「先週も女友だちと二人で韓国に行ってきたんです。すっごい楽しかったですよ」

 そう屈託のない笑顔で話すのは、PR会社に勤める梅田由美子さん(仮名・26歳)。学生時代に韓国の魅力にハマり、現在でも2か月に一度は旅行に出かけているという。

 日韓関係が悪化の一途をたどるなか、メディアでは連日、韓国国内での反日デモの様子が伝えられ、不穏な空気がながれている。しかも、8月23日には同国の繁華街を訪れた日本人女性が現地の男性にナンパされ、暴言を吐かれた挙げ句に髪を掴まれるなど暴行を受けるという事件も発生した。

 そんな状況であえていま「韓国に行きたい」と思う人は減っているのではないか。事実、韓国観光公社によれば、韓国を訪れた日本人は5月~6月にかけて前年同月より1.3%減、6~7月にかけては2.7%とそれぞれ減少している。
 とはいえ、もともと日本人の旅行先として韓国は人気で、JTB総研の調べでは2018年・目的地別日本人海外旅行者数は、韓国が1位。今年減ったとしてもかなりの人数が韓国旅行していると思われる。

 そんな中、最近も優雅に女子二人旅を楽しんできたという梅田さん。正直、危険な目には会わなかったのだろうか?

◆韓国旅行に行くなら、むしろ今がチャンス!?

「全然なかったですね。むしろ今回のことがあったせいか、いつもより親切に接してくれる人が多かったように思います」

 唯一、タクシーで運転手に「日本人か?」と聞かれたときは、一瞬身構えたそうだが、正直に答えると「喧嘩しちゃダメだよな。同じ人間なんだから。仲良くしないとね」と優しく話しかけられたという。

 また、別のタクシーでは「日本は今大丈夫ですか?」日本語で話しかけられ「昔のことは昔ですし、未来のことを考えなくてはいけない。(この関係は)政治だけです。国民は大丈夫ですよ。韓国で日本食を作っている人たちの売り上げは今、10分の1になってしまっています。困りますね」と現在の状況を憂えていたそうだ。

 さらに、梅田さんが一人で行動をしようとすると、現地で合流した韓国の友人たちは皆「危険な目にあうといけないから」と自分たちの予定をすっとばして、一緒についてきてくれたそう。

「今まで何度も韓国に行っていますが、あからさまな反日感情をぶつけられたり、今回みたいなタチの悪いナンパに遭遇したことが一度もないんですよ。韓国によく行く友人からもそういう話を聞いたことはないし、いまいちピンとこないというか。だからこの状況で『危険だから韓国に行かない』という選択肢はないですね」

 そんな梅田さんいわく、韓国旅行に行くなら、むしろ「今がチャンスとのこと。

「こんな状況だから予約をキャンセルする人も多いみたいで、旅費がいつもより格段に安いんです。なにより日本人観光客が少ないから、いつも激混みの観光スポットやショップ、飲食店なんかも空いていて、ストレスなく楽しめますよ」

 まさに“韓国慣れ”している梅田さんならではの意見とも言える。このタイミングで韓国デビューしたいけど躊躇しているという人は、こういう慣れている人と一緒に行くといいのかもしれない。

◆韓国で反日デモに……日本人女子たちの運命は?

 続いて話を聞いたのは、韓国アイドルの追っかけで、年に何度も韓国に行くという倉持はづきさん(仮名・25歳・IT関連)。

 ただ、最後に行ったのは数ヶ月前。直近でも予定はないという。さすがに現在の状況を考慮してのことだろうか。

違いますたまたま推しグループイベントがないだけで、あれば会社を休んででも行きますよ」とのこと。

 敢えて気をつけるとすれば、日本人観光客が集まる都市、弘大(ホンデ)明洞(ミョンドン)だそう。

「もともとこういう状況になる前から、弘大や明洞ではときどき反日デモが行われていたんです。いつもなら気にしないのですが、さすがに今の時期は避けた方がいいかなと……」

 だが、これも取り越し苦労だったと言う。

「ちょうど今、友達の女子二人が韓国に行ってて、明洞で反日デモに出くわしたって連絡がきたんです。でも特に何事もなく、『お願いします』ってビラを渡されたって言ってました」

 あえてなのか、日本人と気づかなかったのか、後者ならなんとも拍子抜けする話だ。

「その後、コンビニの店長をやっているっていう韓国人おじさんに声をかけられて、いま三人で飲んでるそうです」

 もはや、韓国うんぬんではなく、普通に「大丈夫か?」とも思うが、オッチャンは気前よく奢ってくれ、何事もなく解散したという。

 倉持さんからしてみれば「日本にいる時の方が『韓国アイドルが好き』って言うと絡んでくる人がいて、面倒くさい」そうだ。

 他にも知人・友人が韓国に行っているが危険な目にはあっていないとのこと。確かに、日韓関係が悪化して以降、日本人が危険な目にあったといういうのは、ナンパ暴行事件ぐらいだ。それすら反日感情から起きたものか定かではない。メディアが取り上げる「反日感情むき出しでデモに参加する人達」という韓国の情景は、紛れもない“事実”ではあるものの、それが“全て”ではないという、当たり前のことに気づかされる。

 そして、今の状況を逆手にとって韓国旅行を満喫しているという前述の梅田さんも「私たちは大丈夫だと思っていても『韓国に行く』と言うと、両親や周りの人は心配するし、止めようとする人もいます。気持ちはわかるんですが、一部の悪印象でせっかくの交流が絶たれてしまうのは悲しいですよね。気兼ねなく韓国に行ける状態に早く戻って欲しいです」と思いの丈を語ってくれた。

 未だ収束の気配を見せない日韓関係の悪化は、国民同士の交流にどう影響を及ぼしていくのだろうか。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

日韓関係の悪化で日本人観光客が減っているというが……