日本は近代まで外国との接触がほとんどなく、従って外国と係争事案が起きることもなく、説得する必要などはなかった。

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 他方で、稲作社会で共同精神が育ち以心伝心で意思が疎通し、言葉をさほど必要としなかった。

 これに対して他の多くの国は狩猟・遊牧の世界で個人が主体であり、自分の正当性を主張し、時には力でねじ伏せる必要があった。

 芳賀綏(やすし)東京工業大学名誉教授はこのような日本を凹型文化の国とし、情の民族で和を大切にするため、自己主張さえ抑えて相手を受け入れるという。

 これに対して中国・韓国を含む欧米諸国は凸型文化で、対立と闘争、制服と復讐などを特徴とする激しい心の世界であるという(『日本人らしさの発見』)。

 まずは凹型文化の日本と凸型の韓国について、河野談話について考えてみる。

河野談話における日本の忖度

 日本が韓国の女性を強制連行して慰安婦にしたという韓国の主張は事実と異なる。

 しかし、何らかの強制性があったかのような表現にトーンダウンする形に日本が譲歩すれば、韓国が日本非難の矛を収め、韓国内の政治も首尾よく収まるという双方の思いが一致した結果として「河野談話」が発表された。

 ところが、その後の韓国政府と反日団体は、国際社会や反日国際団体に「河野談話こそが日本が強制連行した証文」として、「談話」を盾に世界に向かって日本の犯罪として喧伝するようになる。

 日本が韓国に対して、話が違うじゃないかと抗議しても韓国は聞く耳を持たない。

 それどころか、「強制」を示す河野談話があるじゃないかと鬼の首を取ったように言い募るあり様で、正しく「踏んだり蹴ったり」である。

 当時の韓国政府に日本が忖度したという〝恩義″などには及びもつかない。日本は致し方なく、隠してきた〝忖度″を、談話発出経緯の検証で明らかにしようとした。

 本来は人情味の一片も感じさせない韓国に対しては、短切に「貴国の政府がつぶれないように、要望を受け入れて用語も双方で調整した」と云えば済むはずである。

 そうしないで手間暇かけて〝検証″すること自体、またまた「(韓国を、あるいは当時の政府を)傷つけたくない」という忖度である。

 それでも、韓国をはじめとした国際社会は日本批判をやめない。ことほど左様に凹型文化の日本が、凸型文化の国際社会に向かって「日本の考え」を発信することは至難である。

 いまも、福島の汚染水問題や旭日旗、さらには安全保障の視点で輸出規制の強化を図った問題で、事実も真意も理解しないで反日に結び付ける韓国への対処に苦慮している。

日本の「やわしさ」が誤解を招く

 慰安婦問題で日本の弁明が求められると、慰安婦問題は「国連ができる以前の問題で、諸々の条約はその後に締結されており違反に当らない」「調べた文書からは強制的に女性を集めたという証拠はない」「真摯に償いをやってきた」などと外務省の担当者は答えるという。

 しかし、これは典型的な官僚答弁で、日本では通用しても反日を掲げる国際社会で強制性の完全否定には繋がらない。

 韓国のデタラメな主張への反論になっていないどころか、むしろ慰安婦が存在したことを認めたと解釈される。

 もっと明確に「強制的に女性を集めたことはない」「韓国の主張は出鱈目である」などと、相手の言い分を否定して論駁すべきである。

 しかし、日本はそうした論を展開しないで、ここでも相手を傷つけてはいけないという意識からか、あるいは全ての証拠がそろっているわけではないという内心の責めがあるのか、凸型の国のように歯切れがよくない。

 こうした歯切れの悪さと、人道や温情からの支援が返って国際社会では誤解を招く。

 「それではなぜ補償するのか」という質問や「やましいからだ」という批判は、日本に対する「嫌がらせ」でしかないが、凸型文化の国では「非がある国への批判」として当然のように受け取られる。

 そもそも、日本はクマラスワミ報告が出た当初から反論書を準備し一時は提出したが、なぜか引っこめた。

 そうした経緯もあり、完全否定するような反論ができず、ますます問題を広めてしまった。

 韓国や支援団体の主張は間違っていると正面から反論し否定しないで、日本のように「条約違反ではない」「償いをしている」などの回りくどい発言は、凸型の多い国際社会では返って「火に油を注ぐ」ことになる。

 福島の放射能汚染についても同様である。WTO(世界貿易機構)の1審で勝利し安心し過ぎたというが、とんでもない。

 どういう具合に審理は進むのか、探りを入れ対応しようとしなかった官庁の怠慢が招いた結果でしかないであろう。

 もっとも、相手国(凸型国)はロビー活動やアンダーテーブルを多用する。そうしたことも承知の上で、大人の外交として日本はやらないでも、相手のやり方にメスを入れるくらいの情報網を構築してTPOに応じた対応が必要であろう。

NSCが機能していない?

