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 内戦勃発から8年の時を経たシリアでは、これまで多くの人々が尊い命を失い、また避難のために国を去って行った。

 現在、壊滅状態といっていいシリアの北部アレッポ。しかしここには、危険と背中合わせの状態であるにも関わらず、取り残された猫たちを保護し“猫の聖地”を築き上げた「キャットマン」と呼ばれる男性がいる。

 2011年から始まった「キャットマン」の保護活動による救いの手は、今や猫だけに限らず、助けを必要とする犬や人間の子供たちまで差し伸べられており、現在も施設ボランティアスタッフたちは、シリアの街中で取り残された犬猫たちの救助に奔走している。

 そんな中、一匹の子犬がスタッフにより救助され、猫の聖地へと保護された。

 母親のいない状態で発見されたその子犬は、多くの猫たちや他の救助犬に囲まれて元気を取り戻し、現在は幸せに暮らしていることが伝えられている。

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軽油まみれで汚れた孤児の子犬が救助される

 2018年6月、猫の聖地の救済ボランティアスタッフは、アレッポの荒れた街で軽油の入った樽の中に、一匹の子犬を見つけた。

 なぜ、その子犬がたった一匹でそんな場所にいたのかは不明だが、周りに母親がいない様子だった。

 猫の聖地のためのボランティアとはいえ、困っている動物を見捨てることを決してしないスタッフは、子犬を保護して猫の聖地へと連れ帰った。

 救助された子犬の状態は、かなり酷かったようだ。油まみれで全身汚れており、とても怯え、隅っこに隠れようとしたという。

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 スタッフはそんな子犬を慰めながら、何度も体を洗って綺麗にしてやり、水と餌をボウルに入れて与えてやった。

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 懸命に自分を助けようとしてくれるスタッフや餌のおかげで、子犬は少し元気を取り戻し、尻尾を振るようになった。

聖地でたくさんの仲間に受け入れられた子犬

 この猫の聖地では、以前にアミラという一匹の犬を保護していた。アミラは子犬たちを失った母犬で、聖地に連れて来られてからは、子猫たちの代理母のような役目も果たし、幸せに暮らしていた。

 スタッフは、ヘンリーと名付けられた子犬をアミラに引き合わせてみた。するとアミラは、まだ小さいヘンリーをすぐに受け入れ、とても可愛がるようになった。

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 また、ヘンリーはこの聖地にいる多くの猫たちにも受け入れられ、あっという間に大家族の一員になった。

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 多くの猫友ができたヘンリーは、いつも一緒に遊び、昼寝タイムには仲良く寄り添い合って眠るようになった。

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 そんな姿を見ているボランティアスタッフは、「愛と友情には境界線などないのです」と語っている。

猫たちと絆を育むヘンリー、もう寂しくも怖くもない

 月日が経つにつれて、ヘンリーは猫の聖地でますます猫たちやアミラと一層深い絆を育むようになった。

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 もう、ヘンリーは孤独でもなく、恐怖を感じる必要もないのだ。

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 子猫を含む多くの猫たちは、ヘンリーといつも一緒に遊んでいるが、救済する犬の数が増えるにつれて、ボランティアスタッフたちはヘンリーたち犬のために最善のアイデアを思い付いた。それは、犬たちを犬の救済施設へと移すことだった。

 現在、プールもあり、一緒に遊べる仲間の犬もいる場所へと移されたアミラとヘンリー。ここには猫の聖地のように多くの猫たちはいないが、犬たちは自身の聖地で「とても幸せそうにしている」とスタッフは話している。

References:LoveMeowなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52282631.html
 

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