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Image by Darwin Laganzon from Pixabay

 世界でもたった2ヶ所しかない、天然痘ウイルスを保管する研究所のひとつで爆発による火災が発生したそうだ。

 事故は9月16日ロシア、ノヴォシビルスク州にある国立ウイルス学・生物工学研究センターRussian State Centre for Research on Virology and Biotechnology)、通称VECTORで発生した。

 ロシアメディアは、爆発によって従業員1名が火傷を負い、集中治療室に搬送されたと伝えている。

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バイオハザードの危険性はなしと報告

 VECTOR(国立ウイルス学・生物工学研究センター)からの声明によれば、爆発が起きた部屋にバイオハザード(有害なウィルスによる危険性)物質は保管されていなかったとのこと。

 6階建ての研究所ビルの5階でガスボンベが爆発し、火災が発生。爆発の衝撃で窓ガラスが割れたが、建物の構造自体は問題がないという。

 また研究所があるコルツォヴォ市市長も、事故による感染の危険は一切ないと強調しているそうだ。

事故が起きたのはソ連の元生物兵器研究所

 米ソによる冷戦真っ只中の1974年に設立されたVECTORは、かつては生物兵器を開発することが目的とされていた。

 しかし、現在では世界最大級の感染症治療や診断器具の研究所となっており、豚インフルエンザHIV、エボラ、天然痘などのワクチンが開発されている。

 天然痘1980年WHOによって根絶が宣言されたが、テロリストが生物兵器として利用する可能性が懸念されるために、万一に備えて本研究所で保管されていた(ほかは米国疾病管理予防センターにしかない)。

 天然痘ウイルスは非常に危険度が高く、エボラウイルスと同様に、最高のバイオセーフティを誇るレベル4クラスの施設でしか扱いが許されていない。

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Image by Hailshadow/iStock

本当に感染の危険性はないのか?


 メディアの取材を受けた感染症の専門家であるジョセフ・カン博士によると、炎自体はウイルスを殺すには十分熱いだろうが、爆発が生じているためにそれを拡散させ、現場周辺が汚染されている恐れがあるという。

 「ウイルスは弱いので、100度以上で死にます。ただ、爆発の衝撃によって保管されていた場所から拡散してしまった可能性があります。」

 爆発の規模やそのときの風といった条件にもよるが、現場の10メートルから数百メートルの範囲は汚染の危険があるようだ。

References:iflscience/ written by hiroching / edited by parumo

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http://karapaia.com/archives/52282658.html
 

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