国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、李氏朝鮮時代に建立された「韓国の書院」を世界文化遺産に登録したことについて、中国から「再度、中国の歴史遺産が韓国に奪われた」との怒りの声が出ている。自国文化は世界一と胸を張る韓国に“冷や水”を浴びせた格好だ。世界遺産を巡る中韓の対立は、これが初めてではない。

2005年に韓国が申請した『江陵端午祭』が無形文化遺産に登録された際、中国メディアネット上では、『中国発祥の文化・端午節が韓国に奪われた』との批判が起きました。それだけに『書院』の件をネットでは『今度は書院文化まで乗っ取られた』『本家である中国の書院はまだ世界遺産になっていないのに』という意見が相次いでいます」(中国ウオッチャー)

 中国の書院については、白鹿洞書院を含んだ廬山国立公園や嵩陽書院を含んだ鄭州の歴史建築群が世界遺産に指定されているが、「中国の書院」という形では登録されていない。

 韓国は中国の怒りについて、こう反論している。「文化の起源論争をすればキリがない。仏教関係の遺産はインド以外、申請できなくなるではないか」

 この韓国の理屈が通れば、中国で仏教彫刻の石窟として名高い「龍門洞窟」や、チベット仏教の聖地・ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群などが世界遺産に登録されたことは、どう説明するのか。中国人の多くは「両世界遺産は、仏教という外来文化を中国が独自に発展させたものなのだ」と反論するだろう。

「一般的に教育機関としての書院は7世紀の中国・唐の時代に始まり、16世紀に朝鮮半島へ伝わったとされています。韓国の書院は、儒教が盛んだった当時の朝鮮で、官製の学校と異なり、私設学校として地域社会が設立しています。李氏朝鮮の書院は中国の影響を大きく受けていますが、独自の発展を遂げた部分はないわけではありません」(比較文化に詳しい大学教授)

 韓国のように文化をナショナリズムの道具とみなすか、日本のようにインターナショナルツールとするか、国それぞれだが…。