中国では東洋医学は「中医」と呼ばれているが、中医は中国が発祥とされている。「体を冷やす」ことを避けるなど、中国人は中医の考え方を生活に取り入れているが、その一方では中医離れが進んでいるのも事実であり、より即効性が期待できる西洋医学や西洋薬が重宝されるようになっている。

 中国メディアの捜狐はこのほど、中医は日本や欧米諸国で受け入れられ、世の中に広まっていると指摘する一方、中医発祥の国である中国では逆に「衰退している」ことを紹介する記事を掲載し、「医療はお金儲けの道具ではなく、人の苦痛を和らげるためにあるべきだ」と主張した。

 記事は、中国には非常に長い歴史のある伝統的な医学として「中医」が存在するとし、これは中国人が先祖より代々受け継いできた「貴重な宝」であると主張。だが近年では、中国で西洋医学が重んじられ、中医が衰退していると指摘する一方、外国では東洋医学を取り入れた医療が盛んに行われるようになっているのは皮肉だと伝えた。

 続けて、日本では「漢方薬」が身近な存在となっており、薬局で漢方薬を気軽に購入できるほどだと指摘。また、欧州で医学の進んでいる国といえばドイツだが、ドイツでは中医に基づく医療を受けようとすれば、西洋医学をベースとした医療の10倍以上の費用がかかるのが一般的だと主張したほか、米国やオーストラリアなどでも中医は広く取り入れられていて、特に「針灸」が治療に取り入れられていると紹介した。

 一方で記事は、中国では中医は徐々に衰退していると論じ、それは「中医に携わる人たちがお金儲けに走ってしまっており、人びとは中医を信用できなくなっているためである」と分析した。実際に、中国人のなかには自国で販売されている漢方薬にどのような材料が使用されているのか信用できないため、わざわざ日本を訪れて中国から輸入された漢方薬を購入する人も少なくない。

 結論として記事は、「中医はお金儲けではなく、人の苦痛を和らげるためにあるべきだ」と主張し、数千年の歴史のなかで培われてきた中医を大切にしていく必要があると強調した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日本や欧米では「東洋医学」が受け入られているのに! わが国では「衰退の一途」=中国