インドネシアで1歳2か月の幼児が、コーヒーをミルクの代わりに飲んでいることが地元メディア『Kompas.com』によって伝えられた。幼児がコーヒーを飲み始めたのは生後6か月の時で、今では一日に1.5リットルを飲んでいるという。

インドネシア西スラウェシ州ポルワリ・マンダル県のトンロ・リマ村(Tonro Lima)に住むある夫婦は、一日の収入が20,000ルピア(約153円)しかない。夫婦はココナッツ農園で働いているが、わずかな稼ぎだけでは子供のミルクを買うことができず、1歳2か月になるハディジャ・ハウラちゃん(Hadijah Haura)は生後6か月の時から一日に1.5リットルの砂糖入りコーヒーを飲んでいる。

インドネシアでは細かく挽いた粉にお湯を注ぎ、粉が沈んだところを飲む‟コピ・トゥブルック(Kopi Tubruk)”という少し苦めのコーヒーが有名だが、夫婦は安く手に入るこの粉と砂糖を利用して一日に3回、ハディジャちゃんに哺乳瓶でコーヒーを飲ませている。

今のところハディジャちゃんの健康状態に異常はみられないようだが、『Kompas.com』のインタビューに応じた母親のアニータさんは「他にどうしろというのですか。私たちの収入ではミルクが買えないのです。それにハディジャは寝る前にコーヒーがないと癇癪を起こすのです」と主張した。ただしハディジャちゃんはカフェインのせいで夜はなかなか眠れず、1人遊びをしていることが多いそうだ。

ハディジャちゃんのニュースはインドネシアで拡散し、その後夫婦のもとにはポルワリ・マンダル県の保健局の職員がやってきて、ミルクビスケットなどが手渡された。職員は「今は健康に問題がなくても、カフェインや砂糖を幼児に与えるのは好ましくない。今すぐコーヒーをやめるように」と忠告して帰っていったそうだ。なお、保健局が一家の支援を継続するかどうかは伝えられていない。

米国小児科学会は、12歳未満の子供にカフェインを与えるのは推奨できず、12歳から18歳でも1日の摂取量を100mg以下に抑えるべきだとしている。コーヒー1杯を150mLとした場合のカフェイン量は60~90mg程度で、カフェインの摂り過ぎは頭痛や心拍数の増加、高血圧などをもたらしたり、カフェイン依存症などに陥ることもあり注意が必要だ。

2018年のユニセフのデータによると、5歳未満の子供のうち10人に3人が発育不全、10人に1人が急性栄養失調という結果が出ており、貧困により栄養や育児に関する十分な知識がないことも栄養失調を加速させる一因になっているようだ。

このニュースには、ネットユーザーから「栄養があるミルクの代わりにはならない」「1歳2か月なら、もうミルクは卒業できるはず。コーヒーもやめるべき」「夫は第2次世界大戦中に生まれ、コーヒーを飲んで育った。貧しさゆえのこと」「砂糖も高いと思う。水を飲ませるべき」「まずは貧困の問題を解決しないと」「母親も栄養不良で母乳があげられないのかも」などといったコメントがあがっている。

画像は『Kompas.com 2019年9月16日付「Orangtua Tak Mampu Beli Susu, Bayi 14 Bulan Diberi 5 Gelas Kopi Setiap Hari」(KOMPAS.COM/JUNAEDI)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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