カリフォルニア大学のある生物学者は、進化に関してこんな疑問を抱いていた。
はたして動物は食べられる危険に対応するために進化するのだろうか?
それとも捕食者などいないところで自分たちが作り出した環境に適応するために進化するのだろうか?
ペット向け熱帯魚としておなじみのグッピーが教えてくれた答えは、どうやら後者であるようだ。
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あっという間に進化するグッピー
デビッド・レズニック教授の説明によれば、グッピーは滝や急流に乗って、大抵の捕食者なら追ってこられないようなところに移動できるという。
そして、安全なところに到着したら、あっという間に進化して、遺伝的に元々の種とは別の存在になってしまう。
「グッピーがあっという間に進化することは知られていました。でも、それがなぜなのかがわかっていませんでした。」
だが、『American Naturalist』(9月9日付)に掲載された論文で、レズニック教授はその理由を解説している。
小川の強制引越し実験
この疑問に答えるために、彼らはグッピーの故郷であるトリニダードへ飛び、ある実験を行った。
小川の中のグッピーを、捕食者がたくさんいるところから、ほとんどいないところへ引越しさせてみたのだ。そして、それから4年間の変貌ぶりを元々の生息地のグッピーと比較しながら観察した。
もしグッピーが他の魚に食べられるリスクがないから進化するのであれば、すぐに目に見える進化が現れるでしょう。でも捕食者がいないおかげで増えすぎて、自分たちのエサがなくなってしまうから進化するなら、目に見える変化が生じるまでにはタイムラグがあるでしょう。
観察対象のグッピーはオス(寿命は5ヶ月ほど)で、追跡をしやすくするためにいずれにもマーキングがされた。そして注目されたのは、個体数を増加させる上で鍵を握っている寿命と大人になったときの体の大きさだ。
また藻類や昆虫といったグッピーのエサとなる生物の量や他の非捕食魚の存在など、グッピーの生息数の増加にあわせて生じる環境の変化も記録された。
変化した環境に適応するために進化する
この実験から、グッピーが別の環境に導入されて進化するまでには、2、3年程度のタイムラグがあることが明らかになった。
つまり、まずグッピーは新しい生息環境を変化させ、その結果として自らを変化させるらしいということだ。
進化の速度からそれがどのように起きるのか研究することができます。新しく判明したのは、生物は自分の周囲の環境を変えることで、自分自身の進化を形作っているということです
人間も環境に適応するために進化する?
レズニック教授が今取り組んでいるのは、この知見を人間の進化に当てはめてみることだ。
グッピーのような生物とは違って、人間の人口は際限なく増えているように思えます。でも、それは環境への影響を増加させ、ひいては自らへも影響するはずです。
人間の活動によって、この地球には温暖化をはじめとするさまざまな影響が現れている。そうした環境に適応するために私たちも進化するということがあるのだろうか?
References:Guppies teach us why evolution happens | News
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