株式会社サーベイリサーチセンター(本社:東京都荒川区)は、「2019年・台風15号に関する停電等に対するアンケート」を千葉県八街市において実施しました。

図1 被害の事前想定

図1 被害の事前想定

■調査の趣旨

2019年9月8日から9日にかけて、関東に接近・上陸した台風15号により、住民生活や産業にも様々な被害や、大規模停電・断水等が発生しています。ご不便やご不安を抱えながらお暮しになっている方々に、心よりお見舞い申し上げます。

弊社では、災害時などに自主調査研究を行い、その結果を広く行政・研究機関・報道機関などに活用して頂けるように提供する活動を行っております。この度、2019年9月14日(土)に千葉県八街市において、台風に対する備えや対応、停電等の生活への影響などについて、現地調査を実施いたしました。

今回の台風では、産業分野など幅広い影響や広域的・長期的な問題点などがある中で、この調査は、八街市役所、八街市民の皆さまにご理解を賜りながら、地域生活に注目する形で調査を実施したものです。

■調査実施体制

調査主体   株式会社サーベイリサーチセンター

       SRC情報総研

監修・協力  東洋大学社会学部 教授 中村 功

■調査結果のポイント

<台風の接近・上陸への意識や備え>

台風15号に対して「特に何も準備しなかった」との回答が57.2%だった。近年、大きな台風被害がなかったことが影響していると考えられる。自身の居住地域で過去の台風や大雨による被害を見聞きしたことがある人とない人では、ある人の方が、災害に対する想定や事前の準備を行った人の割合が多い。

<台風や停電による困りごと>

8割以上の回答者が「冷蔵庫・冷凍庫の中身が傷んだ」と回答。停電によって、電気が使えなくなることで、テレビが見られない、電話・携帯電話が使えない、インターネットが使えないなどの情報に関する困りごとや、風呂に入れない、暑さに困った、といった問題が上位を占めた。

これらの経験から、今後の備えに重視することでは、飲料水の備蓄、懐中電灯やローソクの用意、携帯電話やパソコンの充電や予備バッテリーの用意、ガソリンの給油や、浴槽への水はりなどが挙げられた。

水・電灯・食料の備えに加え、スマートフォンの充電、マイカーの給油などは現代的な課題といえる。

<知りたかった情報>

回答者の85.8%が、知りたかった情報に「電気の復旧の見通し」を挙げている。

情報源として特に役立ったアイテムは、さまざまな災害時の調査結果と同様に「ラジオ」である。

■調査概要

調査地域 :千葉県八街市

調査対象 :調査地域に居住する18歳以上男女個人

調査方法 :調査員による面接調査法(ランダムウォーク法、一部クォータ法)

調査内容 :台風への備え、台風による被害や影響、停電による影響、

      情報入手、困りごと、

      今後の備えなど

有効回答 :318サンプル

調査実施日:2019年9月14日(土)

■調査結果

▼回答者のプロフィール

●回答者の性別、年齢層は以下のとおり。年齢層における【母集団】は、八街市平成31年3月31日現在の住民基本台帳人口の分布を用いており、本調査の年齢層分布は母集団に比べ20歳代が少なく、70歳以上がやや多い点に留意されたい。

●回答者の居住地区(小学校区)は、実住(43.7%)、朝陽(36.5%)、八街東(13.8%)が主となっている。

9月14日(土)の調査実施時点における、回答者の停電復旧状況は、88.4%である。

●回答者の、今回の台風15号襲来による避難状況は、8割以上が「避難はしていない」と回答。

避難した人のきっかけとなったのは「停電したため」や「親族や友人・知人からの連絡」であることが多かった。

台風15号の接近・上陸に対する準備

<8割近くが「事前に想定していなかった」>

自身の居住地域に被害が発生することを想定していたか、との問いに対して「全く想定していなかった」との回答が49.4%と最も多く、「あまり想定していなかった」(29.9%)を合わせると8割近くとなる。

<過去の台風や大雨による被害を見聞きしたことが「ある」19.8%、「ない」61.6%>

居住地域で、過去に台風や大雨による被害などについて、見聞きしたことがあるか、との問いに対しては、「ない」が61.6%となっている。

<市が公表しているハザードマップは「知っている」24.8%、「みたことはある」24.5%>

市が公表しているハザードマップについて、「知っている」と答えた人は24.8%で、内容はともかくマップがあることを知っている人と、知らない人がおよそ半数ずつとなっている。

<過去の台風や大雨を知っている人は、事前の想定ができていた割合がやや多い>

居住地域で、過去に台風や大雨による被害などについて見聞きしたことがある人とない人では、事前の想定に差がみられることがわかった。「想定していた」と「ある程度想定していた」を合わせた【事前想定層】は、見聞きしたことがある人の31.8%であり、見聞きしたことがない場合(18.4%)を約13ポイント上回っている。

<過半数が、台風への備えについて「特に何も準備しなかった」>

台風15号に備えて、事前に準備をした人は、およそ4人に1人。今回の台風のためではないが日頃から行っていた準備を含めると42.5%が何らかの準備を行っているが、過半数は「特に何も準備しなかった」と回答している。

<過去の台風や大雨を知っている人は、事前準備の割合がやや多い>

事前の想定と同様に、事前の準備行動についても、居住地域で、過去に台風や大雨による被害などについて見聞きしたことがある人の方が、準備をしている人の割合がやや多いことがわかった。今回の台風のためではないが日頃から行っていた準備を含めると、過去の台風や大雨を見聞きしたことがある人では、準備の割合が55.6%であり、見聞きしたことがない場合(38.3%)を約17ポイント上回っている。

