視聴率の不振が続くテレビ業界では、インターネットを通じて、利益を得る方法が模索されています。地上デジタル放送が始まったことで、放送した番組が簡単にネットで見られるようになりました。

ナメる

 一方で、“ネット発”放送局も存在感を増しており、テレビとは、放送局だけのものではなくなりつつあります。テレビは今後、大きく変わっていく業界なのかもしれません。今回は、テレビ業界の業界用語を見ていきましょう。

Q.「ナメる」ってどういう意味?

Aさんの肩ナメて」

 決して舌で舐めないでください。

A.物や人越しに被写体を撮影すること

 AさんとBさんが向かい合って会話しているシーンを撮影する場合、Bさんの肩越しにAさんの顔をにピントを合わせて撮影することを「Bさんの肩ナメで」と言います。また、よくあるのが、歌番組などでアーティストステージを撮影する際、あえて観客の後ろ姿越しに映すことを「客ナメで」と言ったります。

 テレビではなく、映画など映像撮影全般に関する業界用語でもあり、他には「前ピン」「後ピン」などがあります。ピントが被写体ではなく、手前にある物に合っているのを「前ピン」。被写体の背景にピントが合っていることを「後ピン」と言います。演出上、敢えて「後ピン」から被写体にピントを移し、より被写体の存在感を際立たせることもあります。

 よく使われている手法なので、テレビを見ていて「あ、これ〇〇ナメだな」「後ピンだな」と考えながら見ると楽しいかもしれません。

Q.「アゴ」って何のこと?

「この撮影、アゴ付きですか?」

 しゃくれスタッフニックネームではありません。

テレビ
※画像はイメージです(以下、同じ)

A.食事代

「ロケ弁」という言葉がよく知られていますが、撮影の際に食事代が出ることを「アゴ付き」と言います。

 現金が支給されることはほとんどなく、ロケ弁と言われる出前の食事をスタッフが注文します。新人スタッフにとって、出前の注文は重要な仕事のひとつ。一人ひとりに何を注文するか聞く必要がある場合は、空気を読んで全員に聞いて回らなければなりません。忙しい撮影の現場で、食事は数少ない楽しみでもあるため注文を間違えたり、数が足りなかったりしたら、かなりの不評を買ってしまいます。そのため、弁当は少し多めに注文しておくようです。

 バブル時代は豪華な仕出し弁当が振る舞われていましたが、不況の影響で、制作予算は縮小傾向にあり、今ではシンプルな鮭弁や、コンビニおにぎりになってしまうことも。ただ、よほど短時間の撮影以外はアゴ付きが基本です。

 ちなみに、交通費は「アシ」と呼ばれ、宿泊費は「マクラ」と呼ばれます。食事代、交通費、宿泊費がすべて出ることを「アゴアシマクラ付き」と言います。

Q.「ロケハン」とは?

「ロケハン行ってきます」

「ハン」はハンティングの意味です。

探す

A.条件に合った撮影場所を探すこと

 ロケ(機材などを現場に持ち出して行う撮影)をするために、雰囲気や環境が条件に合う撮影場所(ロケ地)を探すことを「ロケハン」と言います。ドラマなら「遠くに東京タワーが見える公園」や「並木道沿いのおしゃれカフェ」、街歩き系のバラエティ番組なら特定の「◯◯商店街」「タピオカ店」などです。

 闇雲に歩き回ってイチから探すことはほとんどなく、テレビ番組の制作会社には、各条件に合ったロケ地をまとめた資料があり、本当に条件に合っているか下見をして確認をします。とはいえ、常に新しいロケ地を開拓しなければならないため、テレビ業界に勤めると、どこへ行っても「ここはこういう撮影に使えるなぁ」と考えるようになります。

 また、良い場所が見つかったとしても、撮影許可が取れなければ使用することはできません。お店の責任者や、道路の場合は管轄の警察署へ許可を申請します。無許可で撮影した場合は、通報されたり、最悪、訴えられたりすることも。街のお店の店主などは、お願いの仕方次第で許可をくれる“人情派”な場合も多く、撮影許可が取れるかどうかは、スタッフの交渉術の見せ所なのです。

TEXT/都田ミツコ モデル/東山美紗(SPA!DOL)>

【都田ミツコ】

編集者ライターエッセイスト。日課は今朝計った体重を妹にラインで送りつけること。