皆さんの周りの男性で「僕」を使っている人はいるだろうか。以前、「教えて!goo ウォッチ」で公開した「自分のことを『僕』と言えるのは何歳まで?」という記事では、男性が自分のことを「僕」と言うことについて、「年齢関係なく、ビジネスの場ではNG」、「相手との関係性次第ではOK」など、個々の感覚で良し悪しを判断している人が多いことが判明した。実際は、どのように使うのがマナーの観点からみて正解なのだろう。そこで今回は、アナウンサーでありマナー&話し方未来研究所所長である飯島永津子さんに、「僕」は何歳まで使ってよいものなのか話を聞いてみた。
■自分のことを「僕」と言ってOKなのは何歳まで?
まずは、マナーの観点から教えてもらった。
「マナー教室や大学の就活セミナーなどでは、就職活動を開始し面接などで自分自身について話す場面では、『私』を使うことをお勧めしています。年齢は関係なく、就職活動中の男性が自分のことを『僕』と言うのは、ビジネスマナー上、適切ではありません。ちなみに『私』は『わたし』と言っても『わたくし』と言っても正しい表現です」(飯島さん)
若い男性ほど、自分のことを「私」と言うことに抵抗があるかもしれない。
「慣れるまでは気恥ずかしさを感じるかもしれませんね。しかし、晴れて入社試験に合格し就職したあとは、どのようなビジネスシーンにおいても、自分のことを話す場面では『私』を使うのが無難でしょう」(飯島さん)
「僕」の使用は、ビジネスの場ではもちろん、就職活動をスタートしたらNGと覚えておくとよいだろう。
■プライベートで「僕」と言うのはアリ?
年齢関係なく、公的な場で「僕」はNGと分かった。では、プライベートで使うのはどうだろう。
「結論からいうと、プライベートでは『僕』を使ってもよいです。相手との関係性にもよりますが、『私』より『僕』のほうが『謙虚さ』や『親しみやすさ』が伝わる場合もあるからです。相手が不快に感じなければ問題ないでしょう」(飯島さん)
気心知れた相手に使うとはいえ、プライベートでの「僕」は、何歳頃まで通用するのだろうか。
「例えば、お年を召した男性が『僕』と言ったら、『不自然』とか『ギャップを感じる』などと思う人もいるかもしれませんね。それもまた『人それぞれの感覚』です。私は、何歳であれご自身のことを『僕』と言う男性に対し、違和感を抱かないばかりか『フランクでよいな』とさえ感じますよ」(飯島さん)
飯島さんの言葉に安心した男性は多いのではないだろうか。相手との関係性次第だが、私的な場では、年齢に関係なく「僕」を使って大丈夫そうだ。
■「僕」や「私」の境界線は、メールでも同様?
口語において「私」と「僕」を使い分ける境界線は、「公私の別」だった。では、メールや手紙などにおいても同様だろうか。
「基本的には口語と同様で、ビジネスメールや文書などでは『私』が適切でしょう。私的なメールは『僕』でも構いませんが、目上の相手へ送る場合はプライベートでも『私』を使った方がスマートな場合が多いです。また、気心知れた同僚や後輩などへのプライベートメールには『小生(しょうせい)』を使うのもよいでしょう。 『小職(しょうしょく)』や『下名(かめい)』という単語も同様ですが、目上の男性が目下の相手に対し、自分のことをへりくだって使う一人称です」(飯島さん)
飯島さんいわく「小生」などは、人生において多くのことを成し遂げてきた50~60歳代かそれ以上の大人の男性が似合うイメージだそう。だが、「極論ですが、その人の個性やキャラクターから『俺』がいつまでも似合う男性もいますよね」とも話してくれた。TPOに応じ、「相手を不快にさせない」ことに留意し、スマートに一人称を使い分けられたらよいのかもしれない。
●専門家プロフィール:飯島 永津子
テレビ朝日系列民放局、NHKアナウンサーを経てフリーに転身。各界の著名人への取材を通じ多くの学びを得る。 現在は、愛媛大学医学部他大学講師、NHK・三越・新聞社などのカルチャー講師、BMIビジネスマナー認定講師、マナー&話し方未来研究所所長として、全国の大学や企業、病院などで作法や話し方などの講演を行う。
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)
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