季節の変わり目は体調を崩しやすいだけでなく、気温や湿度の微妙な変化によって「吹き出物が増える」「粉を吹く」「赤みが出る」など肌の不調に悩まされる人もいるのではないでしょうか。特に、環境の変化を感じやすく、変調が現れやすい肌質は「敏感肌」と呼ばれますが、ネット上には、「年中、肌の調子が不安定です」「冷暖房が必要な時期は肌が荒れやすくてつらい」「敏感肌って治らないのかな」など、さまざまな悩みや疑問があるようです。

 敏感肌による肌トラブルを予防したり、肌質そのものを変えたりすることはできるのでしょうか。アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士医師(皮膚科・形成外科)に聞きました。

環境要因、外的・内的要因で起こる

Q.そもそも、敏感肌とは何でしょうか。

佐藤さん「敏感肌は、美容業界で用いられるようになった言葉で医学用語ではないため、医学的な定義はありません。一般に紫外線や、化粧品など肌につけるもの、外気中のほこりなどで皮膚トラブルを起こしやすく、多くの人には刺激にならないような物質や、低温・低湿などの環境に対して、敏感に反応してしまう肌の状態のことを指します。敏感肌が原因となり得る肌トラブルは、肌荒れ・紅潮・湿疹・かぶれ・ニキビ・フケ・かゆみなどです」

Q.敏感肌になる原因は何でしょうか。

佐藤さん「気温の低下・乾燥・紫外線などの環境要因、化粧品類・ほこり・たばこなどの外的要因と、肌の炎症・加齢・睡眠不足・過労・ストレス・栄養不足などの内的要因で起こり得ます。また、冬から春にかけての低温・低湿の季節は、特に起こりやすいです」

Q.敏感肌は、そうでない肌質(肌トラブルの少ない肌質)と何が異なるのでしょうか。

佐藤さん「敏感肌は、そうでない肌質と比べて皮脂分泌機能が低く、角層(角質層)表面に形成される皮脂膜が未発達です。また、角層内の天然保湿成分や細胞間脂質が少ないため、角層の水分量が低下しています。こうした原因により、角層が持つバリアー機能と水分保持機能が低下し、刺激に対する感受性が高まって皮膚トラブルを起こしやすくなります」

Q.敏感肌になりやすい人の特徴は。

佐藤さん「肌のバリアー機能が未熟な乳幼児や小児、皮脂分泌量が低下する中高年の女性は敏感肌になりやすいです。その他、生活習慣の乱れがみられる人や、アトピー体質の人、脂漏性皮膚炎がある人、栄養失調・貧血・甲状腺機能低下症など代謝が低下している疾患の人も同様です」

Q.「自分は敏感肌だ」と自己判断することは可能ですか。

佐藤さん「家族や友人が普段使用している化粧品類、洗顔料などのスキンケア用品で『チクチクする』『ひりひりする』『つっぱり感が強い』などの感覚が自分だけに生じるようなら、敏感肌の可能性があります。ちょっとした刺激で肌に紅潮が出て、それが長く続いたり、肌がかさついたり、粉を吹いたりする場合は敏感肌といえます」

Q.敏感肌の人が肌質を改善することはできるのでしょうか。

佐藤さん「敏感肌の原因の一つである、角層のバリアー機能や水分保持機能は生まれつきの傾向が強いものの、他に環境要因も含めてさまざまな原因があるので、治療による肌質改善が不可能というわけではありません。ただ、まずは敏感肌の原因をできる限り排除し、角層のバリアー機能と水分保持機能を保つことが大事だと考えます」

Q.敏感肌の人は「どんな化粧品を使ってもだめ」「季節が変わるごとに化粧水を変えている」など、スキンケアに年中悩んでいるケースが多いようです。

佐藤さん「敏感肌は、間違ったスキンケアや生活習慣の乱れによって引き起こされたり、悪化したりします。日々のことですので、まずはそこから見直していくのがよいでしょう。『洗顔時に熱い湯で流す』『洗顔料を十分に泡立てずに肌をゴシゴシこする』『すすぎ残しがある』など、間違った洗顔は肌のダメージにつながるので、丁寧な洗顔を心掛けてください。

また、寝不足や過労、ストレス、偏った食生活、たばこなども肌にダメージをもたらすので、見直しが必要です。スキンケアで大事なのは、とにかく保湿をすること。それでも肌状態が改善しない場合は、皮膚科で相談しましょう」

オトナンサー編集部

敏感肌によるトラブルは予防できる?