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 第3世代Ryzenで8コア16スレッドモデルRyzen 7 3800XとRyzen 7 3700Xがある。IntelCore i9だから9と7という違いはあるが、先のとおり現時点でAMDRyzen 9があるように、コア数戦争でリードしているため、ナンバリングに違いが生じている。

 Ryzen 7 3800XとRyzen 7 3700Xの違いは動作クロックと消費電力。上位のRyzen 7 3800Xのほうが動作クロックは若干高い。具体的には最大ブーストが4.5GHz、ベースが3.9GHzといった具合だ。消費電力に関しては、その参考となるTDPが公開されており、105Wといった値。105Wは現在のRyzenにおける3つのTDPゾーン105~95W、65W、45~35Wでもっとも高い。

 Ryzen 7 3700Xの動作クロックは、最大ブーストが4.4GHz、ベースが3.6GHz。最大側は100MHz違いで大きな差ではなく、ベース側が300MHz抑えられている。ここがTDPに関係し、65Wという一つ低いゾーンに収まっている。

 消費電力よりも性能というならばRyzen 7 3800Xの方が有利だが、冷却時の静音性のように全体のバランス、そしてもちろん価格の面で下位のRyzen 7 3700Xにも魅力がある。

 まずここでCPU単体の価格を比べてみよう。

 上の表は同じ8コア16スレッドCPU(OC可能な製品という条件)でまとめた価格だ。Core i9-9900Kを基準とすれば、Ryzen 7 3800Xは6000円ほど安く、Ryzen 7 3700Xはなんと1万4000円も安い。CPU性能を求める人とは少し異なるかもしれないが、例えばゲームのようにCPUだけでなくGPUにも投資が必要なニーズなら、この差額を必要なパーツに振り分けられることは大きなメリットだろう。

コスパの懸念はRyzen向けプラットフォームの価格

 第3世代Ryzenコストを計算する上で、一つ懸念があるとすればプラットフォームかもしれない。第3世代Ryzen向けのAMD X570チップセットを搭載するマザーボードは、従来までのチップセットを搭載するマザーボードよりも若干高い価格帯にある。

 ただし、マザーボードは上から下まで幅広い。例えばASUSマザーボードで探すと、「TUF GAMING X570-PLUS」はおよそ2万4500円前後。そしてこれと同じような価格でIntel Z390マザーボードを探すと「PRIME Z390-A」(2万4000円前後)が見つかった。TUFPRIMEどちらが上位? という疑問はあるだろうが、このように同じ予算枠でマザーボードを調達すること自体は可能だ。少しマザーボードの特徴を見てみよう。

 マザーボードのほかにもう一つあるとすればメモリーだろうか。第3世代RyzenではDDR4-3200が標準サポートで、Core i9-9900KではDDR4-2666が標準サポートだ。同じ容量で比較すれば、もちろんDDR4-3200のほうが高価。

 ただし、標準サポートよりも低いメモリークロックでも問題なく動作する。今回はコストパフォーマンスを論じているので、CPU以外のところのスペックをできるだけ統一してみようとしたため、どちらの環境もDDR4-2666で比較をしてみた。なお、第3世代Ryzen側は本来のパフォーマンスとならないぶんやや不利にはなる。

 そのほかSSDビデオカードも統一した条件で、ベンチマークによる計測・比較を行なってみたい。

パフォーマンスはほぼ互角

 まずはCINEBENCH R20CPU性能の差を見てみよう。

 CINEBENCH R20によるベンチのポイントは、まずCPUSingle Core)側。シングルスレッド性能のテストだが、3製品どれも500pts前後だった。多少の誤差があることを考慮すれば横並びだ。

 一方、マルチスレッドCPU側は同じ8コア16スレッドでもトップRyzen 7 3800X、次いでRyzen 7 3700Xとなり、Core i9-9900Kはそこから250ポイント強の差がついた。結局、以降のベンチマークを含め、もっとも差が付いたのはこのCINEBENCH R20だった。

 次はPCMark 10によるベンチ。3つの環境ともに近いスコアだが、拮抗しているのはRyzen 7 3800XとCore i9-9900Kだろうか。

 Ryzen 7 3700Xは、ProductivityとDigital Content Creationがほかと比べると少し低い。Ryzen 7 3700XのみTDPが65Wと低めで、PCMark 10の各シナリオテストが、CINEBENCH R20と比べて少し長時間である点でマルチスレッドでのブーストが低めに抑えられたということが考えられる。

