文:オポネ菊池

 スクウェア・エニックスMMORPGファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)のオーケストコンサート、“FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2019 -交響組曲エオルゼア-”が、2019年9月21日、22日の日程で神奈川県・横浜のパシフィコ横浜 国立大ホールで開催。

 こうしたコンサートが行われるのは、国内では2年ぶり。『FFXIV』に関わっていると、ゲーム内のアップデートや、ひっきりなしのイベントで話題に事欠かないせいか、「もう2年前の出来事なのか……」という気持ちにさせられる。2年前のコンサートでは、東京国際フォーラムで2日間4公演で20000人を動員。その後、アメリカヨーロッパでも開催されている。当時の記事リンクを掲載しておくので、興味があれば見てほしい。

涙と笑いと驚きに溢れた『FFXIVオーケストラコンサート“交響組曲エオルゼア”リポート【ネタバレ全開】
https://www.famitsu.com/news/201709/29143021.html
「やっと来れた(祖堅氏)」ハリウッドで『FFXIV』のサウンドが響き渡る! “Eorzean Symphonyリポー
https://www.famitsu.com/news/201806/18159328.html

 なお、記者がおじゃましたのは、9月22日の夜公演。公演の模様の写真は9月21日の夜公演のもので、撮影日が混在している点、ご了承願いたい。


【画像32点】「『FF14』国内2回目のオーケストラコンサートが開催。不意打ちのアンコールに涙が止まらない!」をファミ通.comで読む(※画像などが全てある完全版です)

前半は新生編/蒼天編

 2年前のコンサートでは、新生編と蒼天編の2部構成だったが、今回はそれらをギュッと凝縮して前半にまとめ、後半が紅蓮編という構成。セットリストは事前に公開されていたが、アンコールも含めたものを記事の最後に記載している(最大のネタバレは自粛)。


 『FFXIV』のイベントと言えばこの曲、『希望の都』からコンサートスタートのっけからトゥッティ(全合奏)となる曲で、一気にオーケストラの世界に引き込むにはうってつけの曲だ。そんな1曲目が終了後、吉田氏が登場し、会場は「よしだああああコール。吉田氏は挨拶の後、オーディエンスに質問を投げかけた。

オーケストラコンサートが初めてという方は手を上げてください」
「まわりの方はわかりますね? 初見の方には優しくするんですよ」
そう、2年前もあった、オーディエンスをゲーム内のロールにたとえるネタだ。

「ふだんタンクの方、皆さんは真っ先に“ブラボー”と言ったり、スタンディングオベーションをしてください
「ふだんヒーラーの方、皆さんは感情がグシャグシャになっている方といっしょに泣いてあげてください」
「そしてDPSの方、やることはいつもと同じです。火力を出してください。オーケストラコンサートでの火力はわかりますね?」
会場は爆笑に包まれ、緊張の糸もほぐれていた。

 2曲目は黒衣森のBGM『静穏の森』。この曲の要はピアノだと思うのだが、Keiko氏は雨雫が木々からこぼれ落ちるがごとく、繊細な音色を奏でていた。続いて3曲目は究極幻想アルテマウェポン破壊作戦のBGM『究極幻想』。この曲は2年前も演奏されたが、原曲とは異なる英詞によるコーラスパートポイントだ。4曲目は『Heavensward』。とにかくソプラノパートがすばらしい。もっとも音程が高くなるところは、思わず息を止めてしまうほど。

 続いての『Dragonsong』では、スーザン・キャロウェイ氏が登場し、歌声を披露。歌のすばらしさはもちろんだが、このときの映像が反則的(褒め言葉)で、オルシュファンやイゼルの姿がオーディエンスの涙腺を崩壊させる。


 オーケストラでは初演奏となる、オメガと神龍が戦うシーンの楽曲『銀鱗と鋼鉄』が披露された後、クリスタルタワーメドレーへ。メドレーを構成する曲のひとつ『悠久の風』は、『漆黒のヴィランズ』のメインテーマである『Shadowbringers』のモチーフとして登場することもあり、映像も含めてかなり『漆黒のヴィランズ』を意識したものとなっていた。


後半の紅蓮編はさらに感動の嵐!