 北朝鮮は7月以降に7回もミサイル発射を行い、中国も新ミサイルの開発に注力している。また韓国の反日姿勢は強まっており、周辺国からの日本に対する脅威は増大している。

 しかし、櫻井よしこ氏によると、これまで開かれた国家安全保障会議(NSC)はたった1回だけだという。(「産経新聞9月2日付コラム〝美しき勁き国へ″)

 北朝鮮への贅沢品の輸出は国連制裁決議で禁止されているが、日本にある貿易会社などを通じて「レクサス」などの高級車や高級化粧品などが北にはたくさん出回っているという。

 新聞などでもしばしば報道され、筆者もJBpresshttps://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57334)「中国が皇居・官邸の3D地図入手、北朝鮮にも流出か スパイ防止法がない日本は無防備すぎる!」で上掲した。

 北朝鮮の脅威を最も強く受けるのは日本である。だから日本も共同提議国に加わって北朝鮮制裁の国連決議を行いながら、日本が抜け道になっているのでは「泥棒を見て縄を綯う」どころか、泥棒を見て「大いにやりなさい」と奨励しているに等しい。

 北朝鮮の軍事力強化に役立つような行動が韓国に見られるとして日本は8月から韓国への輸出規制強化を行った。

 正しく日本の安全保障問題であり、NSCが機能しなければならない状況であったが経産省が正面に立つ不可解さであった。韓国が徴用工問題などへの〝報復″と受け止めたのは故なしとしない。

 日本がNSC会議を開き、その決議として議長(首相)が輸出規制を発表するなり、NSC事務局である国家安全保障局(NSS)や、最小限外務省が発表する形を採れば、安全保障問題であることを〝明確″に印象付けることができ、韓国の〝報復発言″批判をかわせたのではないだろうか。

 9月の内閣改造に合わせてNSS局長が交代した。『週刊文春』(9月19日号)は「最近は・・・体調不良もあり、辞めたがっていた」と書くが、局長の体調が安全保障問題で機能していなかったとなれば問題である。

 そうした矢先にNSSに経済問題を所掌する部門がないということで、総括・調整班、政策班(3個)、戦略企画班、情報班に加えて経済班(仮称)の立ち上げを検討しているという(「産経新聞」9月18、19日付)。

 真に機能するか否かは、組織の新設ではなく、局長以下の任務意識ではないだろうか。そもそも、NSSは各省庁のセクショナリズムを打破して安全保障の司令塔として設置されたのではなかったか。

外務省の無駄使い

 外務省2015年、戦略的対外発信の強化に向けた取組の一環として、当初予算500億円を投じて3都市(ロンドンロサンゼルス、サンパウロ)に対外発信拠点として「ジャパンハウス」を設置した。

「これまで日本に興味のなかった人々も含め,幅広い層に向けて日本の多様な魅力,政策や取組を伝え,親日派・知日派の裾野を拡大していく」という。

 文化や産業などについての広報は既に出先大使館などの多くの関連施設で行われてきた。ジャパンハウスはどこまでも「戦略的発信」を目指し、中韓などに引けを取っていた「情報戦」を充実するということから予算や人員が付いたのである。

 ところが古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在客員特派員・麗澤大学特別教授)によると、施設は2017年に開設されたが、「どこも、これまでのところ政治案件は一切扱っていない。政治的な情報発信は避けて、文化と芸能だけの活動を展開する状態となっている」という。

 ロスのジャパンハウスでも「日韓が対立するなか、日本側の主張を何らかの形で発信する気配はツユほどもない。企画や展示のテーマは日本食、日本観光、工芸品、マンガアニメ、音楽などに終始している。日本政府にとって切迫した問題である対韓関係に関連するテーマはゼロなのだ」(JBpress2019年8月28日、「世界に響く韓国の大声、日本はもっと情報発信を! 情報発信拠点『ジャパンハウス』は何をしているのか?」)。

