非政府組織(NGOアムネスティ・インターナショナルの報告によると、香港警察は、抗議者への弾圧で無謀な戦術と報復的な暴力を行っているという。負傷者たちは骨折や失明など重傷を負っている。

報告は、逮捕者、医療従事者、弁護士への38件のインターネットと映像分析に基づく。15週間にわたる香港市民の抗議行動への警察の対応が適切ではないとした。

香港警察が街頭で繰り広げた高圧的な統制は、世界中に生中継された。さらに、映っていないところで抗議者が虐待を受けている」と、報告発表の記者会見でアムネスティ東アジア地域事務所所長ニコラ・ベクラン氏は述べた。

NGOは報告書の中で、過剰な力の行使、殴打、恣意的な逮捕、品位を傷つける態度、医療措置の遅れなどを指摘した。

本土への容疑者引き渡し条約改正案の反対に端を発した、香港市民デモは、すでに15週目に入った。香港警察はこれまでに1400人以上を逮捕した。市民の抗議は、中国政府の自由への侵害や警察による暴力行為などの停止を求める運動に発展した。

アムネスティは21人の逮捕者にインタビューした。そのうち18人は逮捕後に負傷で入院を余儀なくされた。

ある男性は、8月に新界で逮捕された際、質問に答えることを拒否したところ、警察官は彼を殴打し「身を守ろうとすれば手を折る」と脅したという。「警官が私を地面に倒して、私の胸に膝を押し付けました。痛くて息ができませんでした。大声を出そうとしましたが、息もできず、話すこともできませんでした」と男性はインタビューで述べたという。

また別の男性は、警察官から「これを人に向けたくないだろう」と言われ、強制的に目を開けて、レーザー光線を照射された。8月、警察はレーザーポインター10個を所持していた学生リーダーを、「攻撃用武器の携帯」を理由に逮捕した。抗議行動に参加する市民たちは、警官の行動に抵抗するためレーザーポインターを使っている。

腕に複数の骨折を負った別の男性は、すぐに病院への搬送を求めたにもかかわらず、警察に拘禁中の5時間は治療を受けることが出来なかった。別の2人は、路上できつく縛られ、催涙ガスが発射されている場所に放置されていた。

香港警察9月20日に開いた記者会見で、抗議活動への対処として、警察官は必要最小限の力を行使するだけで、違法行為があるとの指摘を否定した。Tse Chun-chung警察広報部長は、アムネスティの報告書について言及した。「これらの報告は、この数カ月間の基本的な香港情勢の変化について言及していない。警察は、法の支配に対する前例のない挑戦に直面している」と力の行使の正当性を主張した。

しかし、ベクラン氏は報告発表会見で、アムネスティが記録した人権侵害は明らかに国際人権法違反であり、「拘束の有無を問わず、警察官は逮捕前から暴力をふるっている。したがって、武力の行使は明らかに過剰であり、国際人権法に違反している」と述べた。

アムネスティは、香港警察の暴力に対する起訴、賠償を実現するために、独立した第三者組織による調査を緊急に求めている。

(翻訳編集・佐渡道世)

香港警察の暴力に抗議する中学生たち(GettyImages)