大人気コミック「この音とまれ!」がTVアニメ化に続いて舞台化された。dTVチャンネルのひかりTVチャンネル+では、その舞台の模様を9月22日(日)に配信する。初座長を務めるのは「ミュージカル・テニスの王子様3rdシーズン」手塚国光役などで知られる財木琢磨。東京公演中の9月20日、財木に“挑戦者”としての本音を語ってもらった。

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■ これは挑戦できる舞台だと思った!

――今回の作品の話を初めて聞いたときの率直な感想を聞かせてください。

箏の生演奏が不安要素の一つでしたが、何か得られるものがあると感じ、これは挑戦できる舞台だと思ったので、もう喜んで引き受けました。そして、その舞台で初座長を務めることにもなりました。まぁ座長として何をすればいいのか正直分かりませんが、熱い気持ちで頑張るので、みんなには付いてきてほしいです。

――初座長はいかがですか。

昨日は休演日だったんですが、小島ことりさんから連絡が来て、「財木が座長で良かったと思うよ」と言われ、グッときました。また、原作者のアミューさんが、「愛(ちか)が財木さんで本当に良かった」とツイートしてくださっているのを見て、もう感激で、こうして原作者の方に認めてもらえるのは本当に嬉しいことだと思いました。

――演出の伊勢直弘さんとは役作りなど、どのような話をされましたか。

伊勢さんには「ダイブ」という舞台でもお世話になっていて、今回が2度目なんです。伊勢さんは、役者が考えたことを自由にやらせてくださる方で、僕たちの気持ちをくみ取った上で的確なアドバイスをしてくださいます。稽古中もやりやすい環境を僕たちに作ってくださいました。

■ 熱量的にもすごい作品!

――今までに経験した舞台と比べてどのような違いがありますか。

主演でずっと舞台に出ることが初めてなんですが、とにかく熱量的にもすごい作品です。お芝居でこんなに熱くなって、こんなに汗をかきっぱなしというのも初めて。舞台袖にはけても集中力が途切れないようにしているので、あらためてお芝居って疲れるんだなと思いました。でも演じていてすごく楽しいです。

――挑戦している感じがとても伝わってきます。

今回は本当に挑戦です。半年間、箏の練習をしてきましたが、筝を扱ったことのない初心者たちが、筝に触れて上達していく姿は原作に近いことを表現していると思います。生演奏で筝をがんがん弾くので、そのシーンは全神経を集中させて臨んでいます。生演奏で失敗はできないので、もちろんプレッシャーはありますよ。

――いままで楽器の経験はありましたか。

タンバリンとかリコーダーぐらいで、ほとんどやったことはなくて(笑)。筝には触れたこともありませんでした。

――原作は漫画でもアニメでも大人気ですよね。

原作の漫画はまぶしいくらいの青春物語で、読むとストレートに言葉が伝わってくるし、自然と涙が出てくるんです。ですから、それがそのまま舞台でもお客さまに届いてほしいと思ってやっています。それに原作ファンの方々も舞台を観に来てくださると思うので、そういう方々をがっかりさせないためにも、僕らが作品を誰よりも愛していかなきゃならないと思いました。ただ、原作は何度も読み込みましたが、役作りではあまりそっちに引っ張られないように心掛けました。とにかく毎回、集中して、お客さまには芝居の面白さも含めて伝えていきたいと思っています。

■ 自分がどういう人間なのか、正直よく分かってないんです!

――同じ高校生を演じてはいますが、「テニスの王子様」の時と比べて何が大きく違いますか。

テニスの王子様」の時は僕が部長で、古田一紀がルーキーだったんで、今回とは真逆な感じです。僕は威厳があって芯のある部長役でしたが、今回はそれとは正反対の役になりますね。もちろん演じがいはありますが(笑)。

――それも今回は、高校一年生ですね。

正直、高校生らしさをどうやって出すのか分からなかったんですが、台本を繰り返し読んで、忠実に役を作っていきました。

――財木さんと久遠愛の共通点はありますか。

う~ん、自分がどういう人間なのか、正直よく分かってないんです(笑)。でも、実際に初めて筝をさわった時や楽譜を見た時、本当に頭が爆発して煙が出そうな状態になってしまいました(笑)。そんな僕を見た筝の先生が、「あ、愛だねって」言ってくれたので、あぁ、そうなんだと思いました(笑)

――稽古が大変だからでしょうか、だいぶ痩せられたように見えますが。

もう最近は痩せて太っての繰り返しです。髪の色のせいですかね。今は僕の中ではちょっと太っているほうかなと(笑)。

■ 地元・福岡では、まさに凱旋公演!

