欅坂46が19日、2日間にわたった東京ドーム公演の最終日で「夏の全国アリーナツアー2019」を締めくくった。5万人のファンを前にメンバーたちは全21曲に及ぶこん身のパフォーマンスを繰り広げ、同会場の初日に久々に披露されたことも話題を集めたアンコールの「不協和音」では客席にどよめきが起こった。さらに、ダブルアンコールでは平手友梨奈が自身の主演映画『響 -HIBIKI-』の主題歌であったソロ曲「角を曲がる」を披露し、観客からは驚きの声も上がっていた。

【写真】「不協和音」“僕は嫌だ!”の瞬間ほか、東京ドーム公演の模様

 開演前には恒例となっている“影ナレ”は、キャプテンの菅井友香、上村莉菜、原田葵が担当。注意事項を告げたのち、3人が「最終日、行くぞ!」と鼓舞すると早くも会場内には大きな歓声が響き渡った。

 総立ちで観客が待ちわびる中、暗転したメインステージにスポットが当たると制服姿の平手が登場。途中、天を仰ぐかのような振り付けをしながら上段に置かれたグランドピアノの元へたどり着き、鍵盤を一つ叩くと再び暗転した場内に開演を告げる「overture」が流れ始めた。

 そして、スポットの当たったメインステージに真紅の衣装を着たメンバーがそろい、1曲目は「ガラスを割れ!」を披露。客席のサイリウムはグループのキーカラーである緑から赤へと変わり、曲中ではステージ前方に幾度となく火柱が放たれていた。

 インストゥルメンタルのBGMと共にダンスパートが繰り広げられたのち、続けて披露された「語るなら未来を…」では曲中、中心に立つ平手へ向けてメンバーたちがそれぞれの手をかざし合う。再びのダンスパートを挟み、次の「Student Dance」ではメンバーたちが手元のスマホでリアルタイムに撮影した映像がスクリーンに映し出され、曲中の見せ場である石森虹花、小林由依、齋藤冬優花、鈴本美愉、平手の間奏のダンスパートでは、彼女たちを囲むように、花道中央のステージの周囲に水柱が立った。

 その後、メインステージへと戻った平手が、上段に置かれたグランドピアノの上に乗り、ソロのダンスを披露。最後、片足で平手が鍵盤を鳴らすとともに始まった「エキセントリック」では、曲中の「もう そういうの勘弁してよ」のフレーズを山崎天が発すると、客席からは大きな歓声がわき起こった。

 メインステージが煌々(こうこう)とした光に照らされ、MCでは菅井が「東京ドームは直前まで緊張感がすごくて、初日にリップを塗ろうとしたら力みすぎて本体を壊してしまいました」と裏話を告白し、佐藤詩織は「一期生の『お見立て会』をやっていた当時はこんなに大きな場所に立てるとは思わず、グループが大きくなるにつれて二期生も入ってきてくれて、たくさんの方に支えられながら今こうして立てているのは感慨深い」と涙をにじませながら思いを明かした。

 菅井の「二期生のみんな、よろしく!」の言葉を合図に、ステージに残ったのは田村保乃、松田里奈、森田ひかる、山崎天の4人。「去年の終わり、二期生の『お見立て会』をやったときはこんな景色を味わえると思っていなかった」と松田が話し、続く田村は「今回のツアーへ参加して、これまでとは違った思いが巡ってくるようになった」と自らの成長を報告。

 森田は「CDショップでたまたま『語るなら未来を…』のMVに足を止めたのをきっかけに加入して、まさかこんな場所に立てるとは思わなかった」と心境を伝え、山崎は「欅坂46へ入る前よりも、グループが好きになってきました」と思いを口にした。

 パフォーマンスへ戻ったグループは「世界には愛しかない」を披露。続いて、菅井、守屋茜渡辺梨加、渡辺理佐によるユニット曲「青空が違う」ではメンバーたちが気球に乗って客席へと近づき、上村莉菜、尾関梨香、小池美波、長沢菜々香、原田によるユニット曲「バレエと少年」では、原田が首を振る仕草がクローズアップされると客席には大歓声が鳴り響いた。

 再び全体曲へと移り「二人セゾン」では、一人で花道を歩く平手とメインステージで彼女を待ち受けるメンバーたちの構図が強調され、それぞれのメロディーを数珠つなぎにしたまま「キミガイナイ」や「もう森へ帰ろうか」が立て続けに披露された。

