3度目の登場! 冨手麻妙“女性の裸”を語る

2009年AKB48 の8期生として芸能活動を開始。その後、グラビアアイドル時代を経て、園子温監督のロマンポルノアンチポルノ』の主演に抜擢され、近年では『娼年』やNetflixで配信中の『全裸監督』などで強烈な印象を残した女優・冨手麻妙。
作中でも大胆なヌードやセックスシーンを披露、そしてこのデビュー10周年タイミング写真集『別冊月刊 冨手麻妙』を発表した。
そこでもヌードを披露しているが、女性の裸に関しては一家言あるようで……。
永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”には、3回目の登場となる冨手さんに、前後編に分けてじっくりとインタビュー。前編の今回は“女優・冨手麻妙が脱ぐ理由”についてたっぷり語ってもらった。

嘘に感じたグラビア時代

――Twitter上の発信などを見ていて、“女優が脱ぐ”ということに関して確固たる意思を持ってらっしゃるように感じます。

冨手「女性の裸は別に男のものではないですよ、っていうのは常にテーマとして持っていて。私は媚びることが一番嫌いなんです。グラビアアイドルをやっていたときも、自分の意思とは違うところで男の人のために自分の肌を見せて、笑顔を作ることが“嘘の行為”に感じてしまって苦しかったんです」

――たしかにグラビアアイドルは、水着で笑顔をふりまくもの……というようなイメージがありますね。

冨手「ああいう笑顔も、すべて男の人のためにやっているんですよね。なんで私は見ず知らずの人にエロをアピールしなきゃいけないんだろう? 自分のことをエロく見て欲しいのって彼氏だけじゃない? って疑問が湧いてきてしまって」

女優として脱ぐということ

――それって、女優として肌を露出することとはやはり別物なのでしょうか?

冨手「たとえば、グラビアアイドルの役の台本を与えられて、そこに必然性があれば水着にはなります。役ではなく、冨手麻妙自身が水着になることと、それは別のことなんです。映画でも写真集でも、作品として成立させるときはあくまで私は被写体で、撮る側の人とも同じ意志を共有しなきゃいけないから大変なことではあるんですけどね」

――そしてそれが受け手にも、その意思通りに響くとは限らないですもんね。

冨手「Amazon写真集コメントとか、しょうもないのが多いんですよ。『これじゃヌケなかったです』とか。知らないよ! なんであなたにそんなこと期待されなきゃいけないの?って気持ちになっちゃって(笑)

――(笑)

冨手「こんなことグラビア時代は口が裂けても言えなかったですけど、今は言えるし、それで離れていく人がいるのなら、それでいいと思っています」

「女子に恥ずかしがって脱いで欲しい」日本男性たち

――冨手さん、意志が強いですよね……。

冨手「ただ、こういうこと言うと、男の人に怖がられたり、戸惑われたりするんです」

――どういうことでしょうか?

冨手「私のスタンスは『私は自分の意思で裸になることを選びましたけど、何か?』みたいな感じじゃないですか。でも日本の男の人は『ちょっと、恥ずかしいんですけど……』『脱がされちゃいました』みたいな感じを女性に求めているんです。嫌がる女性を自分で脱がせたいから、私みたいに女性の側から『脱ぎます!』みたいな感じで来られると怖がるんですよ。女性は受け身だから、自分から主体的にエロスを出すはずがない、って」

――なんか大正時代の話みたいに聞こえます(笑)

冨手「だから男性週刊誌に私の写真を載せて頂けるのは嬉しいんですが、そこに勝手に『恥じらいのヌード』みたいな言葉を見出しでつけられると、男性のニーズはやっぱりそこなんだなぁ、と複雑な気持ちにはなりますね」

――女性が脱ぐということに関しては、いまだに旧時代的な価値観が消えないんですね。

冨手「いまだに映画で脱いだ女優に対するマイナスイメージは根強いです。悪気はなく『NHK出れなくなったね』とか『脱いじゃったからCM取れないね』って言ってくる人も多いんです。私は『脱ぐことの何がいけないの、むしろ隠すほうがおかしくない?』と思ってやっています」

媚びるのではなく強さを出したい

――そういうリスクのようなものもある中で、それでもなぜ冨手さんは裸になるのですか?