 ここからはグラフィック性能を検証。最初に指標となる3DMarkの結果を見ておこう。Fire Strikeに関してはRyzen 7 3700Xがほか2製品よりも少し低いが、Ryzen 7 3800Xはトップ。もっとも、Ryzen 7 3800XとCore i9-9900Kは4ポイント差なので誤差の範囲だ。2つのRyzen 7で言えば、ややRyzen 7 3800Xのほうが高パフォーマンスに見える。

 実際のゲームではもう少し最適化パフォーマンスに影響するようになる。だいたいどのゲームも、予算の制限のなかAMDIntelどちらかのCPUAMDNVIDIAどちらかのGPU最適化する傾向で、「どちらも」というのは少ない。

 最初にFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを見ておこう。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONは比較的CPU性能も影響する。とくにGPUよりもCPU側にボトルネックの生じやすい低解像度では、1920×1080ドット高品質時のようにCPU性能がもっとも高いRyzen 7 3800Xがほかをリードした。

 一方、GPU側により負荷のかかる高解像度2561440ドット標準品質時はCore i9-9900K、Ryzen 7 3800Xが12ポイント差のほぼ誤差の範囲。ややCPU性能で劣るRyzen 7 3700Xが126ポイント少ないという結果になった。

 FINAL FANTASYスコア形式で実際のフレームレート差が把握しづらい。そこでフレームレートとして結果を確認できるベンチマークを3つ用意した。

 まずはMETRO EXODUS。ビルトインベンチマークで2つのプリセットを1920×1080ドット2561440ドットテストした。結果はグラフ上の数値のとおり、誤差の範囲と言える1fps以下だ。いちおうCore i9-9900Kがもっとも高い結果ではあるが、1fps以下の差では実際のプレイで感じられるほどではない。ここもパフォーマンスは互角と考えてよいだろう。

 Apex Legendsはビルトインベンチマークがないため、できるだけ同じコースプレイしながらOCATを用いて1分間のフレームレートを取得し平均化した。

 そもそものフレームレートが高いためにMETRO EXODUSよりは差が大きくなったが、1920×1080ドットはほぼ誤差の範囲とはいえRyzen 7 3700Xがリード2561440ドットRyzen 7 3800Xがリード、3840×2160ドットCore i9-9900Kがリードした。まあ、実際に操作して計測する以上、多少誤差が大きくなる。そこを考慮すればここも互角と言えるだろう。

 最後がWorld War Z。ビルトインベンチマークを搭載しているがあまり安定感はないので取り扱いが難しいが、解像度を引き上げた際のフレームレートの落ち込みがIntel Coreに対してAMD Ryzenのほうが小さいようではある。

 AMDRyzenRadeon発表会でスコアを披露したように、最適化AMD寄りだ。そうした点で、AMD Ryzenラットフォームがパフォーマンスを出しやすいということもあるだろう。

「安い」がPCの可能性を広げてくれる。コスパ命ならココに注目

 このように、ゲーミングPCのプラットフォームとして比較すると、もはや同じグレードのAMD RyzenIntel Coreで差はない。誤差の範囲で体感できるか微妙な差だ。ここに注目するとAMD Ryzenコスパがより明確になってくる。

 CPUの差額で生じた数千円~1万数千円分安く自作することもできるし、数千円~1万数千円をパーツの強化につぎ込み同予算でよりパフォーマンスの高い自作に仕上げることもできる。

 今回検証したなかでは、スコアの点で見るとRyzen 7 3800Xが健闘している印象だ。トップスコアを取ることも多かった。Ryzen 7 3700Xはスコアの点では、いい結果を出すこともあればほかの2製品と比べて少し差がついたところもある。

 ただし、Core i9-9900Kとの価格差は1万4000円前後、Ryzen 7 3800Xと比べても8000円前後あるのでここは検討すべきだろう。たとえば今回Radeon RX 5700を用いたが、Radeon RX 5700 XTとの価格差が8000円前後である。同じ予算枠でRyzen 7 3700X+Radeon RX 5700 XTという選択肢もあるわけで、そうなるとGPU性能分ゲームパフォーマンスが向上する。その上でCore i9-9900Kに対してまだ安い。

 そこはコスパを享受しておくのもよいし、より高速なメモリーにまわしてもよいだろう。安価であることは選択肢を広げてくれる。こうした視点からRyzenを選んでみるのも楽しいのでおすすめだ。

Ryzen 7 3700Xは1万4000円安価ながらi9-9900Kとほぼ互角!?8コア/16スレッドCPUガチンコ勝負