
2億4000万年前の世界地図は、今とはまるで違うものだった。今日存在する大陸は当時ひとつにまとまっており、「パンゲア」というまるでパックマンのような形をした超大陸だった。
パンゲア大陸はやがて分裂し、北部がローラシア大陸、南部はゴンドワナ大陸となった。
ローラシア大陸もまた分裂して現代のヨーロッパ、アジア、北アメリカとなり、ゴンドワナ大陸はアフリカ、南極、南アメリカ、オーストラリアへと分裂した。
このたび判明したのは、ゴンドワナ大陸からもうひとつの失われた大陸「大アドリア(Greater Adria)」が生まれていたということだ。
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大アドリアの上層部がまくれてできたヨーロッパに横たわる山脈
『Gondwana Research』(9月3日付)に掲載された研究によると、1億2000万から1億年前にグリーンランドくらいの大きさの陸塊がプレートの力によってヨーロッパ南部の下にゆっくりと押し込まれたらしい。
大アドリアは当時すでに半ば水没していたのだが、地球のマントルへ向かって押し込められるうちに一番上の層がまくれて上部へ突き出した。
そして、このまくれた層が、現在のヨーロッパ30ヶ国に横たわる山脈の材料となった。
研究の著者であるオランダ、ユトレヒト大学のダウワ・ファン・ヒンズベルゲン氏は、大アドリアの沈み込みをテーブルの下に長袖を着た腕を押し込んだときの様子にたとえて
セーターを着ているとする。その腕をテーブルの下に押し込むと袖がめくれて折れ曲り、上に盛り上がるだろう
と説明する。
大アドリアの上を覆っていた数kmの地殻でも、折れ曲がった袖のようなことが起きた。
そしてプレートにたとえられる腕は、今もなおマントルへ向かって地下数百km、場所によっては数千kmと沈み続けている。
イタリアのアペニン山脈、ボスニア・ヘルツェゴビナのディナル山脈、スイス・アルプス、イランのザグロス山脈、ヒマラヤ山脈といったユーラシア山地帯は、この袖によって形成されたのだとか。
1億4000万年前の陸塊。緑は海面から出ている部分、黄緑は海に沈んでいる部分
大アドリアが沈み込む前後のプレートの動きをシミュレーション
大アドリアの過去を知るために、ファン・ヒンズベルゲン氏らは10年がかりでヨーロッパ、北アフリカ、西アジアの地質学的データを収集した。
2億4000万年におよぶプレートの動きを知る手がかりは、地殻に形成される磁石だ。
ふたつの移動するプレートの境界で熱い溶岩が冷却されると、磁性を帯びた岩石が当時の磁場の流れに沿った形で閉じ込められる。
そうした岩石の向きを調べれば、大昔にそれらがどこにあったのか計算することができるのだ。
地中海地域2300ヶ所の磁石を調べ、そのデータをもとに大アドリアがマントルに沈み込む前・最中・後のプレートの動きをシミュレーションで再現。
その結果、この失なわれた大陸は、2億2000万年前に現在のアフリカからちぎれ、さらに4000万年後にのちのイベリア半島からも分裂した。
1億4000万年前になるとおそらく大アドリアは群島のような感じで、現在の「ジーランディア」に似ていただろう。
ジーランディアとはニュージーランド周辺の大陸の断片のことで、海面より上に出ているのはわずか7%のみである。
大アドリアの一部は沈み込まずイタリアのトリノやベネチアに
そして1億2000万から1億年前に、大アドリアはプレートによって現在の南ヨーロッパの下からマントルへと押し込まれ始める。
ファン・ヒンズベルゲン氏によると、
現時点で一番深い部分は、ギリシャの地下1500kmの地点にある
とのこと。
今回の研究では、大アドリアの一部は沈み込まず、海上より上にとどまっていることも判明している。
それはやがてイタリアのトリノやベネチア、クロアチアのイストリア地方になったのだという。
References:Science direct / written by hiroching / edited by usagi
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