救急救命士は“人の命を救いたい”という思いがあったからこそこの仕事をしていると思われるが、イギリスホームレス女性の救助に向かった救急隊員は違ったようだ。女性が心不全で苦しんでいたにもかかわらず、隊員は救助せずに引き返してしまったのだ。『The Sun』『Bristol Post』『Metro』などが伝えている。

昨年5月8日、英ウィルトシャー州チッペナムの教会の駐車場付近で瀕死状態の女性がいると緊急通報があり、救急車が現場に向かうこととなった。当時、救急隊員として対応したのはニコラス・ストック(Nicholas Stock、41)だった。

現場に到着したニコラスは、車の後部座席で心不全を起こしていると見られる女性を確認した。女性はホームレスのようで車の中は汚れたビニール袋などが散乱しており、この女性を車から降ろすには後部ドアからは難しく、トランクを開けて対応するしかなかったようだ。

しかしニコラスは車の窓から女性を確認しただけで、警察に連絡を入れた後にその場を離れたのだ。女性は警察官が到着した時は既に亡くなっており、後部座席に横たわった状態で発見された。検視の結果、女性は急性アルコール中毒による心不全で亡くなったものと見られている。

ニコラスはこの件で、翌日には上級救急救命士を免職扱いになった。そして今年9月20日に、保健医療専門職審判所サービス(Health and Care Professions Tribunal Service:HCPTS)によって開かれた審理の場で、当時のことが詳しく明かされた。

『Bristol Post』によると、ニコラスは「女性が救命措置を拒否し、その場から立ち去るように言った」と話したそうだ。一方でニコラスは、上司に「車の中に入るつもりは毛頭なかった」と報告していたことが分かった。

さらにニコラスが当時、報告した書類には「車の中はホームレスが持っているような袋が散乱し、本当に不潔で気持ちが悪かった。車はアルコール臭がして女性は失禁状態だった」と記載されていたという。

議長のギル・マッデン氏(Gill Madden)は「ニコラスは必要な救命措置を講じることもなく患者を車に放置し、警察に責任を転嫁するも彼らが到着する前に現場を離れた」と言い、ニコラスの行為は「明らかに重大な不正行為」として彼は救急救命士のリストから除名されることになった。

人命救助のために15年間、救急救命士として働いていたニコラスは現在、ドライビング・スクールで働いている。またニコラスは審理の場には出席しておらず、HCPTSに対して「二度と連絡はしないでくれ」と電子メールで送りつけており、今後の出席も拒否しているとのことだ。

画像は『The Sun 2019年9月25日付「LEFT TO DIE ‘Callous’ paramedic refused to help dying homeless woman and told bosses to ‘go f*** yourselves’」(Credit: Midlands Media Agency Ltd)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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