航空機など飛行物体を開発するとき、技術者はいかにして揚力を得て効率的に飛行できるかといったことを鳥から学ぶ。同様に、水中のロボットに関しては魚から学ぶ、というのは自然のことだろう。

米大学のチームはその“原理”に従って研究を行い、本物のキハダマグロのように速く泳げるロボットの開発に成功した。

・実物を模したデザイン

ヴァージニア大学とハーバード大学の共同研究チームが開発したロボットの名称は「Tunabot」。本物のマグロは体長2メートルほどに成長するが、Tunabotは体長25.5センチとミニチュアだ。

丸い胴体に尾ひれと、実物を模したデザイン。搭載したバッテリーで尾ひれをパタパタを動かして推進力を得ている。

・毎秒0.4メートルで9キロ泳ぐ

研究チームはこのTunabotの推進力を確認するためにタンクの中で泳がせて実験を行なった。レーザーをもとに流体運動を分析したところ、最大スピードは同等サイズの本物のマグロを同じであることがわかった。

また、テストでは10Whの電池を搭載した場合、毎秒0.4メートルというスピードであれば9キロ泳ぐことが可能とのデータが示された。スピードを毎秒1メートルに上げると、距離は4キロほどになるという。

もちろんこの研究はただロボットを泳がせて終わりではなく、水中で無人または有人の乗り物を効率よく航行させることが最終目的となる。そして国土安全保障省の調査ロボットのようなものに活用されることを想定しているとのこと。

この研究に関する論文は専門誌Science Roboticsに掲載された。

University of Virginia

(文・Mizoguchi)