東急多摩川線鵜の木駅から歩いて1分。立ち飲みスタイルでクラフトビールを提供する『BEER STAND Stoop』が、今年6月下旬にオープンしました。ビールを飲みながらのトレインビューが最高に気持ちいいとの噂を聞き、取材に行ってきました。

ビアスタンド ストゥープ

 全面ガラス張りなので通りから店内の様子がうかがえます。白い壁に白木を配し、客側の壁のニッチ棚には缶ビールコースターなどがディスプレイされ、明るく清潔でカジュアルな印象。ひとりでも臆せず入れそうな雰囲気です。

 L字カウンターの内側にはグラスやナッツ類を入れたガラス容器が整然と並び、なかでもボックス型のメタリックなディスペンサーがひときわクールな存在感を放って鎮座しています。

取材当日、タップに繋がれていたビールは栃木「BLUE MAGIC」「ろまんちっく村」、大阪「MARCA」、青森「Be easy Brewing」など。グラスのサイズはS(200ml)、M(380ml)の2種。ビールによって価格は異なります
取材当日、タップに繋がれていたビールは栃木「BLUE MAGIC」「ろまんちっく村」、大阪「MARCA」、青森「Be easy Brewing」など。グラスのサイズはS(200ml)、M(380ml)の2種。ビールによって価格は異なります

 タップは5本あり、すべて日本のクラフトビール。1樽飲みきりで銘柄はその都度入れ替わります。「お世話になったブルワリーや作り手の顔が見えるブルワリーのものを中心に、色や味わい、度数などにバリエーションをつけています」と、店主の日高健吾さん。5タップのほか、イレギュラーでインポートの缶ビールを入荷することも。

 もっぱらビール党だという日高さん。前職は視能訓練士として医療機関に従事していたという異色のキャリアですが、ある時、衝撃のクラフトビールと出会います。好奇心の赴くままに醸造所のある宇都宮まで足を運び、縁あってビールづくりの現場へ入るチャンスに恵まれます。

「将来、クラフトビールのお店を」と考え始めたのは、自身が経験し、身近に触れてきたクラフトビールの魅力をもっとたくさんの人に知ってもらいたいという思いから。

この場所を選んだ理由は?

 お店は鵜の木駅から1分足らずの好立地。沿線に馴染みのある人や沿線を利用する人ならまだしも、決して知名度が高いとはいえない駅です。

「蒲田を除けば、多摩川線沿いにはクラフトビールを楽しめるお店がほとんどないんです。クラフトビールファンだけでなく、馴染みのない人にもクラフトビールに触れてもらえる小さなきっかけになれば」と、この場所で開業。「数ヶ月経って実感したのは、クラフトビールに興味を持っている人がこんなにたくさんいたんだ」ということでした。

 この日も近隣に勤めるサラリーマン、偶然通りかかって入ってみたという人や遠方から開店祝いにかけつけた知人などが入れ替わり立ち替わり。開栓する銘柄をSNSでチェックして、それを目当てに足を運ぶ近所の人も多いそう。

 フードはジャイアントコーンやナッツ類などの乾きもののみ。「料理をしないので、それなら持ち込みOKに」という発想が功を奏して、最近では近所の美味しいメンチカツやパンなどを持参するお客さんとのローカルな情報交換も広がり、それが好循環になっているといいます。

実はトレインビューも魅力

 駅近の至便さもさることながら、お店が線路沿いにあるため、トレインビュースポットとして密かに“鉄分補給”を楽しむ向きも。マイナー路線と思いきや、濃紺と黄色のツートンカラーが目を引く復刻車両「きになる電車」はじめ、鉄道好きが注目する車両編成も多く、それをビールのアテにするのもご一興です。

ビアスタンド ストゥープ

 目の前を3両編成の電車が走るなんともいえないのどかな景色は妙にのんびりとした気分を誘い、鉄道ファンじゃなくても心地よさを覚えます。

 平日の仕事帰り、おつかれさまの一杯を求めてサクッと寄り道できるのはローカルの特権かもしれないけれど、嬉しいことに土曜、日曜は14時オープン。たとえ沿線に縁がなくても、途中下車しながら町歩きを楽しむテレビ番組よろしく、鵜の木駅で降りてクラフトビールを味わうという休日の過ごし方もおすすめです。

(取材・文◎笹森ゆうみ)

●DATA

店名:BEER STAND Stoop(ビアスタンド ストゥープ)

住:東京都大田区鵜の木2-12-1
TEL:非公開
営:16:00~22:30(土・日14:00~22:00)
休:火曜
https://www.facebook.com/b.s.stoop/

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