発症すると致死率が98%と非常に高いことから‟殺人アメーバ”と呼ばれる感染症「原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)」に罹り、米テキサス州の小学5年生(10歳)の少女が死亡していたことが明らかになった。少女は風邪に似た症状が現れる1週間ほど前に川で泳いでいたことが分かっており、遺族は「娘の死を無駄にしないためにも、より多くの人にPAMやその予防法について知ってもらいたい」とFacebookで訴えている。

テキサス州ボスキー郡在住のリリー・メイ・アヴァンちゃん(Lily Mae Avant、10)が、アメーバによる感染症「原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)」により亡くなっていたことが16日、遺族が立ち上げたFacebookによって明らかにされた。地元メディア『NBC DFW』によると、リリーちゃんは9月2日レイバー・デー(Labor Day)の連休に、同州中部マクレナン郡ウェーコに近いブラゾス川で泳ぎ、8日に頭痛や発熱を訴えて医師に鎮痛剤を処方されていた。

10日の朝、目を開けているだけで何の反応も示さなくなったリリーちゃんは地元の救命センターに搬送された後、空路で同州フォートワースにあるクックチルドレンズ・メディカル・センターに移動した。リリーちゃんの脳は酷く腫れており、検査の結果PAMの感染が判明した。医師らは脳の腫れを抑えるため、リリーちゃんを薬による昏睡状態において治療を続けていたが、意識が回復することはなかった。

PAMは川や湖、池などの比較的温かい淡水に生息する‟フォーラーネグレリア”というアメーバが、人の鼻から侵入して脳に寄生する。感染することは稀だが、感染すると1~9日(中央値は5日)ほどで脳を溶かし、発熱、寒気、嘔吐、頭痛、痙攣、幻覚などを起こして昏睡状態に陥る。またこのような症状が現れると1~18日(中央値は5日)で死に至るという。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、米国内での感染は1962年から2018年で145例報告されているが、うち生存者はわずか4名だけだという。日本でも1996年11月に佐賀県で初の感染が確認されており、25歳の女性が亡くなっていた。

なおリリーちゃんの両親は娘が入院中、2010年に息子カイル君(7歳)をPAMで亡くしたルイス夫妻から励ましのメッセージやサポートがあったことを明かしている。ルイス夫妻はカイル君の死後、PAMについてより多くの人に知ってもらおうと「カイル・ケアーズ(Kyle Cares Amoeba Awareness)」を立ち上げ、PAMの治療薬ミルテフォシン(miltefosine)を病院に常備させる活動をしたリ、PAMの検査キットの開発のための募金活動、PAMの教育活動などを行っている。

リリーちゃんの死を受けて『NBC DFW』のインタビューに応じたルイス夫妻は、「これ以上の犠牲者を出さないために、川や湖の水温が高く水位が低い時期の入水を避けたり、鼻クリップやマスクの使用、頭を水に入れないなどの予防措置を取ってください。PAMの症状が現れたらできるだけはやく行動し、医師に淡水域で泳いだことを伝え治療を開始することが大切です」と呼びかけている。

画像は『Mirror 2019年9月17日付「Girl, 10, died after catching rare brain-eating parasite while swimming」(Image: Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト