【本記事は「プレミアム会員」限定記事ですが、特別無料公開中です。プレミアム会員にご登録いただくとJBpressのほぼすべての過去記事をお読みいただけます。この機会にぜひご登録ください。】

JBpressですべての写真や図表を見る

 中国人コスプレイヤーのリーユウ(Liyuu)さんの人気が、日本のコスプレファンの間でうなぎのぼりに高まっている。ツイッターのフォロワー数は44万人を超え、SNS総フォロワー数は150万人に達した。

 リーユウさんは上海出身の22歳で、今年(2019年)6月に地元のデザイン系大学を卒業したばかり。現在は日本の芸能事務所「ホリプロインターナショナル」に所属し芸能活動を続けている。

 ちょうどイベント出演のために上海から来日したリーユウさんに、コスプレを始めたきっかけや、アニメへの思いなどを聞いた。リーユウさんは日本語がある程度できるので、取材は日本語で行った。(西谷 格:ライター)

小さい頃から見ていた日本のアニメ

――小さい頃は、どんなアニメを見ていたんですか?

リーユウ 幼稚園の頃は、『カードキャプターさくら』をよく見ていました。中国語の吹き替えでテレビ放送されていたので、特に日本のアニメと意識することなく、自然に親しんでいました。

 小学生の頃は『喜羊羊与灰太狼(シーヤンヤンとホイタイラン)』もよく見ていました。ほかにも、『家庭教師ヒットマンREBORN!』や『しゅごキャラ!』『CLANNADクラナド)』も見ていました。

(注)『カードキャプターさくら
 小学生の女の子、さくらが父の書庫で不思議な本を発見したことから始まる魔法と冒険の物語。
喜羊羊与灰太狼(シーヤンヤンとホイタイラン)』
 中国の代表的アニメ作品。主人公の羊・シーヤンヤンが、おっちょこちょいな狼・ホイタイランを機転を効かせて撃退する。
家庭教師ヒットマンREBORN!
 何をやってもダメな落ちこぼれ男子中学生・ツナのもとに家庭教師リボーンが現れ、さまざまな試練を与えられる。
しゅごキャラ!
 小学生の女の子、あむが「理想のキャラクターに生まれ変わりたい!」と願ったら、なりたい自分を具現化した3人のしゅごキャラが現れた。あむの冒険と成長の物語。
CLANADクラナド)』
 男子高校生が主人公の学園アニメ。不良学生・岡崎朋也が人と人との絆を通して成長していく。

――アニメ好きでないと知らないような作品も、結構見ていたんですね。いちばん好きなアニメは?

リーユウ 特に好きなのは『ラブライブ!』です。夢を持っている女の子が、努力して成功していく姿がいい。なかでも、高坂穂乃果ちゃんはいつも元気で明るいところが好きです。

(注)『ラブライブ!
 女子高を舞台に活躍するスクールアイドルグループの物語。

コミケで自作写真集を販売

――コスプレを始めるようになったのは、いつ頃からですか?

リーユウ 中学生のときは親が厳しくてできなかったんですが、高校生になったら許してくれるようになったので、16歳ぐらいから始めました。コスプレのグッズは、ほとんどネット通販で買っています。ウィッグだけは試着しないと着け心地がわからないので、お店で買っています。

――日本でコスプレの活動をすることになったきっかけは?

リーユウ 知り合いに誘われて、2016年冬にコミケでコスプレを披露したのが最初でした。このときに、ツイッターを開設したんですが、当時はそれほどフォロワーはいなかったです。撮影を希望するカメラマンも多くなかったので、当時は一人ひとり順番に応じていました。中国人だとわかると、びっくりする人もいました。

 その後、去年の夏からはコミケにブースを出店し、自作の写真集を販売しています。

――日本に初めて来たときの印象はどうでしたか。

リーユウ アニメのなかで見ていた景色を実際に見ることができて、楽しかったです。秋葉原に行って、アニメグッズをたくさん買いました。

――日本語はどうやって勉強したんですか?

リーユウ 全部アニメを見て勉強しました。特に勉強したり学校に通ったりはしていません。

――どうしてフォロワーが増えたと思う?

リーユウ コスプレのクオリティーにすごくこだわっているからかな。キャラクターの外見を忠実に再現しているので、褒められることもあります。今の私のツイッターのヘッダー画像は『五等分の花嫁』なんですが、三玖さんの少し照れたような表情を出せるよう、注意しました。

(注)『五等分の花嫁
 1人の男子高校生が五つ子の女子高生家庭教師を務めるという恋愛コメディ

アニメのOP主題歌でCDデビュー

――尊敬しているコスプレイヤーは?

リーユウ 「えなこ」さんです。クオリティーが高く、今、日本でいちばん人気があるコスプレイヤーの方です。

(注)「えなこ
 日本の女性コスプレイヤー、歌手、声優。

――ほかの人に負けたくないと思うことがありますか。

リーユウ 趣味でやっていることだし、コスプレはみんな自分がやりたくてやっているもの。でも、かわいいと言われたりレベルが高いと評価されたりすると、嬉しいです。

――今後の目標は?

リーユウ いろんなお仕事に挑戦していきたいです。今後、『はてな☆イリュージョン』というアニメ番組のOP主題歌でCDデビューを予定しています。アニメの曲のお仕事は以前からやりたかったので、日本語の歌でも楽しんで歌うことができました。ぜひ、たくさんの方に聞いていただけたら嬉しいです。

(注)『はてな☆イリュージョン
 執事見習いの男の子と、怪盗として活動する女の子の物語。ライトノベルが原作。

※    ※    ※

 インタビューは以上である。好きなアニメとして挙げていた作品は筆者が知らないものもあり、筋金入りのアニメオタクっぷりが感じられた。小さい頃から日本のアニメを愛してやまなかった少女が、キャラクターのコスプレをして日本で大人気となり、今やアニメ番組のOP主題歌を歌うまでになった。日本アニメの実力は疑うべくもないが、リーユウさんの活躍を通して、その普遍的な魅力と、世界をつなぐコミュニケーションツールとしての可能性を改めて実感した。

 取材時は少し緊張していたのか、決して饒舌ではなかった。口数はあまり多くなかったが、どの質問にも一生懸命言葉を選んで答えてくれた。コスプレにも、きわめて真面目に、真剣に、一切の手抜きなく取り組んでいるのだろう。リーユウさんの今後の活躍に注目したい。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  女性たちの「他愛もないおしゃべり」という武器

[関連記事]

中国のアイドルはどこが「惜しい」のか

YMOの40年を記録、奇跡の写真集はこうして生まれた

コスプレ姿のリーユウさん(写真提供:ホリプロインターナショナル、以下同)