 公演も中盤へさしかかり、上村、長沢、土生、渡辺梨加渡邉理佐によるユニット曲「僕たちの戦争」では場内にレーザービームの光が飛び交い、続けて披露した石森虹花、齋藤、佐藤、土生のユニット曲「結局、じゃあねしか言えない」では、自転車に乗ったメンバーたちが花道からアリーナ席の外周へと降り、観客も彼女たちに向けて大きく手を振りながら応えていた。

 曲が終わり、再びのMCを担当したのは井上梨名、関有美子、武元唯衣、松平璃子の二期生たち。緊張した面持ちで「これから4人でお話したいと思います」と伝えた武元が「欅坂46って自分にとってどんな存在?」と問いかけたのをきっかけに、「私は『サイレントマジョリティー』が出る前から好きで、はかなさに憧れていた」と明かしたのは関。

 松平は「私自身はよく変わってるよねと言われるけど、『エキセントリック』の“変わり者でもいい”というメッセージに勇気づけられた」と話し、武元は「加入前から『世界には愛しかない』が好きで、学校へ行く前に奮い立たせるために聴いてた」と回想する。

 また、活動について思いを馳せた井上は「初めは緊張しっぱなしだったけど、今は『もっといろいろな曲を踊りたい』と心が変わってきた」と心境の変化を明かし、その言葉を受けた武元も「自分の未熟さから悔しくて泣いたこともあったけど、メンバーとしてグループを支えられる強さが増してきたかなとも思う」と話し、客席へ向かって「これからも“チーム欅坂”を応援してください!」とメッセージを伝えた。

 ライブも終盤へと近づき、メインステージの足元に緑色の光が灯ると、デビュー曲であった「サイレントマジョリティー」がスタート。続く「避雷針」ではイントロの始まりとともに客席の歓声はさらに勢いを増し、曲中では一人だけフードをかぶった平手の表情がスクリーン越しに強調され、早着替えを経た「アンビバレント」や「風に吹かれても」をたたみかけるように披露した。

 次に流れた人気曲「危なっかしい計画」ではイントロに併せて守屋が「お前ら、もっと声出せんだろ!」と叫び、石森、藤吉夏鈴、小林も客席を鼓舞。曲の終盤では松田が「東京ドームありがとう!」と精一杯の力で叫んだ。さらに、本編の最後に披露した「太陽は見上げる人を選ばない」では、メンバーたちとファンが一体となり曲中のフレーズを大合唱渡辺梨加が「みんなのこと大好き!」と客席へ向かって叫ぶと、場内は大歓声に包まれた。

 その後、しばらく暗転していた場内に「不協和音」のイントロが流れた途端、客席からは雄叫びにも似た歓声がとどろき、メインステージの前方で爆音と共に上がった花火を合図にパフォーマンスがスタート。途中、平手が「僕は嫌だ!」と心の底から感情を吐き出すかのようにフレーズを叫ぶと、客席からはこの日一番と思えるほどの歓声が四方八方からわき上がった。

 会場は再び暗転し、グループのロゴが映ったスクリーンの光だけを頼りにした客席は「欅坂46!」の力強いコールがこだましていた。しばらくして、最後の曲として披露されたのは平手のソロ曲である「角を曲がる」。全国ツアーの集大成として一人で歌い上げた平手は最後、涙をにじませたかのような表情を見せながらもひと呼吸置いたのち、客席へ向かい「ありがとうございました」と挨拶し、深々とお辞儀をしてステージを跡にした。

19日に行われた「夏の全国アリーナツアー2019 追加公演in東京ドームセットリストは以下の通り

M1「ガラスを割れ!」
M2「語るなら未来を…」
M3「Student Dance」
M4「エキセントリック
M5「世界には愛しかない
M6「青空が違う」
M7「バレエと少年」
M8「制服と太陽」
M9「二人セゾン
M10キミガイナイ
M11「もう森へ帰ろうか?」
M12「僕たちの戦争」
M13「結局、じゃあねしか言えない」
M14サイレントマジョリティー
M15「避雷針
M16「アンビバレント」
M17「風に吹かれても」
M18「危なっかしい計画」
M19「太陽は見上げる人を選ばない」

アンコール
EN1 「不協和音
EN2「角を曲がる」

欅坂46「夏の全国アリーナツアー2019 追加公演in東京ドーム」 撮影:上山陽介