女優の桜井日奈子主演で、34年ぶりに再映像化された連続ドラマ「ヤヌスの鏡」(FOD、毎週金曜深夜0時〜配信)が佳境を迎えている。主人公・裕美への折檻をはじめ、回を増すごとに緊迫感漂う同作において、毎話ほっと一息をつける良いアクセントになっているのが裕美と親友・純の日常の一幕だ。そんな純役をフレッシュに演じているのは、桜井の事務所の後輩で連続ドラマ初出演となる若手女優、森マリア。純粋さと気品を醸す佇まいと、芯の強さを感じさせる瞳が印象的な19歳。同作の撮影や女優業への思い、意外な素顔まで迫った。

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「神戸美少女図鑑」への出演をきっかけに現事務所にスカウトされた森。小学校から抱いていた芸能界への漠然とした憧れは、映画と出会った事で「女優になりたい」という夢に変わった。

「小さい頃からディズニーのプリンセスが好きで、それをきっかけに映画を良く見るようになりました。スクリーンの中のキラキラとした人生に憧れて、気付いたら女優になりたいという夢に変わっていました。連続ドラマの出演は初めて。今回、一カ月の撮影期間を通して、みんなで作品を作り上げていくことにとてもやりがいと楽しさを感じました」

現在、19歳。原作はもちろん、34年前に放送されたドラマ版も知らなかった森にとって、同作の世界観はとても新鮮に映ったそう。

「出演のお話をいただくまでヤヌスの鏡について全く知らなかったんです。母に聞いたら、よく見ていた作品でとても話題になったと聞いて。実際に出演してみて、ヤヌスの鏡は見れば見るほど面白くなっていくドラマだと思いました。夜遊びしている人がナイフを持っていたり、定規で叩かれたりとか、今の作品だとあまり見ないシーンもあって、どこか癖になる面白さがありますね」

主役の桜井は同じ事務所の先輩で初共演。連続ドラマ初出演の緊張を和ませ、優しく引っ張ってくれたという。

「桜井さんは、いつでも自然体で気さくな方。撮影中、緊張していた私にたくさん話しかけてくださり、楽しく撮影ができました。自然体で可愛いという印象でしたが、共演してみると意外と姉御肌の一面もあって。連続ドラマの現場が初めての私を引っ張ってくれました」

重い雰囲気のドラマの中で、自身が演じる純は数少ない明るいキャラクター。軽妙な関西弁も良いスパイスになっているが、実は撮影直前に監督から指示があったんだとか。

「原作は標準語なんですが、撮影直前に監督から関西弁はどうかな?って提案をいただいて。神戸出身なので、脚本も自分で関西弁に直させてもらいました。関西弁を取り入れたことで、純がより明るいキャラに仕上がったと思います。関西人を演じるのは楽しかったのですが、演技で話すとエセ関西弁風に感じてしまって難しい面もありました」

高校卒業後に兵庫から上京し、大学に通いながら事務所の演技レッスンを受ける日々。本作で本格的な女優デビューを果たしたが、自身の演技についてはなかなか厳しい自己評価だ。

「監督と話をしながら今できる精一杯の演技をしました。でも、演技力はまだまだなので、自分の中では納得いかないことも多かったです。特にリアクションの演技。何かの出来事に対して、自分が感じたことを表現する、ということができていませんでした。映像を見て恥ずかしかったので、もっと努力していかないと、と感じましたね」

演技の未熟さに目を背ける事なく、今の自分としっかりと向き合っていく森。女優としては歩き出したばかりだが、その仕事に対する真摯な姿勢からは今後の成長を期待せずにはいられない。

「自分の強みですか? うーん、まっすぐなところですかね。オシャレでもないし、そんな綺麗でもないし(笑)。素朴さとか、純粋さとか、一生懸命さを意識してこれまで頑張ってきたので、芯のある真っ直ぐなところが私の強みだと思います」

お嬢様と思いきや友達からはおばさん扱い? 憧れの俳優は渥美清

兵庫出身、趣味は映画鑑賞、バイオリン歴10年ーー。その風貌と違わないお嬢様かと思いきや、素顔は飾らない普通の大学生。しかも、友達からは「おばさん」と呼ばれることもあるとか。

「父親がつけてくれたマリアという名前は本名なのでよくお嬢様っぽいねって言ってもらうのですが、全然お嬢様じゃないんですよ。見せかけのエセです(笑)。友達からは、しゃべってみると“おばさん”だねと言われます(笑)。事務所のみんなからの扱いも、割と雑というか。そういうキャラで通ってます(笑)」

大好きな映画に関するトークでも、よくよく聞くとその雰囲気からは想像できないエピソードが飛び出す。

「日本の俳優さんだと『男はつらいよシリーズ』の渥美清さんが好きです(笑)。渥美さんだから出せる笑いや人情味あふれる演技に憧れますね。笑いって、演技の中で一番難しいと思うんですよ。私自身、すごくコメディーが好きなので、笑いもできて泣きの演技もできる、幅の広い女優になりたいです」 

清楚な風貌にギャップのある飾らない素顔。それだけでも充分魅力的だが、さらにそこに料理が得意という家庭的な一面も加わる。

「昔、ひいおばあちゃんと住んでいた時に手伝いをしながら料理を覚えました。得意なのは煮込み系で関西風おでんとか! ひいおばあちゃんが広島出身なので、味付けは甘辛い感じで。うちのおでんは濃い目なんですよ、大人だったらお酒が進む感じの(笑)。今、東京で暮らしているのですが家庭菜園をやっていて、トマト、ナス、バジル、大葉、ブルーベリーを育てています。え、家庭的ですか? はい、いつでもお嫁さんに行けます(笑)」

今は仕事が恋人と言われそうだが、あえて好きな男性のタイプを聞いてみた。

「私の家系がすごく顔の濃い人が多いので(笑)、見た目は薄い顔の方が好きです。奥二重ぐらいが好き。中身で言えば、私は長女なので割としっかりしなさいと育てられたんです。だから、男性は頼れる人がいいですね。甘やかしてくれる人がいい(笑)。反対に、しつこい人と自分に対して否定的なネガティブな人はNG。デートに行くならですか? アウトドアが好きなので、一緒にキャンプに行きたいです」

来年成人式を迎える。10代ラストの今年、やっておきたいことを最後に聞いた。

「10代最後…いっぱい遊びたいです(笑)。来年から(周りも)就活が始まると思うので、友達と思い出を作りたいですね。20歳の大人になるので、将来を見据えて精神的な面でもしっかりしていきたいですね。素敵な大人になりたいです」(ザテレビジョン

ドラマ「ヤヌスの鏡」で連続ドラマ初出演を果たした若手女優の森マリア(19)