――この作品を観て、筝を演奏してみたいと思う人が増えるといいですね。

筝そのものが高価な楽器ですから、そもそも入りづらい印象が強いですよね。演奏するのも難しいんですが、こんなに素敵な音色が出て、こんなに感動させてくれる伝統的な和楽器が日本にあるということを多くの人に知ってもらえるだけでも、この作品をやる意味はあると思います。

――気持ちのこもった演奏ですね。

もちろん僕たちはプロの筝奏者ではありませんが、役の気持ちや作品に対する思いが一人ひとりしっかりと詰まっているので、「届け!」という気持ちで感情が乗った熱い演奏になっていると思います。

――この舞台に挑むことで何を得ることができましたか。

初座長をやること、生演奏に挑戦したことで自信がつきました。先が長いのでまだまだ得られるものは多い舞台だと思っています。きっと千秋楽にはまた違った感情をお伝えできると思います。

――地元福岡での公演も楽しみですね。

はい。僕は実家が久留米なんです。劇場からはだいぶ距離があるので、公演中は帰ることはできないと思いますが。ちなみに筝は久留米が発祥の地だと言われているそうで、これも何かの縁なのかなと(笑)。

――ご家族や友人も大勢観に来てくださるのではないですか。

両親と親戚が来てくれると思います。友人にも軽く声は掛けましたけど、う~ん、どうですかね。僕にとっては一応凱旋公演なので観に来てくれると嬉しいです。

■ 僕らと同じ学校の生徒になったような気持ちになって参加しながら観てほしい

――幅広い世代に観てもらいたい作品ですね。

この作品は筝の演奏に熱中する物語ですが、何かに熱中することは素敵なことだと思います。その気持ちが若い方、学生の方にも伝わってほしいですし、もう就職されて働いている方にも熱中していた若い頃を懐かしんでもらいたい。ご家族で観ていただくのもいいと思いますし、幅広い世代の方々に観てほしい作品です。

――公演の合間のお休みの日は何をして過ごしていますか。

僕はファンの方からの手紙やSNSのコメントに救われることが多くて、また得られるものも多いので、休みの日はファンレターやコメントを読んだりして過ごしています。長い休みがあればドライブでもしたいのですが、今は夏なので役柄上、肌も焼けないですし、基本的には家にいます。

――今後の目標を、お聞かせください。

映像作品としては、もともと目標だった仮面ライダーに出ることができたので、次は朝ドラに出演することを目標にしています。また役者としてもそうですが、人としても成長して、いつかは目標とされる立場になりたいです。一つひとつ真面目に丁寧に、というのが自分には合っていると思います。ですから、今ある目の前の仕事に真摯に向かい合っていれば、そのうち正解が見えてくるんじゃないかと思っています。

――今回の舞台の公演が9月22日(日)にdTVチャンネルで配信されます。一言いただけますでしょうか。

この作品が多くの方に届いてほしいと思って頑張っています。筝の生演奏の舞台というのは他ではなかなか観ることができないと思います。全校集会での演奏シーンでは、僕らと同じ学校の生徒になったような気持ちで、参加しながら観てほしいです。視聴者の方にも絶対に心温まるものを届ける自信がありますので、ぜひ観てください。

ざいきたくま●1992年生まれ、福岡県出身。舞台にドラマに映画にと数多くの作品で活躍中。2019年10月には、舞台「里見八犬伝」が控えている。(ザテレビジョン

初座長としての意気込みを語る財木琢磨