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 ドイツミュンヘン9月19日(現地時間)に発表されたファーウェイの「HUAWEI Mate 30」シリーズハードウェア性能の向上に加え、ファーウェイ独自のアプリエコシステムHMSHuawei Mobile Service)を搭載する最初の製品となる。

 すでに発売中のハイエンドモデルHUAWEI P30」シリーズとはどう差別化された製品なのか? そしてHMSはどのような展開をするのか。ファーウェイ・コンシューマービジネスグループハンドセット部門プレジデントであるケビン・ホー氏に話を伺った。

動画に力を入れたことがHUAWEI P30 Proとの差別化

 まずは春先に発売される「P」シリーズと、秋発売の「Mate」シリーズの差別化について。ここ数年はどちらのモデルも発表時点で最高のカメラ機能を搭載しており、Mateシリーズは新型チップセットを真っ先に採用することから「P=カメラファッション」、「Mate=ビジネステクノロジー」という区分がされていた。

 しかし今回発表されたHUAWEI Mate 30シリーズにはHUAWEI P30 Proが採用するペリスコープカメラは搭載せず、光学ズーム性能もHUAWEI P30 Proの5倍に対し、3倍とやや見劣りする。カメラ性能だけを比べるとHUAWEI P30 Proのほうが高い。

 ホー氏は2つの製品の方向性を「Mate 30のカメラは写真より動画にフォーカスして開発した。そのためペリスコープレンズによる高倍率を求めるのではなく、4K 60fps撮影などを可能にする世界初のシネ・カメラを開発した」と話す。

 すでに静止画では暗所でも明るい撮影が可能だが、HUAWEI Mate 30 Proでは動画において同様にほぼ光の無い暗闇の中でも人物などを明るく映すことができる。スーパースローは他社端末では最大960fps撮影が限界だが、HUAWEI Mate 30 Proでは7680fpsと桁違いの撮影が可能だ。宙を舞う今週のはばたく羽の動きをはっきりと見ることができるほどの動画が撮影ができるのである。

昨年同様の11月頃の発売までに十分なアプリを集められるか
スマホには今後もAndroidを搭載する

 一方、消費者のみならず業界関係者も気にしているのがグーグルサービス(=GMSGoogle Mobile Services)からファーウェイ独自のエコシステムHMSHUAWEI Mobile Services)への移行だ。

 ホー氏はこれが「チャレンジングな道」であることを認め、現時点でもどのアプリHMSに対応するかについても明言は避けた。またユーザーGMSからHMSへの移行はすぐにできるものではなく、段階を踏んでいくものになるだろうとも話した。

 ホー氏は新製品発表会でリチャード・ユーCEOがデベロッパーに10億ドル=約1080億円もの支援を行うことをあらためて説明し、今後デベロッパーの協力を仰ぎながらアプリを揃えることで「HUAWEI Mate 30を市場に出す頃には消費者の皆さんが満足できるだけのアプリケーションを提供できるだろう」とHMSの今後の展開には自信を見せた。

 例年、Mateシリーズ10月に発表され、発売はそれから1ヵ月後となる。HUAWEI Mate 30はiPhone 11の発売日にぶつけるような形で発表会は9月19日と、例年よりも1ヵ月も前倒しされた。ホー氏は「製品の発売時期は今後1~2ヵ月後、まずはヨーロッパローンチする予定」と説明し、発売時期に関しては例年と変わらない時期になることを明らかにした。すなわち発表から発売までの間隔は例年より長くなるが、この間にHMSを消費者に周知し、またデベロッパーの参加を促していきたいという意向もあるのだろう。

 GMS抜きのスマートフォンは、中国ではファーウェイをはじめ各社が販売しており、中国のデベロッパーも各メーカーのストア向けにアプリを提供している。この実績もファーウェイが独自のアプリエコシステムを構築する決断を早まらせたのかもしれない。HMSチップセット、OS、サードパーティーアプリとは独立しており、それぞれに依存しないオープンシステムだ。

 「2018年には2億2000万台のスマートフォンを出荷し、今年に入っての出荷台数は昨年をすでに24%も上回っている」と、ホー氏は同社のスマートフォンが今でも成長していることを強調した。スマートフォンアプリケーションサービスあっての製品だけに、豊富な利用者数とオープン性でどれだけデベロッパーの協賛を得られるかがHMSエコシステムの成功のカギを握るだろう。

 「ファーウェイアプリケーションエコシステムはまだ小さい存在にすぎない。将来、HMSの存在が我々のスマートフォンを選んでいただける理由になるよう、デベロッパーの方々との協業を続けていきたい」。HMSが目指すものはユーザーへ使いやすいスマートフォンを提供することであり、デベロッパーとの協業は今まで以上に欠かせないものになるのだ。

 最後にホー氏は8月に発表された新OS「Harmony OS」について、「これはスマートTVなどIoT機器向けのOSと考えており、現時点ではスマートフォンへ搭載するOSはAndroidに注力している」と説明し、Androidからの完全な離脱に関しては否定した。


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