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 このほど、ボストン・ダイナミクス社によって汎用型4足歩行ロボット「スポット(Spot)」の一般への発売が発表された。

 その犬のような動物じみた動きと、顔がないためか、どこか恐怖感を煽る無機質な風貌で話題となっていた犬型(?)ロボットが、今やウェブサイトの注文フォームから購入することができるようなったのだ。

 ただし、価格はリースでも車1台分くらいで、現時点では法人向けとなっている。それでも、あんな高機能なロボットが街に進出するきっかけにはなるわけで、いろいろ好奇心をそそるものがある。ここでは、購入を前向きに考えている人のための、スポットのスペックや価格などの詳細を見ていこう。

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Spot Launch

購入条件は?

 ボストン・ダイナミクス社のウェブサイトでは、購入するための諸要件が説明されている。

 現時点ではビジネス向けで、営業開発部のマイケルペリー氏によると、「説得力のあるユースケースがあるか、何か面白いことができそうな開発チームを持つ」顧客に対して販売を望んでいるという。

 ロボットの台数には限りがあるため、法人が優先されているが、個人で購入したい人はもうすこし待とう。

スポットは何ができるの?

 スポットは歩いたり、速足でかけたり、障害物を避けたり、階段を登ったりできる。さらに犬のような動きで楽しませてくれる。

 こうした動作を実現するために、高度なコンピューターが搭載され、ボディの左右に内蔵されたそれぞれ5つのセンサーモジュールで周囲の空間を認識している。

 脚は12個の専用モーターで駆動され、最高速度は秒速1.6メートル。1度の充電で稼働できるのは90分だ。

 これが基本構成だが、ペイロードインターフェースに最大14キロまでの追加ハードウェアを取り付けることが可能。たとえば、6DoFのロボットアームやストリートビュー的な撮影ができる「スポットカム」というカメラシステムなどがある。

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Image by Boston Dynamics

操作方法は?


 15秒もあればゲームのコントローラーのようなデバイスを使った操作方法を覚えられるそうだ。

 しかしコントローラーで操作してみても、スポットがじつは相当な作業を行なっているなど気づかないだろうとのこと。ただやりたいことを考えるだけで、ロボットがほとんどのことをこなしてくれるという。

 初期に開発された「ビッグドッグ(BigDog)」や「LS3」に比べれば、ロボットの操作方法はずっと洗練されており、「逐次合成コントローラー(sequential composition controller)」と同社が呼ぶものを使えば、「さまざまな状況でもシステムを制御可能」なしっかりとした操作感が味わえる。

 ロボットの脚が地面に触れたり、離れたりするたびに、そのボディの状態に基づき機体の基本物理挙動に調整が加えられ、コントローラーもそれに応じて調整されるとのことだ。

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でもお高いんでしょう?

 具体的な価格は発表されておらず、知りたければ見積もりを依頼するしかない。

 それは無理もない。高価で複雑な製品なので、カスタマイズやサポートの程度といった状況に応じて、ケースバイケースで価格は変わるだろうからだ。

 またリースのプランもあるようだ。ペリー氏によると、一般的な目安として、リースの総額が車1台の価格よりも安いことはないそうだ。

 車といっても世にはさまざまな車種があるわけだが、その指標となる車は、スポットのリース台数や期間によって変わってくるとのことだ。超高級車並みの価格だってありえるかもしれない。

自律的な活動になるアップデートも予定

 スポットの認識システムは、カメラや3Dセンサーを利用したもので、障害物を避けたり、地形を読み取って階段を登ったり、瓦礫の上を歩いたりできる。

 こうした認識システムは3Dマップの作成にも使われる。最初にリリースされるソフトウェアには、リモコン操作の機能のみしか実装されていないが、数週間以内にもっと自律的な活動が可能になるアップデートがリリースされるという。

 それがあれば、自分でマッピングを行い、それに基づいて単独で活動したりできるようになる。

 すでに自社の自律データ(たとえばドローン向け)を持つ顧客向けに、API(別個のソフトウェア同士で機能を共有できるようにすること)を通じて、それをスポットで応用することも可能だそうだ。

スポット用のアプリ開発はユーザーと共同で

 ボストン・ダイナミクス社は、スポットをプラットフォームと捉えている。つまり必要に応じたアプリケーションをロボット上で稼働させるためのベースだ。

 同社によれば、どのようなアプリを用意するべきか把握するには、できるだけ多くのユーザーに使ってもらい、実際にスポット用アプリを開発してもらうのが最善策なのだそうだ。

 アイデアとしては、建設現場でのリモートデータ収集や軽作業の実施、原油やガス施設などでのセンサーやインフラモニタリング、爆発物やハザード物質の運搬などが考えられる。

 ほかにも警備や運送、さらにはエンターテイメントといった用途だって有望だ。

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生産台数は?

 昨年6月の時点で、年末までに約100台のスポットを生産し、今年の半ばまでには年1000台のペースにまで拡大すると発表されていた。

 実際には予定通りに進まなかったのだが、それでも最終的な設計をテストし、調整するためのベータ機が100台近くが生産された。

 ベータ機は現在大量生産されているが、今のところ二桁代の前半程度しか完成していないそうだ。

スポットのテスト方法は?

 ボストン・ダイナミクス社は概念実証テストの段階から顧客と一緒にテストを進めてきた。そして、そのうちの1社は、建設現場の調査用に現場でスポットを利用しているそうだ。

 またウォルサムにある自社施設でも信頼性テストが行われている。週に数百キロを歩かせてデータを取集し、バグを潰していったとのことだ。

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 ボストン・ダイナミクス社は創業以来、軍の助成による研究開発を主な業務とする企業だった。しかし、それでもロボットの市販化をずっと目標として掲げてきたという。

 この流れは、野心的なロボット計画を推進しているグーグルの親会社、アルファベット社に買収されたことで加速したと思われる。

 さらにその後ソフトバンクに買収されたが、孫正義氏はロボット好きとして世界で知られている人物だ。

References:bostondynamics/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52282886.html
 

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