マントル深部にある大陸サイズの岩体は、地球誕生以来、まったく手付かずの状態にあるという研究が発表されました。
これまでの研究によると、岩体は、地球内部に沈み込んだ海洋プレートであると考えられていました。しかし、その領域から噴出したとされる物質を分析したところ、地球形成期に関わった「ヘリウム3」が多く含まれていることが判明したのです。
さらに、岩体がある地球内部は、月形成の原因となった「ジャイアント・インパクト」からも影響を受けなかったと予測されています。
研究の詳細は、7月31日付けで「Journal Geochemistry, Geophysics, Geosystems」に掲載されました。
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1029/2019GC008437
地球誕生に関わる原始物質が含まれていた
地球表面を覆う地殻の下には、上部マントルと下部マントルがあります。このマントルのさらに内側に、液体金属状の核が位置しています。核とマントルとの境界は、固体と液体が接する場所となっています。
問題となる岩体は、この核-マントル境界付近に2つ発見されており、1つはアフリカ大陸の下に、もう1つは太平洋の下にあります。
カリフォルニア大学の研究チームのカーティス・ウィリアムス氏によると、噴出物に見られた「ヘリウム3」のような同位体は、原始的な物質であり、ビッグバンによって作られたといいます。
そして、約46億年前にヘリウム3などの物質が集まって、地球を形成し始めます。ウィリアムス氏によれば、地殻に近い場所にある岩石は、大気にさらされたことのない深部の岩石よりも、ヘリウム3のような同位体の含有量が少ないそうです。
そのため、ヘリウム3をより多く含む鉱物は、マントル内の原始物質を材料としていることが分かります。
天体衝突の影響も免れた可能性
「ジャイアント・インパクト」とは、月の誕生を説明する有力な仮説で、原始地球に火星サイズの天体が衝突して月が誕生したというものです。
火星サイズの惑星は、衝突後こっぱみじんに破壊され、破片の大部分が宇宙空間へ飛び散って行きました。この破片同士が合体してできたのが月になります。
この衝突により、地球のマントルも破壊を受けたとされていますが、2つの岩体が位置するマントル部分は被害を受けなかった可能性が高いということです。
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