今週末から3週に渡って開催される国内のブロック大会。東京ブロックのプレビューとして、今回は夏場のローカル大会で取材できた、シニア女子、ジュニアの選手達を紹介したい。

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■ 今年こそは全日本でリベンジしたい、永井優香

今シーズンは飯塚杯、げんさんサマーカップ、東京夏季フィギュアと夏場のローカル大会に意欲的に出場し、調整を続けている。昨シーズンは悔しい思いを重ねる試合が多かったが、ようやく復調の兆しを感じ取ることができた。げんさんサマーカップでは、6分間練習でトリプルジャンプを跳ばない調整をしており、よほど調子が悪いのかと心配したのだが、中田コーチの話では「6分間ではトリプルを跳ばない調整をしている」とのことで驚いた。東京夏季フィギュアで本人に聞いたところ、練習の仕方から改善を図っている状態なのだという。

「氷に乗ってすぐに跳ぶのが苦手意識があって、サマーカップでは跳ばないようにしていたんですが、段々と練習を重ねて、ちゃんと6分間で練習できるようになってきたかな、と。途中経過っていう感じです。普段の練習もそうなんですけど、1本目が怖くて、でも滑っているうちに足元に体重がかかるようになってくるんです。そうなるとジャンプも跳べるので、その状態に早く持っていくことが今の課題です」

今季のショートプログラム、“白夜行”はとても素敵なできばえだ。

鈴木明子さんの振り付けです。練習からアピールすることをもっと力を入れていかないと、本番でそれ以上のことはできないと思っています。最初は静かなんですが、ステップのところは盛り上がるし、重たいテーマではあるんですけど、それを理解しつつ曲を表現できればと思います」

東京夏季フィギュアは合宿の直後で、かなり調子が上がっており、本人も自信を持って臨んでいたようだ。ところがフリープログラムではミスが多く、演技後にコメントをお願いしたのだが、彼女にしては珍しいほど悔しさを露わにしていた。特に練習での確率が高かったループジャンプでのミスがよほど残念だったようだ。ただ昨シーズンに比べると、闘争心が戻ってきているように感じる。今季は東日本から全日本への女子の枠も増え、昨年よりはじっくりと調整ができるはず。地元、東京開催の全日本でのリベンジを期待したい。

■ 怪我を乗り越え、ようやく上昇気流に乗った堀義正

この連載では過去に何度か取り上げている堀義正。中学生の頃からトリプルアクセルを跳んでいた逸材だが、怪我のために2年ほどのブランクを余儀なくされた。昨年の夏に復帰したのだが、復帰後は思うような演技ができずにいた。それが今年になってようやく復活。トリプルアクセルの安定感が増し、4回転の成功も視野に入れるところまでたどり着いた。上昇気流に乗ったと言っていいだろう。8月の東京夏季フィギュアで話を聞いた。

トリプルアクセルは試合中だけでなく、練習中も回り過ぎてしまうので、最近は腕の締め方を緩くして調節したりしています」

スピン、ステップに関しては、関東サマートロフィーよりは点数が稼げたそうだが、まだまだ伸びしろはありそうだ。今は4回転トウループを練習しているとのこと。8月の時点ではまだクリーンな成功はないとのことだが、近い将来には試合で見ることができるだろう。

「昨シーズンは復帰できただけで喜びでした。今シーズンからは新たな気持ちで頑張りたい。ジャンプ、スピン、ステップ、すべてを上達させたいです」

怪我をする前よりも明らかにうまくなった印象だ。中学生にしてトリプルアクセルを成功させた選手だが、当時は身体能力だけで跳んでいる印象だった。東京夏季フィギュアのフリーでは、彼にしては珍しいルッツの失敗があったのだが、実はルッツは3回転だと高さが出過ぎ、回転も回り過ぎて苦労しているようだ。

「4回転ルッツも現実的に考えています。トウループが跳べるようになったら、次はルッツに挑戦したい」

天性のジャンパーだ。紆余曲折があり、なかなか天賦の才を発揮できずにきたが、そろそろ本格的に開花することを期待したい。

■ 笑顔の演技が観たい、住吉りをん

先々週、JGPラトビア大会に出場した住吉りをん。結果は8位と残念だったが、げんさんサマーカップの時点で、「足が痛くてフリップルッツの調子が悪いんです」と不調を訴えており、続く東京夏季フィギュアに出場予定だったものを棄権。調整には苦労していたようだ。

今シーズン、彼女の演技の大きな見どころの一つはショートプログラムだ。今年の“The Rose”はゆったりとした曲調の中、難しいつなぎもスムーズにこなし、とても印象の良いプログラムに仕上がっている。

「曲を選んだときは、歌詞を気に入ってすぐに決めたんですが、宮本先生に振り付けをお願いした時に、曲のイメージと歌詞のイメージに合わせて振り付けてもらいました。先生の動きのままに滑れるように練習しています」

試合後には、課題をしっかりと把握して先を見据えていた。

「ジャンプの調子は悪くないんですが、右足首が痛いので、まずはそこを治すところからしたいと思います。今の自分はジャンプでミスをしたら点数が出ないレベルなので、ミスしても点数が出るようになりたい」

怪我を治し、笑顔一杯の演技を観たいものだ。(東海ウォーカー・中村康一(Image Works))

永井優香、東京夏季フィギュアでのショートプログラムの演技