Credit: New England Journal of Medicine/Otis U. Warren, M.D., and Benjamin Blackwood, M.D.

Point

■緊急治療室を訪れたある女性が、血液が青くなるチアノーゼの状態に陥っていると診断された

■要因は、前日に使用した歯痛を抑える外用麻酔薬に含まれるベンゾカインの副作用による「メトヘモグロビン血症」

■メトヘモグロビン血症は、血中のメトヘモグロビンが異常に増殖し、酸素が効率的に組織に届かなくなる病気

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先日、25歳の米国人女性が「血が青くなった」ことを訴えて病院に駆け込んだと海外メディア「Guardian」などが報告しました。

女性の説明によると、彼女は前日に歯の痛みを抑えるための外用麻酔薬を使用したとのこと。翌朝、気分が悪く、皮膚の色が青紫色に変色していることに気づいた彼女は、すぐに病院を受診しました。

診断の結果、女性は皮膚や爪などが青紫色になるチアノーゼの状態に陥っていると判明。女性の症例をまとめた報告が、雑誌「The New England Journal of Medicine」に掲載されています。

原因はメトヘモグロビンの異常増殖

女性の治療を担当し、報告を執筆したオーティス・ワレン医師によると、女性の症状は後天性メトヘモグロビン血症と呼ばれるかなり珍しい血液の病気によって引き起こされたものとのこと。

この病気は、赤血球内のヘモグロビンの一種であるメトヘモグロビンが異常に増殖するものです。2価の鉄イオンが酸化されて3価の鉄イオンに変化するため、酸素が効率的に組織に届けられなくなります。

メトヘモグロビン(左) / Credit: Wikimedia Commons/Fvasconcellos

ワレン医師は以前にも、ある抗生物質を処方された1人の患者が同じ病気を患ったケースに遭遇したことがあり、その患者の皮膚の色も今回の女性とまったく同じだったそう。

メトヘモグロビン血症は、ベンゾカインを含む局部麻酔用物質によって引き起こされます。どうやら女性は、前日に歯科で処方された瓶入りの麻酔薬の大部分を使い切っていたようです。…よほど歯が痛かったのかもしれません。

甘く見てはいけないベンゾカインの副作用

Credit: pixabay

解毒剤のメチレンブルーを投与された女性は、数分間で気分が改善しました。2回目の投与を受けた後、経過観察のために一晩入院した女性は、翌朝には帰宅することができました。

ベンゾカインには、血中の鉄から電子を奪うことで、その形状を変え、酸素と上手く結びつかないようにする作用があります。人体は、生命維持に必要な成分を体内に行き渡らせる鉄と酸素の強い結束に依存しています。

血液が窒息状態に陥り、血中酸素量が正常の70%を下回ると、体内の組織に深刻な損傷が及びます。この女性の場合、採取した「濃紺色」の血液を調べたところ、酸素量は68%まで低下していました。

ベンゾカインの副作用、決して甘く見てはいけないようです。

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reference: theguardian, livescience / written by まりえってぃ
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