Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS

アイスクリーム購入時にお馴染みのドライアイス。実は火星の南極では「ドライアイスの雪」が降ることをご存知ですか?

そもそもドライアイスは、二酸化炭素が凍ったもの。一方、火星の大気は95%が二酸化炭素で、極地域ではー100℃以下になることもあります。そこでちょうど地球の水と同じように、大気中の二酸化炭素が氷になって雲になり、雪として舞い落ちるのです。

そんな火星に降り注ぐドライアイスですが、どうやら最終的に「チョコチップアイス」に進化するようです。

今回、欧州宇宙機関(ESA)などが運営する火星探査機、ExoMars Trace Gas Orbiter(TGO)のカメラによって、鮮明な火星砂丘の画像が撮影されました。

その画像が「まるでアイスクリームのよう」だと話題になっています。一体どうしてこんなお姿になったのでしょうか。

「バニラアイス」の正体はドライアイス

Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS

まずバニラアイスの正体はというと、前述した二酸化炭素の氷(ドライアイス)から成る無数の丘です。そしてチョコチップはというと、それらの間にできた黒い砂の溝の集合体とのこと。

冬の間、火星の北極は二酸化炭素の氷で覆われ、春の到来とともにその氷が地表から蒸発します。そして氷にひびが入る際、昇華した氷が大気中に立ち昇る際に砂を運び、砂丘を形成するのです。

まるで春の雪解けのようですね。

砂の稜線の向きから風が吹く方角がわかる

よくよく見ると、砂丘にもさまざまなタイプがあることが分かります。左側の砂丘はみなさんが想像できる通常の砂丘ですが、右側には「バルハン砂丘」と呼ばれる三日月型の砂丘が点在しています。

バルハン砂丘は徐々に大きくなり、やがてお互いに連結して三日月型の畝を作ります。こうした砂丘の形成の仕方は、火星を調査する天文学者にとってとても有益な情報を提供してくれます。円弧状の砂の稜線の向きを見れば、風が吹く方角を知ることができるからです。

あまり食欲はわかないかもしれませんが、アイスクリーム砂丘は、火星の春の風物詩なのです。

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reference: zmescience / written by まりえってぃ
なんで?火星の砂丘がチョコチップアイスのような姿に