楽天モバイル(山田善久社長)は9月6日に事業説明会を開催し、10月に開始を予定する完全仮想化ネットワークを活用したMNO事業のインフラ整備の進捗状況などを説明した。

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 第4のキャリアとして4Gサービス開始を目指す楽天モバイル10月1日から通話とデータ通信を無制限で利用可能な「無料サポータープログラム」の受け付けを発表した。東京23区大阪市名古屋市神戸市在住の満18歳以上の5000人が対象で、品質テストアンケートに回答することが条件となる。法人向けプランについては未定で、検討中としている。

 楽天の三木谷浩史会長兼社長が「世界中のキャリアが夢見た通信のアポロ計画」と表現する同社の通信インフラは、汎用機とソフトウェアを活用することで、これまでにない低価格と高速通信を目指すものだ。

 また、この完全仮想化ネットワーク2020年6月開始の5Gサービスをにらんだ構成となっており、大容量・低遅延の特性を最大化するため全国4000カ所にMEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバーを設置する計画を進めている。これまでクラウド上に設置していたソフトウェアアプリケーションなどをMECサーバーに吸収することで高品質なサービスを担保できるという。

 現在、ゲーミングやAR/VR分野で活用を検討しているほか、MECサーバーサードパーティーに開放し、サービスラットフォームとして展開する構想だとしている。

 一方、同社は今年度中に3432局の基地局を建設する計画を総務省に提出していたが、建設ペースに遅れが発生しているとして、総務省から再三の行政指導を受けていた。これについて三木谷会長兼社長は「われわれが構築しているのは革命的なネットワーク。技術的なハードルが高く、当初基地局の建設時に多少の課題はあったが、現在は解決し建設ペースも回復している。9月中には予定通り、東京23区名古屋、大阪にエリアを展開し、サービスローンチできる見込み」と語る。また、10月からのサービスインが条件つきで、5000人限定という制限をかける結果となったことについても、「安定して利用できるという自負はあるが、革新的なネットワークであるため万全を期していきたい。安定的に稼働できることを確認したのち、早急にネット予約を開始したい」と慎重な姿勢を見せる。

 20年に開始する5Gは活用できる端末が多様化し、サービスも急速に拡大するとみられる。5Gビジネスにおいて同社のアーキテクチャーの柔軟性やグループ企業とのシナジーは大きなアドバンテージになる可能性はあるが、5Gを語るためにはまず、足元の4G通信でユーザーの信頼を獲得できるだけの品質を確保しなくてはならない。“完全仮想化5G”までの道のりは平坦ではない。(銭 君毅)

楽天の三木谷浩史会長兼社長