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 イベント・ホライズン・テレスコープ計画によるブラックホールの史上初となる撮影は、過去十年でも白眉と言える素晴らしい科学的成果である。

 宇宙に浮かぶぼんやりとしたオレンジ色のリングは、膨大な量のデータをもたらしてくれた。だが、我々素人の目にはなかなかそのスゴさが伝わりにくいかもしれない。

 このほどNASAゴダード宇宙飛行センターの研究チームがシミュレーションによって可視化したブラックホールなら、どこか根源的な恐怖を呼び覚ますような、言葉にできない凄まじさが伝わってくるだろう。

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Black Hole Accretion Disk Visualization

ブラックホールは高速で回転する降着円盤

 それは映画『インターステラー』で描かれたブラックホールガルガンチュア」によく似ており、同時にこの巨大な重力の底なし沼が周囲の時空に与える影響を垣間見せてくれる。

 ブラックホールは光すら脱出できない超重力領域だ。

 その周囲を流れるオレンジ色の帯は、重力によって吸い込まれかけているガスや塵で、まるで狂ったように回転するターンテーブルに囚われたかのように、ぐるぐると周囲を回っている。

 これは「降着円盤」と呼ばれる、ブラックホールの目に見える部分だ。そして、それは見る角度によって、大きく姿を変える。

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横から見ると裏が見える!?


 たとえば真横から見ると、降着円盤の一方の縁をブラックホールにかぶせたような不思議な形になる。じつはこの頭上を乗り越えて通過している部分は、ブラックホールの裏側の姿だ。

 そう見えるのも、ブラックホールの尋常ではない重力のせいで光が歪んでしまっているからだ。本当はガスは後ろ側へ回り込んでいるのだが、光が大きく曲げられているためにこのように見える。

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 また左側のほうが明るく見えるのは、それが私たちの方向へ向かってきているからだ。この現象を「相対論的ビーミング」といい、近づいてくる光と遠ざかる光とでは、前者の波長がつめられて周波数が高くなることが原因だ。

 自分のほうへ向かってくる救急車と遠ざかる救急車とでは、サイレンの音の高さが違って聞こえてくるのと同じことだ。

上から見ると円盤が見える

 横から見ると奇妙な姿に見えるブラックホールだが、上から見れば、降着円盤はきちんと円盤状に見える。

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 その内側には細いリングのような筋があるが、これはブラックホールに囚われそうになりながらも何度か周囲を通過してどうにか脱出できた光によるもの。

 そして、さらにその内側にある暗黒の空間が「ブラックホール・シャドウ」と呼ばれる、事象の地平面の輪郭である。

References:NASA Visualization Shows a Black Hole’s Warped World | NASA/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52282948.html
 

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