代替テキスト

「昨年6月の北海道ロケから始まって泰樹役へのテンションがずっと持つだろうかと思ったけれど、撮影は楽しかった。泰樹は開拓者精神にあふれ、偏屈で頑固じじいでガツンと怖いところもあるけど、深い愛情と思いやり、時におちゃめで非常に人間っぽい。こんな幸せな役に巡り合えるのはなかなかありません。役者冥利につきます」

カウボーイハットに手を添えて、ほほ笑みながら語る草刈正雄(67)。100作目となるNHK連続テレビ小説なつぞら』で広瀬すず演じるヒロインなつの人生の師・柴田泰樹を演じた。

8月23日放送では、なつに娘が誕生し、いとおしそうにひ孫を抱く泰樹。ひ孫の名づけ親となり「優」と命名。涙の感動回と話題になった。

「やはり赤ちゃんを抱いてニコ~って笑われたりすると、たまらないですね。もう自然に芝居以前の問題でね、体からあふれ出てくるもんですよ。いとおしいな~って」(草刈・以下同)

そう満面の笑みの草刈は『なつぞら』撮影中の昨年末に、愛娘(紅蘭)にも赤ちゃんが誕生し、“おじいちゃん”になっていたのだ。うちに遊びにきた孫をあやすこともあると笑う草刈。“ひ孫ができた泰樹”と思いも重なるそうだ。

「影響はありますよ。頭の片隅にはね、『あ~(いとおしい)』などいろんな思いがありながら、ひ孫役の赤ちゃんに接することができました。きっといい映像になってたんじゃないかな」

劇中では、なつの娘以外にも、子どもたちが増えて大所帯に。

「僕は『なつぞら』はホームドラマだと思っています。僕の若いころは結構やらせてもらったけれど、近年は少なくなりました。でも朝ドラのように長く一緒にいると、ちゃぶ台を囲んで、みんな本当の家族のようになる。誰かがせりふを間違えても自然に、にや~っと笑いが起きたりね。関係性がうまくいっていない現場では、互いにムッとしたりすることもあるけど、柴田家は、誰が失敗してもOK。本当に家族のようです。この現場は、いつ行っても何してもみんなが笑顔。涙の名場面も、そんなみんなの笑顔が作り出したもの。僕もそうだったけど、みんな自然と温かな思いが湧いて出てくる現場でしたね」

今回、草刈は泰樹役を通じて、開拓者の精神も学んだという。

「故郷の博多でよくいいますが、僕はふだん、すぐ好きになるがすぐ飽きてしまう“好きやすの飽きやす”なんです。基本的にはなまけもので、どっちかというと仕事したくない(笑)。だから『この役をやりたい』というのはなく、来たものをありがたく受け取ります。決して“あきらめない”開拓者精神は泰樹から学びましたね。僕も今回、長ぜりふもあって、この年で必死になって“あきらめずに”と、自分を叱咤激励して撮影に挑んだ。僕の中にあった開拓者の精神が湧き上がった気がします」

泰樹を演じ、スタジオでも“ずっと見守られていた気がする”と語る草刈。実は真田昌幸を演じた『真田丸』(’16年)のときにも同じような経験をしたという。

「僕の演じた昌幸を昔、『真田太平記』(’85年)で演じてらした丹波哲郎さんが『おまえ、ちゃんとやれよ』と応援してくださっているのをスタジオで感じたんです。『なつぞら』でも。スタジオに入ると、亡き母や父をはじめ戦争を経験された人、開拓者の方々、ご先祖様、そんな皆さんの思いを何か感じるんです。目には見えないけれど、みんなが助けてくれているかもしれませんね」