高速道路のSA・PAは基本的に一方通行で、駐車場に停められなかった場合はエリアを出ることが原則とされていますが、一部のエリアでは「周回路」が設置されています。今後、こうしたエリアが増えていくのでしょうか。

基本的には「満車時は次の休憩施設へ」

ショッピングセンターの駐車場などでは、空きマスを探して場内をグルグルすることもありますが、高速道路のSA・PAにおいて、これはNG行為のひとつです。なぜなら、「高速道路一方通行」であり、SA・PA駐車場内の走路も基本的に出口への一方通行となっているため、戻ると「逆走」にあたるためです。NEXCO中日本はSA・PAで駐車できなかった場合、「次のエリアに向かっていただくようお願いしています」といいます。

ところが、一部のエリアでは、駐車区画を通り過ぎても入口付近まで戻ることが可能な「周回路」が設けられています。

たとえば、2019年3月に開業した新名神高速の鈴鹿PA(三重県鈴鹿市)では、駐車場内の看板に「本線 EXPWAY」とともに「周回 GO AROUND」と書かれ、周回路の方向が案内されています。このほか、中央道の双葉SA(山梨県甲斐市)上り線では、2019年に周回路が新設されました。

こうした周回路の目的は、満車時に駐車場を周回できるようにするためだけではありません。NEXCO中日本によると、エリア内に設けられたスマートIC利用者の利便性を高める目的もあるといいます。

周回路設置の背景に「スマートIC」

NEXCO中日本はSA・PAの周回路について、「エリアの構造にもよりますが、周回型の駐車場があるエリアでは、スマートICを利用して流入された方も休憩施設に立ち寄れる、あるいは休憩施設のご利用後にスマートICから流出することも可能になっています」と説明します。

たとえば双葉SA上り線は、エリア内のスマートICを利用する場合は休憩施設に立ち寄れない構造になっていたといい、NEXCO側としても休憩施設の利用機会の増加につなげる目的もあって、周回路を新設したそうです。

とはいえ、このような周回型の駐車場を持つエリアはごく少数とのことです。「駐車場のレイアウトは現地の条件にあわせてそれぞれ設計しているため、会社として周回型の駐車場を増やすような方針があるわけではありません」といいます。

むしろ新東名 駿河湾沼津SA(静岡県沼津市)上り線のように、駐車マスの増設にともない、周回型の構造を廃止したケースもあるといいます。スペースの問題のほか、周回して戻った入口側で車両の流れが交錯する可能性などもあり、周回路の設置は一筋縄ではいかないようです。

ちなみに、NEXCO各社は現在、全国のSA・PAで顕在化している駐車マス不足に対応すべく駐車マスの増設を行っており、2019年度には全国合計で約1200台ぶんを増やす予定です。

新名神 鈴鹿PAには周回路があり、満車時にエリアの入口へ戻ることが可能(2019年9月、中島洋平撮影)。