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住宅や家財を守るための火災保険。しかし“いざというとき”は、実はすでに全国各地で頻発していた。増税に加え、やむをえないこの値上がりに、どう対抗すべきなのかーー。

「この10月から、全国的に火災保険料の大幅な値上げが実施されます。それは、損害保険会社が保険料算出の基準にする『参考純率』が、平均5.5%引き上げられたためです」

そう語るのは、「保険相談サロンFLP用賀SBS店」所属で、ファイナンシャルプランナーの佐藤和士さん。建物や家財を守る火災保険。火事だけでなく、台風による窓の破損や床上浸水、雪の重みによる屋根の倒壊など、風災や水害、雪害も補償対象だ。

住まいを守るために欠かすことのできないこの保険が値上がりした要因は、’18年5月、「参考純率」が4年ぶりに見直されたこと。

火災保険の保険料は、「損害保険料率算出機構」が決めた「参考純率」をもとにして、保険会社が個別の状況(経営状況、価格戦略等)をふまえて決めている。そしてこの保険料は地域や、建物構造(マンション・鉄骨造住宅・木造住宅の3種類)、築年数、補償内容などによって異なる。

今回、「参考純率」が最も大きく引き上げられたのは鹿児島県のマンション。その改定率は40.1%と、平均を大きく上回っている。引き上げの背景を、佐藤さんは次のように話す。

「近年、ゲリラ豪雨や台風などによる水害、豪雪の被害が多発し、保険金の支払いが急増していることが影響しているでしょう。これまで保険金の支払いは4,000億円前後だったのですが、’18年度には1兆円を超えてしまう見込みです」

家計を直撃する火災保険の並々ならぬ値上げ。同月から始まる増税も相まって、やりくりには頭を抱えてしまいそう……。そこで、保険に詳しいファイナンシャルプランナーの飯村久美さんに、火災保険を見直すことで節約につながる「見直しの4カ条」を教えてもらった。

【1】補償内容を見直す

「大前提として、いつくるかわからない災害に備えての保険ですので、“切り詰める”という感覚は持つべきではありません。しかし、今の補償内容が本当に必要かどうかをチェックすることは大事です。とくに水害補償の有無を見直す際、参考にしてほしいのは国土交通省が出している『ハザードマップ』。これを参照し、居住地のリスクを鑑みつつ、水害時の補償を外して保険料を節約するという手もあります」

【2】免責金額を見直す

「火災保険の免責金額」とは、保険金が受け取れるような事故が起きたとき、契約者側が自己負担しなければならない金額のこと。

「見直し時、免責金額を高く設定すればするほど、いざというときの自己負担額は大きくなりますが、そのぶん月々の保険料を安く抑えることができます」

【3】火災共済への乗り換えを検討する

生協など、非営利の生活協同組合が運営する火災共済に加入していれば、損害を受けた場合に保険金として「共済金」を受け取ることができる。契約条件は、生協の組合員であること。特徴として、補償額が少ないが、決算時に剰余金があれば「割戻金」で戻ってくることなどが挙げられる。

「補償内容がカスタマイズできず、商品の選択肢が少ないですが、民間の損害保険会社とは異なり、非営利団体が運営しているぶん、リーズナブルな値段になっています」

【4】支払い方法を見直す

最後に考えたいのが月々の保険料をまとめて支払うという手段だ。

「毎月払いから年払いに変更すれば、5%程度下がります。さらに10年一括を選ぶと、2割ほどの節約にも。支払い時は大きな支出となりますが、年間保険料を3万円とすると、10年で約6万円お得です。クレジットカードで支払えば、ポイントをがっつりためることもできます」

火災保険は一度入るとなかなか見直す機会がない。大幅値上げの時期が迫る今が、まさに見直しのタイミングなのだ。