていたのは石田祝稔政調会長だった。逆転で抜擢された背景には、首相との関係がある。赤羽氏は首相とは93年当選同期で「山口氏や石井氏と反対に、おバカでお茶目な面があり、公明党の議員では一番首相と波長が合う」(創価学会関係者)。

 公明の人事を事実上決めるのは創価学会の原田稔会長とされるが、「今回の赤羽氏の人事には、『簡単に石井代表にはしないよ』という原田氏の考えがにじんでいるのでは」(同前)とみる。

 そこで石井氏の対抗馬とみられているのが高木陽介国会対策委員長(59)だ。「TVタックル」や「朝まで生テレビ!」にもしばしば出演し、顔も売れている。赤羽氏と同じく首相と同期で率直に話せる間柄。「文句言い」で井上副代表が「天敵」なのも同じだ。

 かつての自民内になぞらえれば石井氏が官僚派で、高木氏が党人派。「安倍一強」が続く自民より、公明の代表レースが面白そうだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年9月26日号)

まるでNHKのアナウンサー? ©共同通信社