 筆者は戦前・戦後の外務省の状況を『外務省の大罪―幻の宣戦布告』で明らかにし、戦争責任で外務省は無謬であったとの多くの外交官の主張に論駁した。

 ジャパンハウスの無駄といい、政府専用機の予算を猫糞して賭けマージャンをやり競争馬を買い、女性を囲っていた松尾某がいたことを見るにつけ、外務省ポスト増大に熱心であるだけで、国益思考が欠落している。

 河野太郎氏は外相在任間に専用機を要求し続けた。外相が華やかに世界を飛び回っても、外務省の根底にある姿勢・官僚体質を改めない限り、一向に日本の国益に資することのない「害」務省でしかないことを示している。

スパイ防止法こそ急務だ

 ファーウェイ問題では何年も前から、知財窃盗が行われていることを日本の、例えば深田萌絵氏などは気付いていた。

 深田氏は早稲田大学政経学部卒業で、株式アナリストや倒産企業の民事再生業務に携わり、現在はコンピューター製造開発業に従事し、ITビジネスアナリストの肩書もある。

 6年前の話として「私もやられた盗っ人・ファーウェイの汚い手口」(『WiLL2019年4月号)のように、公刊の月刊誌で堂々とファーウェイ企業について語っている。

 氏は起業した会社で雇用していた中国人を技術スパイとしてFBIに通報しているし、また氏が重用していた副社長に日本の警察が捜査に乗り出したことを告げると、新製品のサンプルやすべてのパソコンハードディスクドライブが抜き取られ、まんまと逃げられたと記述している。

 その人物はファーウェイが引き抜いたもので、深田氏は「これだけファーウェイが取り沙汰されても、日本では『ファーウェイが技術泥棒だ』と告発する人間が出てこないのは、その多くが何らかの見返りを手にしていたからだ」という。

 そして、「早稲田大学の教授も研究室全員がファーウェイからビジネスクラス飛行機に高級ホテル宿泊と接待漬けであり、接待費は潤沢なのだ」と、母校の名誉を傷つけてまで告発している。

 氏は米国のFBIまでがファーウェイに寝返っていたと述べ、ファーウェイ問題は単なる貿易事案でなく安全保障問題であるとしている。しかし、日本は何らの対応も外見的には見せなかったという。ここにも、NSS不在である。

 深田氏は「日本中であらゆる技術が中国に盗まれている。ところが、カネで唆され、加担しているのは当の日本人なのだ」と言いい、東芝メモリー派遣社員に盗まれたことを例示する。

 こうして、スパイ行為そのものを取り締まれる枠組みがなければ、どんなにスパイ被害を訴えても取り締まり様がない」として、スパイ防止法の制定を訴える。

 同誌8月号の「萌絵チャンネル炎上! 私の言い分」では、日本国籍と自称していたX氏(前号の副社長で、中国人スパイか?)から提訴され、裁判のために書類の準備を進めると、X氏やその父らの国籍や出生地などが、聞いていた日本国籍でないという。

 そして、「X氏は産業技術を盗むため『ニセ日本人』として活動するファーウェイスパイではないかと思しき面がある」と述べる。

「X氏のような問題は、日本各地で起こる可能性があるし、現に存在している可能性すら疑われる」と書き、「政治家弁護士であれば、人権のみならず、日本の国益と安全保障を第一に考えて欲しい」と訴えている。

おわりに:省益から国益追求へ

 韓国の反日行動は収まるどころか、拡大の一途である。今や貿易問題や安全保障問題にとどまらず、放射能汚染水や旭日旗を問題化してオリンピックパラリンピッククレームをつける情報戦に出ている。

 日本国家のアイデンティティに関わる問題にまで韓国は干渉し始めている。いまや敵性国家も同然である。

 国民と政府は別だと日本の多くの識者たちは主張する。しかし、その考えこそが凹型文化がもたらすものである。

 自国が嫌で外国に脱出した韓国系米国人でありながら、韓国政府や反日団体と連動して国際社会に反日を呼号して已まない。

 また在日中国人たちは有事には自国の共産党や大使館の指示で行動するように義務付けられており、そうした行動が北京オリンピックのトーチリレー時に長野でみられた。

 技術窃盗は日常茶飯事のようであり、スパイ防止法をもたない日本の欠陥が明らかになっている。省益の競いから国益増大を目指す日本になるべき時ではないだろうか。

 政治主導の真剣度と官僚の愛国心が問われている。

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