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数々の問題が起きている仙台市教育委員会で、あってはならない事態が発生。しらべぇ取材班は、仙台市教育委員会の複数の部署を直撃した。

■保護者からの指摘で発覚

仙台市教育委員会は、今月、仙台市宮城野区の市立中学校で配られた漢字テストの解答の裏面に、いじめを受けた生徒の名前などがプリントされていたと発表した。

同教委によると、9月13日に2年生の生徒の保護者から学校に電話があり、「9月6日に配布されたプリントの裏面にいじめに関する個人情報が印刷されていた」との情報提供があったという。

同日、当該保護者に謝罪の上、回収したプリントを確認したところ、裏面に印刷されていたのは、6月下旬に教育局・子供未来局・当該学校がいじめ対策、不登校に関する打合せに使用した「平成30年度いじめ事案集計表」であった。

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■23名分の個人情報が漏洩

平成30年度いじめ事案集計表には、当該校で昨年度1学年において発生した6件のいじめ事案の、被害生徒に関する情報(氏名・性別・欠席日数)、関係生徒に関する情報(氏名・性別)、概要(事案内容や指導経過、対応結果等)が書かれていた。

漢字プリントの模範解答用紙を、2年生の3クラス分81枚を印刷した際に、裏に事案集計表が印刷された用紙1枚が混じってしまったという。

9月13日夕方からプリントを配布した生徒の自宅を訪問し、回収作業を行い、9月17日までに、生徒が破棄した9枚を除き全て回収したとのこと。

■充分に確認していなかった

仙台市ではリサイクル推進の観点から、「仙台市立学校における個人情報等の管理に関する指針」に基づき、片面使用済の用紙(裏紙)の裏面を再利用している。

しかし、個人情報の印刷された用紙の再利用は禁止されているほか、外部へ発出する文書に裏紙は使用しないこととしているという。この漏洩が起きた原因として、教委は、

(1)何らかの理由により、個人情報が記載された裏紙が再利用ボックスに混入した

(2)また、裏紙を使用して印刷する際に、個人情報が掲載されていないか十分に確認を行っていなかった

(3)外部へ発出する文書への裏紙使用禁止について、徹底が十分でなかった

この三つをあげている。

■「現場に緊張感がない」

再発防止策としては、全ての市立学校において、「仙台市立学校における個人情報等の管理に関する指針」に基づく、使用済みの紙資料の適切な取り扱い手順について再確認することなどをあげている。

しらべぇ編集部の取材に対して、教育局教育指導課の担当者は、「現場に緊張感がないと言わざるを得ない」と述べた。教職員課は「事実関係を調査した上で、処分を検討することになる」と話す。

全国の教委、学校を取材していると、ある地域の教委に特に問題が集中していることがわかる。宮城県埼玉県管内の教委だ。問題が起きている教委・学校に共通しているのが、「危機感、緊張感」がないこと。

公立の小・中学校でも、学区を完全に廃止し、学校を自由に選べるようにするといったことも必要かも知れない。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

仙台・教諭がいじめに関する個人情報漏洩 教育委員会は「現場に緊張感ない」