Flying Lotus(フライング・ロータス)

LIVE REPORT 2019.09.26(THU)@新木場STUDIO COAST FLYING LOTUS IN 3D

昨年の<ソニックマニア>に続く3Dライヴである。新作『FLAMAGRA』を引っさげての単独公演。早くからソールドアウトとなった会場の新木場スタジオコーストは、開演15分前になってもまだ長蛇の列が会場を取り囲んでいた。1週間前に発表になったオープニングアクトルイス・コール(Louis Cole)。昨年暮れに全公演ソールドアウトの日本ツアーを行ったばかりだ。たった1人で歌、キーボードシンセベース、ドラムスを目まぐるしくプレイ。大きなサングラスの奥の表情までは読み取れなかったが、茶目っ気たっぷりのキャラクターとユーモラスな仕草に客席は笑いが絶えない。それでいてどの楽器もヴォーカルもおそろしく達者なプレイ。ルーパーなどを使ってワンマン・ライヴをやるアーティストは珍しくもないが、ルイスは頑張ってる感が微塵もなく、口笛でも吹きながら気楽にやっている感じが非常に良い。シャープで切れ味の良い才気煥発なサウンドとコード感豊かでメロディアスな楽曲のバランスも素晴らしいのに、ドラマティックに盛り上げるつもりなどさらさらなく、素っ気ないほど簡単に終わる潔さもまた、良い。 Flying Lotus(フライング・ロータス) Flying Lotus(フライング・ロータス) 適度にフロアが温まったところで、場内が暗いまま転換があり、やがてスクリーンに今年亡くなったRas Gの追悼映像が流れ、続いて3Dメガネ着用の字幕が出て、ついにフライロー(Flying Lotus)の登場だ。 デヴィット・リンチ「Fire Is Coming」で始まったライヴは、昨年の<ソニックマニア>でも感じたことだが、サイケデリックな曼荼羅3D映像の強烈すぎるモンタージュと、奇想天外なイマジネーションを喚起するドープで変態なエレクトロニック・ビーツが弁証法的に止揚していて、あまりにも刺激的すぎた。<ソニックマニア>時よりも際だっていた3D効果は、立体映像の面白さというよりも、観客が異次元世界に没入するための導入部のように思えた。まるでフライローの脳内で際限なく増殖する奇怪な妄想が、頭に突き刺した電極プラグを通じて直接私の脳内に流れ込んでくるような感覚さえ味わえたのである。ローのアタックが強烈な会場音響も、目まぐるしく変化する照明も申し分なし。 Flying Lotus(フライング・ロータス) とりとめもなく繰り広げられるドラッギーな映像は、あらかじめ決められた段取りはなく、すべてフライローの音楽にあわせての即興だという。フライローが事前に何をやるか映像チーム(Timeboy & Strangeloop)は知らず、すべてが出たとこ勝負。つまり同じショウは2度とありえない。2017年<フジロック>のエイフェックス・ツイン/ウィアードコアのスカムでジャンクな映像コラージュとはまた違う意味で、最高に刺激的だった。 ショウの前半はミュージック・コンクレート的なアブストラクト音響中心に進み、徐々にコード感のあるジャズフュージョン的な曲が増えてきたところで、飛び入りゲストのサンダーキャットが登場。事前に全くアナウンスがなかっただけに、フロアは俄然沸騰。両者のコラボレーションは、前半とは打ってかわってダンサブルでファンキーなグルーヴ中心に30分以上続いたが、ゴジラキングギドラ的な火花散るセッションというよりは、リラックスしたブラザー同士のエールの交歓に見えたのが面白かった。サンダーキャットの6弦ベースから矢継ぎ早に繰り出される超速フレーズの連続攻撃とフライローのミュータントな電子ノイズミクスチャーは、やはりマジカルである。サンダーキャット(Thundercat)は単独ライヴよりも客演が一番、とは私の持論だ。 Flying Lotus(フライング・ロータス) Flying Lotus(フライング・ロータス) Flying Lotus(フライング・ロータス) Flying Lotus(フライング・ロータス) Flying Lotus(フライング・ロータス) フライローはいつになくご機嫌で、客席に話しかけ、煽り、ダンスを求める。気難しい芸術家肌ではなく、もっと身近で気楽な友人のライヴを見ているような気になる。アンコールでは超満員のフロアがレイヴ状態になっていた。「また来年会いましょう」と手を振って去っていったが、今度はもう少し広い会場でお願いしたい。今なら幕張メッセぐらいできるんじゃないか?

Text by 小野島大 Photo by Masanori Naruse

RELEASE INFORMATION

FLAMAGRA

フライング・ロータス(Flying Lotus) NOW ON SALE 国内盤CD:BRC-595 ¥2,400+tax 初回盤紙ジャケット仕様 ボーナストラック追加収録 / 歌詞対訳・解説書付 (解説:吉田雅史/対談:若林恵 x 柳樂光隆)内盤CD+Tシャツセット:BRC-595T ¥5.500+tax XXLサイズはBEATINK.COM限定 予約はこちらから:CD/LP/T-Shirts Set http://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10233 SPECIAL EDITION VINYL(BEATINK限定クリアヴァイナル) http://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10234 TRACKLISTING 01. Heroes 02. Post Requisite 03. Heroes In A Half Shell 04. More feat. Anderson .Paak 05. Capillaries 06. Burning Down The House feat. George Clinton 07. Spontaneous feat. Little Dragon 08. Takashi 09. Pilgrim Side Eye 10. All Spies 11. Yellow Belly feat. Tierra Whack 12. Black Balloons Reprise feat. Denzel Curry 13. Fire Is Coming feat. David Lynch 14. Inside Your Home 15. Actually Virtual feat. Shabazz Palaces 16. Andromeda 17. Remind U 18. Say Something 19. Debbie Is Depressed 20. Find Your Own Way Home 21. The Climb feat. Thundercat 22. Pygmy 23. 9 Carrots feat. Toro y Moi 24. FF4 25. Land Of Honey feat. Solange 26. Thank U Malcolm 27. Hot Oct. 28. Quarantine(Bonus Track for Japan) 詳細はこちら

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