 後半の1曲目は、ガレマール帝国の国歌にあたる『我らが支配圏』。なんと、この曲では吉田氏と祖堅氏がコーラスとして参加。ちなみにこの曲の設定は、もともとアラミゴ国歌だったものをガレマール帝国が属州歌として改変したもので、光の戦士としてはこの曲に拍手を送ることに若干の違和感がある。そのあたりは吉田氏もかなり悩んだらしく、選曲までの顛末がパンフレットに書かれているので、気になる人はチェックしてみてほしい。


 続いて『紅蓮のリベレーター』でのダンジョンボスBGMである『鬨の声』、その後は『Revolutions』で再びスーザン氏が登場。


 4曲目は吉田氏がお気に入りという『塩と苦難の歌 〜ギラバニア湖畔地帯:昼〜』。5曲目はクガネの曲から『紅蓮のリベレーター』のオープニングへと続く『紅の嵐』。この曲で圧巻だったのは尺八で、音域の異なる2本の尺八を途中で持ち替えながら、クガネの象徴的な旋律を奏でていた。


 6曲目はヤンサのフィールド曲から始まって、その後にツクヨミ討滅戦の中盤、後半と3曲がつながった『月読命之歌』。ヤンサのフィールド曲と言えば、やはり二胡の音色の印象が強いと思うのだが、今回はヴァイオリンがそのパートを演奏。音色的にはかなりキャラクターが異なるのだが、フレージングやポルタメント(なめらかに音程を変えること)などでかなり二胡に寄せた演奏を披露していた。

 ちなみに、ヤンサのフィールド曲のイントロが聞こえてきて、「ここれオタマトーンを持った祖堅氏が出てくるのでは?」と思ったのは私だけではないだろう。今回はその予想を裏切る形になるのだが、このままで終わる祖堅氏ではなかった。


 続いての7曲目は『開けられた玉手箱 〜海底宮殿 紫水宮〜』。ここで、オタマトーンを持った祖堅氏が登場。超繊細なコントロールが必要なオタマトーンで、紫水宮のような動きの多いメロディを演奏するのは至難かと思われたが、これがなかなかにうまい! 音程を外しまくってウケを狙うのではなく、職業“オタマトーン奏者”として拍手喝采を浴びていた。


 プログラム上のラストは、『空より現れし者 〜次元の狭間オメガアルファ編〜』。『新生エオルゼア』を代表する『天より降りし力』のアレンジ曲にあたり、まさに『新生エオルゼア』と『紅蓮のリベレーター』を感じさせる楽曲として選曲されたようだ。


多くの人が「死んだ」と表現したアンコール

 アンコールの1曲目は『そして世界へ』。これは、いわゆる『FF』シリーズメインテーマなのだが、これは『FFXIV』に限らず、それぞれが経験したすべての『ファイナルファンタジー』の思い出が蘇ってくるため、破壊力が高い。この曲が終わった時点で、一度目のスタンディングオベーションが起こった。

 すると、すぐにアンコール2曲目のタクトを振り始める栗田氏。2曲目は『龍の尾 〜神龍討滅戦〜』だ。これは、2019年9月18日に発売された『FINAL FANTASY XIV Orchestral Arrangement Album Vol. 2』に収録されていたので、予想がついていた人も多いはず。まさに紅蓮編を締めくくるにふさわしい曲で、ここでもスタンディングオベーション。これで終演を迎えると思ったのだが……


 一度ステージからはけた栗田氏が再び姿を見せると、スクリーンを指差すジェスチャー。そのスクリーンには、なんと『漆黒のヴィランズ』のロゴが! なんと、アンコール3曲目は『漆黒のヴィランズ』からの選曲だったのだ。この3曲目は、曲名自体がネタバレになるので、本記事では伏せておく。どうしても気になる人は、SNSなどで検索すれば答えがわかるだろう。それにしても、『漆黒のヴィランズ』発売から約2ヶ月足らずのタイミングで、まさかこの曲を演奏するとは……。初日に、最終公演までこのことは伏せておいてほしいと吉田氏から伝えられていたそうだが、多くの人が「死んだ」と表現したのは納得しかない。これはやられてしまう。


 保証はできないが、いまの『FFXIV』の勢いならば、また2年後あたりに『漆黒のヴィランズ』の楽曲を堪能できるようなオーケストラコンサートが開催されるだろう。正直、その時まで待ち遠しいな……と本公演開始時まで思っていたのだが、まったくの不意打ちで先取りさせてもらった感じがして、本当に感無量だった。

 これからしばらくは、2019年12月11日に発売される本公演のBlu-rayを堪能しつつ、3回目の交響組曲エオルゼアを待とうではないか!

セットリスト

第1部 新生/蒼天編
希望の都
静音の森
究極幻想
Heavensward
英傑 〜ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦〜
Dragonsong
銀鱗と鋼鉄
クリスタルタワーメドレー

第2部 紅蓮編
我らが支配圏
鬨の声
Revolutions
塩と苦難の歌 〜ギラバニア湖畔地帯:昼〜
紅の嵐
月読命之唄
開けられた玉手箱 〜海底宮殿 紫水宮〜
空より現れし者 〜次元の狭間オメガアルファ編〜

アンコール
そして世界へ
龍の尾 〜神龍討滅戦〜
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