<主な備えは、灯りの用意、戸締り・片付け、携帯電話・スマホ等の充電、飲料水確保など>

事前の準備行動では、「懐中電灯やローソクを用意した」(66.7%)、次いで「窓の戸締りや雨戸を閉めた」(60.7%)が特に多く、以下、家の周りのかたづけ、携帯電話・スマートフォンなどの充電、飲料水の確認や買い足しなどが上位となっている。

台風15号による被害などについて

<冷蔵庫・冷凍庫の中身の傷みは8割以上。家屋に何らかの損壊も4割以上で発生。>

自宅での被害については、「冷蔵庫・冷凍庫の中身が傷んだ」が82.4%と最も多い。「特に被害はない」との回答は4.4%であり、ほとんどの回答者が何らかの被害があったと回答している。

台風15号で困ったことの第1位は「電気が使えなくなった」(99.1%)。>

台風15号の影響により困ったことでは、ほとんどの回答者が「電気が使えなくなった」(99.1%)と回答しており、加えて「テレビを見ることができなくなった」(86.2%)、「電話・携帯電話が使なくなった」(74.2%)ことなどを挙げている。以下、風呂に入れなかった、暑さでまいったが過半数となっている。

<停電で困ったことの上位はテレビ、冷蔵庫。以下、洗濯、エアコン、灯り、携帯・スマホ。>

停電の影響により困ったことでは、「テレビが見られない」(78.9%)、「冷蔵庫が使えない」(75.5%)が特に多く、以下、となっている。

▼台風や災害に関する情報の入手について

<知りたい情報の第1位は「電気の復旧の見通し」(85.8%)。>

台風の襲来後に、知りたいと思っていた情報では、「電気の復旧の見通し」が85.8%と最も多い。以下、電話(通話)の復旧の見通し、台風の被害状況、水・食料や生活物資について、台風の進路や規模などの順となっている。

<情報入手手段は「電気の復旧の見通し」(85.8%)。>

情報入手の役に立ったものでは、「ラジオ放送」(33.0%)が最も多かった。

▼調査日(9月14日時点)の困りごと

<困りごとの第1位は「壊れた家屋の修繕」(31.4%)。>

調査時点での困りごとでは、「壊れた家屋の修繕」が31.4%と最も多い。調査時点で停電が未復旧の回答者では、飲料水をはじめ、ごみの処理、健康状態などに関する項目への回答も多かった。

▼今後の備えについて

<今後の備えに大事だと思うことは、灯り、食料、充電や、ガソリン、浴槽への水ためなど。>

今回の台風を経験して、台風の前に対策をとっておくことが大事だと思うことをたずねたところ、「飲料水の準備をする」(68.2%)、「懐中電灯やローソクを用意する」(64.5%)、「食料の備蓄をする」(61.3%)が特に多かった。以下、携帯電話やパソコンの充電や予備バッテリーの用意、車のガソリンを満タンにしておくことや浴槽に水をためておくことなどの備えが上位にあがっている。

▼今回の台風を経験して(自由意見)

<備えについて>

●「事前の備えや、天気予報(気象情報)などに注意を払う」ことや、いざというときの「自助・共助の重要性」に関する意見が目立った

●アンケート結果にもあったとおり、日頃からの備蓄や非常時に使うものの確認・手入れ、家の周りの片付けなどの再認識に関する意見がみられた

●停電により、夏の暑さへの対応の大変さ、健康への影響についてなどの意見がみられた

<施策等について>

●「防災無線が聞こえない、聞こえにくい」という意見と、物資支給の情報や復旧の見通しなどの「情報提供の内容、スピードの改善」に関する意見が多かった

●災害や復旧などに関する、行政対応への感謝の意見と共に、行政・関係機関などの、より速い対応への要望もみられた

■株式会社サーベイリサーチセンター 概要

会社名 :株式会社サーベイリサーチセンター

所在地 :東京都荒川区西日暮里2丁目40番10号

設立  :1975(昭和50)年2月

資本金 :6,000万円

年商  :70億円(2018(平成30)年度)

代表者 :代表取締役 藤澤 士朗、長尾 健、石川 俊之

社員数 :社員253名、契約スタッフ496名 合計749名(2019年3月1日現在)

事業所 :東京(本社)、札幌、盛岡、仙台、静岡、名古屋、大阪、岡山、広島、高松、

     福岡、熊本、那覇

主要事業:世論調査・行政計画策定支援、都市・交通計画調査、マーケティング・リサーチ

所属団体:公益財団法人 日本世論調査協会

     一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)

     日本災害情報学会

     一般社団法人 交通工学研究会 他

その他 :ISO9001認証取得(2000年6月)

     プライバシーマーク付与認定(2000年12月)

     ISO20252認証取得(2010年10月)

     ISO27001認証取得(2015年11月)※

     ※認証区分及び認証範囲:

     ・MR部が実施するインターネットリサーチサービスの企画及び提供

     ・全国ネットワーク部が実施する世論・市場調査サービスの企画及び提供

●調査結果の内容については無断転載・複製を禁じます。

●本調査は株式会社サーベイリサーチセンターによる自主調査研究です。本文を引用される場合は、出典に「株式会社サーベイリサーチセンター」を明記してください。

●報道発表資料に記載している情報は、発表日時点のものです。

図1 被害の事前想定