きっぷに記載されている「下車前途無効」の文字。これは途中下車すると、その後はきっぷが無効になることを意味します。目的地に着いていなくても、それ以上は乗れません。

「下車」とは基本的に、列車を降りることではなく…

駅で近距離のきっぷを買うと、券面に記載されている「下車前途無効」の文字。目的地へ到着する前に、買い物のため途中駅で下車したいといった場合に、この意味が重要になります。

「下車前途無効」の意味を、まずは単語ごとに区切って考えます。「下車」は列車から降りることですが、ポイントは降りたあと改札を通過して外に出るかどうかです。ただホームに降りただけでは、この場合の「下車」には当たりません(例外あり)。「前途」はそれから先のことで、「無効」は効力がなくなること。つまり「下車前途無効」とは、かんたんに言うと「改札を出たあとは、目的地に着いていなくてもきっぷが無効になる」という意味です。

JRを例に挙げると、片道の営業キロ数が100km以内の普通乗車券(一般的なきっぷ)には「下車前途無効」と記載があります。東京駅から横浜駅までのきっぷを買うと、営業キロ数が100kmを超えないため、途中の川崎駅で下車はできますが、そのあと続けて横浜駅まで行くことはできません。

いっぽう100kmを超える場合、区間が大都市近郊区間内で完結しなければ、「下車前途無効」の記載がなくなります(例外あり)。「大都市近郊区間」とは東京、大阪、福岡、新潟、仙台の各都市圏で定められたエリアのこと。たとえば、藤沢駅神奈川県藤沢市)から福井駅までのきっぷを買うと、大都市近郊区間を外れるうえ、片道の営業キロ数が100kmを超えるため、「下車前途無効」の記載がありません。途中の駅で下車しても、そのきっぷは引き続き目的地まで使えます(例外あり)。

「下車前途無効」の記載がある近距離のきっぷ(写真AC)。