10月1日から消費税は10%に引き上げられることになり、将来への不安と政治への不満はますます高まっている。いまや2人に1人が100歳以上まで生きる時代となり、2007年に日本に生まれた子供の50%107歳まで生きるという研究もあるほどだ。ところが、これから年金をもらう世代の間では「払った分に見合うだけの年金が本当にもらえるのか」という“年金不信”は根強い。

◆年金の「繰下げ受給」は本当に得なのか?

 今後は受給開始年齢が65歳から68歳に引き上げられるのはほぼ確実で、将来的には70歳まで引き上げられる可能性もある。さらに物価や賃金などの伸びに合わせて給付額を自動的に抑える「マクロ経済スライド」によって、平均して0.9%ほど年金が目減りしていくといわれている。そこで、少しでも多くの年金をもらいたいと思っている人は検討したいのが、年金の「繰下げ受給」だ。

「繰下げ受給」とは、65歳で年金を請求せず、もらい始める年齢を繰り下げることで年金額が増額される仕組み。1か月遅らせると0.7%、1年で8.4%増える。最大5年まで繰り下げることができ、70歳からもらい始めると42%も増えた額がもらえる。

 一方、「繰上げ受給」といって前倒してもらうこともでき、1か月早めると0.5%、1年で6%減る。最大5年まで繰り上げることができ、60歳からもらい始めると30%も減ってしまう。

 では、繰り下げと繰り上げをすると、どう変わるのか。『消費増税×老後2000万円問題 最強の解決ガイド』のなかで、年金の繰下げ受給/繰上げ受給についての試算がされている。

 通常どおり65歳からもらうのと比べ、繰上げ受給をすると受給額は減るが早くもらい始めることができるため、受け取り総額では多くなる。ところが、ある年齢からは逆転され、受け取り総額は少なくなってしまう。例えば60歳からもらい始めたら、逆転される年齢は76歳となっている。

◆81歳以上長生きすれば逆転

 逆に70歳から繰下げ受給した場合、しばらく受け取り総額は少ないが、81歳以降になれば総額は多くなり、長生きすればするほど多くの年金がもらえることになる。

 このような繰り下げのメリットはまだまだ知られておらず、現在繰り下げを選んでいる人はわずか1.4%しかいない。対して、3人に1人は繰上げ受給を選択している。確かに繰下げ期間中は年金をもらえないため、65歳以降も働き続けたり、貯蓄を取り崩しながら暮らす必要がある。

 また、受け取り総額が少ない間に亡くなってしまうと、「普通に65歳からもらっておいたほうがよかった」と“もらい損ねるリスク”があるのも事実だ。

 さらに、5年間繰り下げると42%増なのに、税金と社会保険料の負担が増えるせいで「手取り額」で見ると42%増とはならない点にも注意が必要だ。

 ただし、もらえる年金を受け取っていなかった場合は5年間さかのぼって請求することが可能。つまり、繰り下げ待機中に亡くなったり、今からもらいたいと思ったら、遺族や本人が5年までさかのぼって一括で受け取ることができる。健康状態や資産状況などに合わせて「繰下げ受給」も検討したいものだ。<取材・文/SPA!編集部>

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