韓国の俊英チョ・ソンジンが第17回ショパン国際ピアノコンクールを制覇してからすでに4年の歳月が過ぎようとしている。この間、常にピアノ界の第一線で活躍を続けたチョ・ソンジンの存在感はますます大きくなり、たくましさを増した印象だ。そのレパートリーも、得意のショパンはもとよりモーツァルトドビュッシーなどなど、自らの可能性を確かめるかのように慎重に広げられてきたことも功を奏し、今や押しも押されもしないピアノ界のスターとして認知されている。まさにショパン国際ピアノコンクールの栄光の歴史に名を刻むにふさわしい存在と言えるだろう。

  そのチョ・ソンジンが今回のリサイタルで披露するのは、モーツァルトの「幻想曲ニ短調」&ピアノソナタ第3番に、シューベルトの「さすらい人幻想曲」。そして、ベルク&リストのピアノ・ソナタという、ピアノファン垂涎のプログラムだ。特に気になるのが後半のベルクとリストの2つのソナタ。ともに「ロ短調」で書かれたこの2曲の存在感は、ピアノの歴史の中でも特筆モノだ。このよりすぐりの名曲に対峙するチョ・ソンジンの心意気やいかに。俊英の今を聴く上で最良の時間がここにある。

◆公演概要
9月24日(火)サントリーホール 大ホール
「チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル」

◆チョ・ソンジン Seong-Jin Cho(ピアノ, Piano)

(c)Harald Hoffmann DG

2015年10月第17回ショパン国際ピアノ・コンクール優勝、ポロネーズ賞も同時受賞し、国際的な脚光を浴びる。卓越したテクニックと透明で美しい音色、身体中から溢れ出る音楽性が聴く人の心を打ち、若き世代で最も際立つピアニストの一人として、高く評価されている。1994年ソウル生まれ。2008年モスクワショパン国際ピアノ・コンクールで優勝、2009年浜松国際ピアノ・コンクールでは15歳で最年少優勝を果たし、2011年チャイコフスキー及び2014年ルービン・シュタイン国際コンクールで第3位受賞。これまでにチョン・ミュンフン、マゼール、ヤンソンス、ゲルギエフ、プレトニョフ、アシュケナージ、ラトルなどの著名な指揮者の指揮の下、ベルリン・フィルバイエルン放送響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ミュンヘン・フィルフィルハーモニア管、フランス国立放送フィルチェコフィルブダペスト祝祭管、マリインスキー歌劇場管、ロシアナショナル管、デンマーク放送響などの世界一流のオーケストラと共演。また、カーネギー・ホール、コンセルトヘボウ、ロッテ・ホール、ラ・セーヌ・ミュージカル、マリインスキー歌劇場をはじめとする世界を代表するコンサートホールでリサイタルを行っている。現在ベルリン在住。老舗ドイツ・グラモフォン・レーベルと専属契約を結び数々のCDが発売されており、最新録音は「モーツァルトのピアノ協奏曲第20番、ピアノ・ソナタ第3番、第12番」。

チョ・ソンジン