28日に激突、北半球最強チームは日本を研究済み

 スコットランド代表に27-3と快勝したアイルランド代表。次戦では日本代表を迎え撃つ北半球最強チームだが、すでにジェイミー・ジャパンを丸裸にしている。

 衝撃の発言をしたのは、スコットランド戦後の取材に応じた先発FBジョーダン・ラーマーだった。

「日本―ロシアも見たよ。日本はテンポも速かったし、いいキックもしていた。エリアもしっかり取ってきていた。フィジカルも良かったしね。すごく危険なチームだと感じたけど、これから対日本のプランを考えていきます」

 ここまでは、ありがちな次戦へ向けてのコメントだったが、日本の分析については“社交辞令”ではない内容だった。かなり万全の分析をしているのでは――という質問に、昨年代表デビューした21歳の若武者は、こう答えた。

はい。答えはイエスです。チームとして、たくさん日本のビデオを見ています。評価もしてます。日本代表が何をやろうとしているのか、何を重視しているのかを見て、さらに、それにどう対抗するのかを考えています」

 スコットランドという6か国対抗のライバルとの対戦を踏まえながらも、次戦の相手への対策を、隠すことなく明かしたのには、おそらく指揮官の存在があるはずだ。

 この大会を区切りにアイルランド代表の指揮を終えるジョーシュミット監督は、その卓越した分析力を武器に、アイルランドを世界屈指の強豪に鍛えてきた。イングランドニュージーランド(NZ)という南北半球の最強軍団が、その絶頂期にあるときに土をつけ、世界ランキング1位で日本大会を迎えた。

異色の経歴の持ち主のシュミット監督

 母国NZ代表監督の座も有力視される名将だが、この日の会見でも、決勝トーナメントへの戦略を聞かれて、あえて日本代表の名を挙げているのだ。

「昨秋のイングランド代表との前半の戦いぶり(15-10でリード)、そしてPNC(パシフィック・ネーションズ・カップ)でも無敗だったので、日本はとても危険にチームだと考えている。われわれが劣勢に立たされる可能性もある。なので、1試合1試合進んでいきたい。日本に勝てば(決勝トーナメントで対戦する可能性がある)南アフリカのことを考える必要があると思うが」

 シュミット監督は現役時代はNZ代表の経験はない。英文学の高校教師からスタートして、ラグビーコーチとして実績を積み上げ、欧州で強豪チームの指導者として成功した異色の経歴の持ち主だ。

 若手主体で編成された2017年アイルランド代表の日本遠征でも、福岡堅樹リーチマイケル、田中史朗ら日本代表選手の名前を列挙して、嬉々とした表情で、その能力の高さを語っていた。いわゆるティア1チーム指揮官が個々の日本選手の名前はもちろん、そのプレースタイルキャラクターを把握しているのは異例のことだが、“分析魔”の指揮官にとっては桜のジャージーのフィフティーンは興味深い存在だったのだろう。

 そして、日本大会開幕前の千葉市内での会見でも、日本代表への賛辞を語っている。

ジェイミー(・ジョセフヘッドコーチ)、トニー(・ブラウン攻撃コーチ)はよく知っている。とてもよくやっていると思う。チームクオリティは非常に高い」

 スコットランド相手に盤石の強さをみせた優勝候補は、日本を徹底的に分析しているし、十分な警戒感を持って挑んでくる。2年前は若手で来日したが、今回は本気のメンバーで襲い掛かってくる。

 その相手に日本はどう戦うのか、どこまで戦えるのか。サモア、そしてスコットランドとの後半戦も見据えて、最高の、そして最強の試金石との決戦がカウントダウンに入った。(吉田宏 / Hiroshi Yoshida)

吉田 宏
サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。ワールドカップは1999、2003、07、11、15年と5大会連続で取材。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表ブラジル撃破と2015年ラグビーワールドカップでの南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かして、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。

アイルランドは快勝スタート【写真:荒川祐史】