以前「教えて!goo ウォッチ」で公開した「納豆のプロに聞いた!日本国内地域別『納豆』の食べ方」という記事で、日本国内各地域での「納豆」の特色ある食べ方をご紹介した。汁物から天ぷらまで独特ではあるが、おいしそうな納豆料理を教わったのだが、近年海外でも一風変わった納豆の食べ方が増えているらしいのだ。そこで今回も納豆の専門家、石井泰二さんに、海外の納豆事情について話を聞いてみた。

フランスでの納豆の食べ方の例

納豆も今や国際的になり、海外でもユニークな食べ方が実践されている。まずはフランスでの調理例からだ。

「南仏ドラギニョン地方で作られている納豆メニューをご紹介しましょう。一つ目は、『サラダドレッシング』です。パテ状にした納豆に、レモン果汁半分、からし、オリーブオイルをまぜ、スパイス少々を入れ、味を整えます」(石井さん)

納豆を完全にソース状につぶして、特有の臭味をレモンオリーブオイルで中和するらしい。クリーミーな味わいがイメージできる。

「次に『バゲットに乗せられる小粋なオードブル』です。下ごしらえした納豆をボールにいれ、サイコロ状にカットしたマグロサーモンを混ぜます。ご家庭でできそうな気軽な感じがよいですね」(石井さん)

サラダにオードブルとは……納豆がフランス流にアレンジされると、このような形になるのだろう。

■アメリカでの納豆の食べ方の例

次はアメリカでの納豆の食べ方の例を紹介してもらった。

ニューヨークブルックリンで納豆製造を始めたNYrture社のオーナーは、大学で栄養学を教え、レストランのシェフ経験者です。Facebookなどで紹介しているメニューが独創的で、インスタ映えしそうなメニューもたくさんあります」(石井さん)

納豆インスタ映えするのか少々疑問が残るが……どのようなものがあるのか続けてもらった。

「『マッシュドポテトの黒豆納豆いくらのせ』は、白いマッシュドポテトの上に小粒の黒豆納豆をのせ、いくらをトッピング。最後にネギを散らして、白、黒、赤、緑のコントラストが美しい一品です。他には、『リコッタチーズと納豆のいなり詰め』という料理があり、おいなりさんの中にほうれん草が入り、その下にはトマトソースが敷かれ、緑と赤のコントラストが綺麗です」(石井さん)

納豆というと地味な色合いのイメージがあったが、黒豆納豆を使うことで、色合いを強調できるのだ。

次は、ハワイで納豆パーティーが開催されたというので、さらに話を聞いてみた。

「今年の4月にハワイのワイキキで、『Mid year Natto Dinner』という納豆パーティー が開催され、チケットは販売開始から3時間ほどでソールドアウトとなりました。急遽2度目のディナー開催を決定したという白熱ぶりです。昨年はフルーツと納豆を添えたデザート『白玉もち』が登場しました。今年は純和食メニューが多かったようですが、それでも日本とは一味違うアレンジのものもありました」(石井さん)

日本から遠く離れた海外で納豆を使った料理が大人気というのは、日本人として誇らしいことだ。今年のパーティーではどんなメニューが登場したのだろうか。

「『納豆春巻き』は千切りの人参、大根、玉子焼きとひきわり納豆を巻いた生春巻きで、いくらをトッピングしており、彩りも豊かです。また、キャラメライズした納豆をアイスの中に練り込んだような『納豆バニラアイス』も登場しました」(石井さん)

納豆バニラアイスを合わせるとは、実に斬新な発想だ。納豆の奥深さを感じる。

インドでの納豆の食べ方の例

インドといえば香辛料だが、カレーと納豆の相性がよいのは日本人でも知っている人は多いだろう。

インド東北部では多彩な納豆が作られており、主にカレーに混ぜて食べています。たとえば、マニプール地方を代表するソウルフードChagempomba』は野菜のカレーで、『Hawaijar』という納豆とフルーツ、魚、スパイスを混ぜて作るそうです」(石井さん)

インドには伝統的に現地流の納豆が存在した。

今回、フランス、アメリカ、インドでの納豆の食べ方の例を紹介してもらったがいかがだっただろう。日本の納豆がその国の料理と融合していたり、インドでは伝統的に納豆が食べられていたりと新しい発見があったのではないか。現地で食べるのはもちろんだが、海外の例を参考に、アレンジを試してみるのもよいだろう。納豆の世界がきっと大きく広がるはずだ。

●専門家プロフィール:石井泰二
国内外の納豆情報総合サイト「納豆wiki」を運営し、日本の地納豆や近代納豆成立について紹介している。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

納豆のプロに聞いた!海外の「納豆」事情