山人音楽祭 2019【妙義ステージ】 高木ブー

15時を迎えた妙義ステージには高木ブーが登場。もちろん『山人音楽祭』には初出演――それどころかそもそもロックフェスに出ること自体めったにない人物だが、G-FREAK FACTORYが「生まれ故郷にブーさんを呼びたい!」という純粋な気持ちからダメもとでオファーしたところ快く承諾してくれた、という経緯から出演が叶ったようだ。様々なバンドのTシャツを着た観客によって、妙義ステージが一気に賑わう。

1曲目はハワイアンソング「マウナロア」。この時間帯は当初雨の予報だったが天気はくもりで、寒くもなく暑くもない心地よい気候。ベース、パーカッションキーボード、そしてブーの歌声とウクレレによる安らぎのサウンドは風に運ばれ、観客の身も心もチルアウトさせていく。

続いては日本古謡の「さくら」だが、1番はしっとりバラード、間奏はウクレレソロ、2番はスウィング調のアレンジ、という1曲で3度美味しい仕様。そして「涙そうそう」は1番が日本語で2番がハワイ語だ。本人曰く、今回は「知ってる歌をやればウケるんじゃないか」と比較的ライトな曲を選んできたとのこと。「もしももっと難しい歌の方がいいというのであれば来年は……」と含みのある言い方をし、場を盛り上げる。中盤にはハワイクラシックソングを2曲続けたあと、「次は日本の歌謡曲を。友だちがいましてね、その歌を歌います。もちろん許可をとりまして、この歌好きなのでライブでやらせてもらってて」と松山千春の「恋」をカバー。

最後はG-FREAK FACTORYの茂木やOAUTOSHI-LOWとRONZI、四星球の北島、FOMAREのアマダとカマタもステージ上に集まり、「いい湯だな」で大団円。「歯磨いたかー!」「宿題やったかー!」「また来週―!」とこの場にいる誰もが聞きたかったであろう、そして今ともにステージに立つ彼らも幼い頃テレビの前で聞いていたであろうコールが、群馬の空に響きわたった。

これで終了と思いきや、去り際に茂木が「ブーさん、これ、今日もう1回やりませんか? 向こうで最後にもう1回やろう」と投げかける。ブーの返答は「何回でもいいですよ」とのことなので、ラストは赤城ステージに全員集合するとしよう。


文=蜂須賀ちなみ 撮影=タマイシンゴ

高木ブー