冨手「簡潔に言うと、自分の今の体に自信があるからです」

――もう少し詳しく言うと……?

冨手「女子が見たときに『綺麗な体』『こうなりたい!』って思って欲しいんです。たまたま自分が持って生まれた体が健康的で。まあ女優としては大きなほうなんですけど」

――失礼ながら、スレンダー菜々緒ボディ!的な感じではない、ですよね……。

冨手「ダイエットがいきすぎて、拒食症になってしまったりする女の子もいるので、『別に痩せてはないけど、健康的で素敵だな』って思ってもらえる対象になれたらな、と」

――ここまでお話を伺って、言葉を選ばずにいうと、冨手さんの思い描く世界を現実化するためには組む相手を選ぶ必要がある気がします。

冨手「なので、今回の写真集でもプロデューサーイワタさんとディスカッションという名の喧嘩を重ねました(笑)。今回の写真集はそもそも10周年っぽい作品を作ろうというところから始まって。ヌードになることが決まって、過去のイワタさんプロデュースの『月刊~』シリーズを見せてもらった中に『月刊 満島ひかり』があったんですよね。そのカメラマンさんが野村恵子さんで。満島さんと野村さんの強さが戦ってる感じがいいなあと思ってお願いしました。男性に媚びるのではなく女性の強さを出すヌードにしようっていう意思を共有できたから、楽しみながら撮影できました」

オーディションに3ヶ月かけた『全裸監督』

――男性のクリエイターの方ともそういう意思って共有できるものなんでしょうか?

冨手「女性的な感性をもった男性もいるじゃないですか。もちろん、そういう人と巡り合うのは難しいことではありますが」

――今まで巡り会えた方でいうと例えば……?

冨手「園子温監督ですね。『アンチポルノ』のときに感じたんですが、園さんの中に女性がいるというより、園さんは女性かもしれない(笑)。だからすごい信頼できたし、私も堂々と裸になることができたんだと思います」

――それこそ裸になる女性たちを描いた『全裸監督』のときはいかがでしたか?

冨手「『全裸監督』は、とことんディスカッションできたんです。私が今日ここで語ってきたような裸に対する意思を、監督もプロデューサーもきちんと汲み取ってくれたのでやりやすかったです。なにせ3ヶ月くらいオーディションして決めてますから(笑)

――そんなに時間をかけてるんですね!

冨手「はい、Netflixは、俳優の知名度ではなく、どれだけそのコが役にあっているかなどをじっくり見てくれた感覚があります。作るときも、普段、日本の俳優は『制作側に意見を言うと生意気に思われるかもしれない』という、謎の自粛の風潮があるのですが、Netflixのときはそれがなくて。俳優も同じ目線に立って話し合いができて、むしろ何も意見を言わないほうがおかしい、という感じでした」

――そこも海外っぽいですね。いい作品に巡り会えてきたんですね。

「はい、色々言ってきましたが『全裸監督』も『アンチポルノ』も『娼年』も……今まで映画でヌードになったときは1ミリも後悔していないんです。作品としてやってよかったなと思えるものしかない。それはたぶん監督たちが私と同じ気持ちで作品に立ち向かってくれたからだと思うんです」

意思を反映する強い言葉に「これ、書いてしまっても大丈夫ですか?」と確認するも、何も躊躇せずに笑顔で「はい!」と言ってくれた冨手さん。後編では、その強さができあがるまでの10年を探ります。

(取材・文:霜田明寛 写真:中場敏博)

別冊月刊 冨手麻妙 写真 野村恵子』撮影:野村恵子価格:2500円+税発売元:小学館刊発売日:2019年8月30日 96ページ A4判「冨手麻妙の表情や身体には、物語がある。それはかつて、自分の傍らにいたような、そしてもはや、逢うこともできないような。妄想を紡ぐ、儚い物語がある。」(リリー・フランキー

野村恵子「月刊 冨手麻妙 ~Ami Tomite~」刊行記念写真展
9月27日(金)~10月6日(日) 開廊時間:13時~19時 会期中無休
神保町画廊にて 野村恵子「月刊 冨手麻妙 ~Ami Tomite~」刊行記念写真展 も開催
9月27日(金)~10月6日(日) 開廊時間:13時~19時 会期中無休

「ヌケないとか知らないし」冨手麻妙が裸になる理由