Credit: MICHAEL VINCENT/UNIVERSITY OF ILLINOIS

Point

■生きた神経と筋肉細胞から成る、およそ1ミリメートルの泳ぐロボットが開発される

■ロボットは照射されると動くが、まだその動きをコントロールするまでには至っていない

■このロボットが医療機器などと結びつくことで、ソフト・ロボティクスの分野に革命を起こす可能性がある

虫歯も怖くない? 歯のエナメル質を「再生」する技術の開発に成功

硬く力強いイメージのあるロボットですが、「やわらかさ」を加えることで柔軟な対応を可能にする「ソフトロボティクス」という技術分野が昨今注目されています。

今回開発されたのは、生きた神経と筋肉細胞から成る半生物ともいえる小さなソフトロボットで、光に照らされると動き回るとのこと。

イリノイ大学の研究者による論文は、9月16日付けで「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されています。

ソフト・ロボティクスの分野に朗報

ロボットの中のメカニカルな部分は柔らかく、生きた細胞と互換性を保つようにデザインされました。そしてその大きさはおよそ1ミリメートルと、針の先ほどしかありません。

しかし研究者はこのロボットについて、「特別賢いわけではない」と話しています。その仕組みは、「ロボットに搭載された神経細胞が光に反応して、自動的に筋肉を動かす命令を下しているだけ」とのこと。

現段階ではまだ、そこに複雑な指令を盛り込むことはできません。

Credit: pixabay

しかし、骨格筋と幹細胞由来のニューロンを1つのマシンの中に統合するという試みは新しく、ソフト・ロボティクス分野に希望の光を与えました

将来的にはもっと賢くなる

研究者らは、どの形が最もよく泳いでくれるのかを知るために、様々なロボットの形をテストしました。そしてたどり着いたのが、2つの鞭毛の尾を持つ細胞のような形のロボットです。

しかし、すべての有機体が同じ動きをみせることがないように、このロボットもすべてが同様に動いてくれるわけではありません。

研究をおこなったタヘル・サイフ氏は、「まったく同じ動きをみせるわけではない双子のように、同じ機能をデザインした2つのマシンでも、同じようには動きません」と語っています。

Credit: L. Brian Stauffer / 研究チームの顔ぶれ

まだ未熟なこのロボット、コントロールすることは容易ではありません。しかし研究者らは、さらに研究を重ねることで、未来ではもっと賢くなったロボットをリリースできると信じています。

そのうちこのロボットが医療機器を統合すれば、医学界に革命が起こせるかもしれません。そんな大きな可能性を秘めた、この小さなロボットの進化に期待したいところです。

ダイヤモンドも消える「黒」!ベンタブラックの黒さを超える新素材が開発される

reference:techxplore, futurism / written by なかしー
生きた筋肉と神経を持つ「バイオボット」が開発される